第32話:優しい距離
昼休みが終わって、そのまま一日が終わった。結奈ちゃんはバスケ部に、私も自分の部室に向かった。今日は私の方が早く着いたから、部室で勉強して待っていたが、15分経っても先輩が来ない。私は心配になってスマホを開いた。すると20分くらい前に先輩からメッセージが来ていた。
『ごめん恵那ちゃん。今日用紙あるから部室行けないこと伝えるのすっかり忘れてた!ほんとごめん!』
なんだ。そういうことだったのか。先輩になにかあったわけじゃなくて安心した。
『わかりました。気にしないでください。また明日よろしくお願いします。』
私はそう返信して部室を出た。吹奏楽部の練習する音や、グラウンドからサッカー部か野球部の練習する声が聞こえてくる。
駐輪場に着いて自転車に跨る。今日は6月にしては暑い。朝はそんなに気にならなかったが、今から帰ると思うと少し気分が下がる。気合いを入れて自転車を漕ぎ出す。暑い。風すらも暑くてもうどうしようもない。今年最初の夏日だからまだ体が暑さに慣れていないせいで尚更暑く感じる。これからどんどん暑くなるのにこんなので大丈夫なのか。
家に着くとリビングには扇風機が出ていた。
「ただいま。」
そう言って自分の部屋に向かう。ベットで横になるとすぐにウトウトしてきて、気がついたときにはもう20時を回っていた。
「寝ちゃった…」
リビングに降りるとお母さんが待っていた。
「部屋まで声かけに行ったんだけど気持ちよさそうに寝てたから起こせなくて。ご飯そこに置いてるから食べて。」
「ありがとう。」
私はご飯を食べてお風呂に入ってすぐに寝た。
翌朝目が覚めるとなんだか体が重い。頭もボーッとする。リビングに降りて体温を計ると微熱だった。お母さんに言われて今日は学校を休むことにした。今日は部活があって明日は結奈ちゃんと遊びに行くのに。
『おはようございます。少し熱があるので今日は休みます。』
そう先輩にメッセージを送った。そのあと結奈ちゃんにも同じようなことを送った。結奈ちゃんからはすぐに返信がきた。
『大丈夫?明日はさすがに厳しいよね?また今度にする?』
『日曜はどう?微熱だから2日もあれば治るよ。』
『また明日体調教えて。それで決める。』
私としても結奈ちゃんと遊びに行くのは楽しみだったから少しでも可能性を残しておきたい。早く元気になろうとベットで目を閉じた。
目が覚めると11時くらいだった。スマホを見ると先輩からも返信が来ている。
『恵那ちゃん大丈夫?無理せずゆっくりしててね。』
ありがとうございます。と返信をしてリビングへ降りた。体温計で体温を計ると、平熱よりは高いけど朝よりは下がっていた。この調子なら大丈夫だろう。明日は厳しくても明後日なら遊びに行ける。優には悪いけど、コンビニには自分で行ってもらおう。
「恵那、起きてたんだね。体調はどう?」
「お父さん。朝よりはましになったよ。今日休みだったんだね。」
「うん。明日遊びに行くって言ってたけど、どうするの?」
「明日の体調次第で明後日に行くかも。」
お父さんはそっか。と言うとお昼ご飯の用意を始めた。私はなにか手伝おうとしたが手で制されて座っているよう促された。
お昼ごはんにうどんを食べてまた寝た。夕方になると、先輩が家まで来てくれた。
「恵那ちゃん〜。入るよ?」
そう言ってドアが開いた。先輩が私の部屋に入ってくる。先輩からお見舞いに行くとメッセージが来て急いで部屋を片付けたから、少し息が上がっている。
「その辺りに適当に座ってください。」
「ありがとう。体調はどう?」
「一日寝てたらだいぶよくなりました。」
先輩はなら良かった。と言って買ってきてくれたプリンを机の上に置いた。
「食べられそうなら食べてね。じゃあ私そろそろ帰るね。急にごめんね。お大事に。」
そう言って先輩は帰っていった。先輩がくれたプリンはいつもよりも美味しく感じた。




