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星を一緒に見ていたい  作者: 電気の土星
第一章:一番星
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第27話:その行き先は

しばらく交互に歌っていたが、結奈ちゃんの番になったとき、結奈ちゃんは私の方を真剣な顔で見て話しかけてきた。

「恵那ってさ、好きな人いる?」

「どうしたの?急に。」

結奈ちゃんは少し何かを言い淀む様子を見せたが、私の方を真っ直ぐ見て私の回答を待っている。先輩のことを正直に言うべきか、それともいないと誤魔化すべきか。秘密などと言って流すことはできなさそうだ。


「いるよ。」


私がいると言ったときの結奈ちゃんの表情の変化を私は見逃さなかった。一瞬嬉しそうに、でもすぐに寂しそうな顔に変わって、すぐ普通の表情に戻った。なにかまずいことを言っただろうか。

「どんな人?」

結奈ちゃんは変わらず真っ直ぐ私を見てくる。どんな人かくらいは適当にぼかせそうだ。

「優しくて、よく私のこと褒めてくれて、頼りになる人。」

私は正直に、でも他人に話せる範囲で先輩の好きなところを言った。結奈ちゃんに先輩の話をしたことはあるし、先輩と結奈ちゃんと私の3人で話をしたこともある。まさかその先輩のことを言っているなんて思わないだろう。

「私もいるよ。好きな人。」

結奈ちゃんは少し顔を赤くして打ち明けてきた。結奈ちゃんが好きになるなんてどんな人なんだろう。多分すごく素敵な人だと思う。

「私さ、中学のときは彼氏がいて3年生の夏前だからちょうど1年前くらいに別れたの。」

私の反応を聞く前に続ける。

「でさ、高校に入って、しばらくして私女の子のことが好きって気づいた。変かな…?」

いつもの結奈ちゃんはどこに行ったのか。いつもは明るく周りを引っ張るタイプなのに、今私の目の前にいる彼女はまるで昔の私のように自信がないように見える。

「変じゃないと思う。別に女の子が女の子のこと好きになったっていいじゃん。」

だって私もそうなんだから。結奈ちゃんを否定するということは、自分も否定することになる。


私がそう言い終わるころには、結奈ちゃんの顔がどんどん柔らかくなっていった。やがて安心しきったような顔で私との距離を詰めてくる。

「良かった。恵那に否定されると、私立ち直れる気がしなかったから。」

なんで私に?と聞くのは野暮な気がしたからやめておいた。以前の私なら聞いたかもしれないけど。

「恵那はさ、フリーのときに告白されたら付き合う?」

恋人がいたことのない私には難しい質問が飛んできた。フリーのとき、というのは多分恋人がいないとき。という認識であっているはず。となるとおそらく答えはyesだ。

「相手がある程度交友のある人ならOKするかも。そのときの自分の恋愛状況次第でもあるけど。」

「恵那に好きな人がいても?」

「ん〜その人との関係次第かな。もうだめそうな雰囲気が出てるなら諦めて告白してきた人と付き合うかも。」

今は先輩がいるから誰かに告白されても振ると思う。まだ可能性がないわけじゃないし、先輩から見た私も別に悪いものじゃないと信じている。

「このあいださ、バスケ部の男の子に告白されたんだけどまだ返事できてなくてさ〜。私には好きな人がいるけど女の子で、叶う可能性も低いからちょっと悩んでてさ。それで恵那に聞いたんだよね。」

「諦めるのは早いんじゃないかな。結奈ちゃんの好きな女の子がどういう人かはわからないけど、真剣に想いを伝えたら、きっと応えてくれると思うよ。」

「その子好きな人いるからさ、多分男の子だし…」

好きな人に好きな人いるか聞けたのか。私は向こうからそういう話題を振ってくれなきゃそんなこと聞けないのに。

「結奈ちゃん、私応援してるから。またなんかあったら話聞かせて?」

そのあと数曲ずつ歌ってカラオケを出た。もう日が沈みかけていて東の方は空が暗くなっている。

「じゃあまた明日ね。」

そう言っていつもの分かれ道で結奈ちゃんと別れた。

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