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星を一緒に見ていたい  作者: 電気の土星
第一章:一番星
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第41話:背中を押すのは

金曜日。普段なら次の日からの週末休みに心踊る日。私もそう。日曜日にはバスケの試合を観に行く。初めてだし知ってる人が出るしでとても楽しみだ。でも結奈ちゃんは違うらしい。日に日に静かになっていってる。今も私を膝の上に乗せてずっと下を向いている。

「結奈ちゃん、私ロッカーに教科書取りに行きたいんだけど…」

来週の火曜日は終業式で、それまでにロッカーに置いてある教科書とかを全部持って帰らないといけない。三者懇談のときに親に持って帰ってもらう人も多いが私は初日でまだ残っている授業が多いからあまり持って帰れなかった。

「戻ってきて。」

私はわかったから。と言って廊下にあるロッカーに向かう。結奈ちゃん最近ずっとあんな感じだ。緊張してるんだろう。なんせ初めてスタメンで試合に出るのだから。もしかしたら結奈ちゃんの言ってた好きな人も観にくるかもしれないんだから、緊張はするはず。

「ん。」

私が戻るとすぐ腕を広げて私を膝に乗せる。私で落ち着けるのなら良いと思っている。ベストな状態で試合に臨んでほしいし。


先生が教室に入ってきて帰りのホームルームが始まる。自分の席で話を聞いているが結奈ちゃんがちらちらこっちを見ている。ホームルームが終わると軽く掃除をして帰るだけだ。ずっと読みたかった本がようやく買えたからそれ読んで過ごすつもり。

「恵那、ちょっとだけ付き合って。」

「いいよ。どうしたの?」

結奈ちゃんはすでに部活の荷物を持っている。私がどうすればいいかわからず立っていると荷物を持ってついてきてと言われた。そのまま結奈ちゃんについていくと体育館の前に着いた。

「頑張れって言ってほしい。このあとの練習も、明後日の試合も。」

「頑張れ。結奈ちゃんなら絶対良い結果出せるよ。」

結奈ちゃんの表情がぱっと明るくなる。

「ありがと!頑張るから!」

そう言うと体育館の中へ元気良く走って行った。いつも通りの結奈ちゃん。


駐輪場で先輩に会った。今日三者懇談って言ってた気がする。

「先輩、もう帰るんですか?」

「うん。一旦帰って15時にまた来るよ。今日三者懇談だから。」

「一緒に帰りませんか。」

「うん。」

私は急いで自転車を取りに行った。カバンを前カゴに入れて走る。

「もうすっかり夏ですね。」

水族館に行った日が最後の過ごしやすい日だった。あれ以来気温が急に上がってめちゃくちゃ暑くなった。蝉がずっと鳴いている。

「ね〜。あっという間に夏だよ。」

「夏休み中は星一緒に見れませんか?」

「一回くらいお泊まりして見たいよね。」

「じゃあ次は私の家にしましょう。庭で。」

先輩の家に泊まったときみたいにベランダでは見れない。ベランダで見るなら優の部屋だ。

「そういえばベランダ部屋に無いんだっけ。」

「はい。弟の部屋にはあるんですけど…」

自転車だと風が来るとはいえその風も暑い。結構汗が出てくる。先輩は肌真っ白で汗もほとんど出ていない。どうなってるんだこの人。

「じゃあまたお泊まりいけそうな日連絡するね。」

「はい。楽しみにしてますね。」

先輩が自転車で走っていく後ろ姿をしばらく眺めたあと自分の家に向かった。


家に帰るとリビングのソファで優が転がっている。

「あ、姉ちゃんおかえり。母さんがそうめん茹でたから食べてだって。」

優が指差した机の上にはラップをかけられたそうめんが置かれている。シャワーを浴びて着替えてそうめんを食べた。

「ねえ優、この辺に本置いてなかった?」

「ああ、あれ?姉ちゃんのかなって思って部屋の机に置いたよ?」

部屋が暑いからリビングで読もうと思っていたんだけどな。まあ優も悪気があったわけじゃないだろうし。部屋に行くと本が机の上に丁寧に置かれている。優はこういうとこ本当にしっかりしている。私は本を持ってリビングに戻った。

本を読み終わる頃にはもう陽が沈んでいた。まさか犯人が主人公の弟の彼女の父親だったとは。最後の最後までわからなかった。夜ご飯を食べてお風呂に入って歯を磨くとすぐに眠たくなって寝た。

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