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星を一緒に見ていたい  作者: 電気の土星
第一章:一番星
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第40話:高まる熱

先輩はアシカを見ている。私はまだ熱を帯びた指先を気にしながら先輩の隣に立った。

「先輩、アシカ好きなんですか?」

「今までそんなに気にしたことないけどちゃんと見たら可愛いなって思って。」

確かに可愛い。大きくて黒い目、長いまつ毛。人間だとかなり美人な目をしている。先輩もまつ毛長いからより一層綺麗に見える。

「先輩、イルカショーのとこ行きましょう。そろそろ始まるので。」

「あ、そうだった。」

並んで歩いてイルカショーの会場に向かう。人が結構いたけど運良く前の方の席に座れた。

「楽しみですね。」

「うん。結構前の方だし濡れるかもね。」

そういえば濡れること考慮してなかった。確かに夏のイルカショーなんて濡れてなんぼなイベントじゃないか。

「濡れて大丈夫ですか?服とか。」

「今日天気良いし大丈夫だよ。」

隣の水槽を見るとおそらく出演するであろうイルカたちが待機している。どっちも大きい子だ。


ショーが始まった。ノリノリな音楽とともにイルカと人が出てくる。飼育員さんがイルカの紹介をして観客の拍手に合わせてイルカも潜ってからジャンプした。正直見分けはつかないけれど飼育員さんならわかるようになるのだろうか。イルカに押してもらったり、イルカと並んで泳いだりしている。一回くらいはやってみたい。絶対楽しいと思う。

イルカが高くジャンプした。こっちまで水しぶきが飛んできた。

「わっ。水来た!」

先輩が無邪気な笑顔で笑っている。イルカよりもそっちに目が行きそうだ。

その後もわっかをくぐったり、声や手拍子に合わせて芸をしたりでとても楽しかった。イルカってあんなに賢いんだな。


「楽しかったですね。」

まだ少し髪が濡れたまま水族館を出た。まだまだ明るいけれどもう16時をとっくに過ぎている。バスに乗って駅まで向かう。バスの中でお互い少しうとうとしていた。カバンではおそろいで買ったカワウソのキーホルダーが揺れている。駅に着いてバスから降りるとき眠たくて足を踏み外しそうになった。

「先輩、また来たいですね。」

「うん。また来ようよ。」

二人で改札を抜けてホームに出る。駅からは水族館の建物とその奥で日光でキラキラ光る海が見える。私は電車を待つ間カワウソのキーホルダーをずっと眺めていた。

「恵那ちゃん、電車きたよ。」

「あ、はい!」

慌てて立ち上がって電車に乗った。席は空いている。並んで座った。このお出かけもあと大体1時間くらい。電車が発車してすぐ先輩が寝てしまった。この人すぐ寝るな。私とは反対方向に倒れかかったから、先輩の肩に手を回して私の方に寄せた。やってから気がついたけれどやってること完全にカップルじゃん。あんまり公共の場でこういうことやりたくないって思ってても自然にやってしまうものなんだな。

先輩が起きないかを適宜確かめながら今日撮った写真を見る。ミズクラゲやカワウソの写真がめちゃくちゃ多い。ペンギンも結構撮っているけどミズクラゲが多すぎる。クマノミやナンヨウハギの写真も撮ったんだな。あとアシカとかペンギンを見てはしゃぐ先輩の写真も。


写真と先輩を交互に見ているとあっという間に駅に着いた。先輩を起こして電車を降りる。改札を抜けるといつもの見慣れた景色。お出かけが終わったことを実感させられる。だんだんと陽が傾いてきた。

自転車で走りながら大事なことを思い出した。

「先輩、夏祭り一緒に行きませんか。」

「夏祭り?良いよ。何日目に行く?」

「私先輩以外と行く予定今のところないので何日目でも大丈夫です。」

先輩は少し考えてから言った。

「じゃあ2日目は?初日は多分真夏(まな)に誘われるんだよね。去年もその前も初日だったし。」

「わかりました。じゃあ2日目に。」

この地域の夏祭りは3日間開催される。毎日花火はあがるけど内容が違う。神社の参道に屋台が並んで、川沿いとか参道の階段から花火を見る。好きな人と花火。わかっている。それがどういう意味を持つのかくらい。先輩といつもの交差点で別れて家に帰った。


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