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星を一緒に見ていたい  作者: 電気の土星
第一章:一番星
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第26話:夏の入り口

だんだんと暑くなってきた。日が伸びて星の見え始める時間も遅くなる。今日は夏至だ。これからまた日が短くなっていく。あっという間に夏が来て、そのまま秋になっていく。今日は部活もないからすぐに帰ろうと思っていたら、帰りのホームルームが終わったあと結奈ちゃんに遊びに誘われた。

「恵那、今日暇?二人でカラオケでもどう?」

「今日は二人でなの?いつもは他の人もいるのに。」

私がそう言うと結奈ちゃんは少し照れくさそうに言った。

「いいじゃん。夏至なんだし。」

「ふふっ。なにその言い訳。」

夏至を理由に二人での遊びに誘ってくるのはよくわからないが、どうせ暇だし行くことにした。駐輪場に行って自転車に乗る。


髪が初夏の風で靡く。結奈ちゃんが今日はハーフアップにしてくれた。いつも髪型を考えてくれて、そのたびに褒めてくれる。高校に入る前には考えられなかった生活だ。テストが終わって席替えをしたけど、また隣同士になったから、休み時間はほとんど結奈ちゃんと過ごしている。

「恵那は夏と冬どっちが好き?」

「私は寒い方がまだマシだから冬かな。」

そのあとにでも…と付け足す。

「風鈴が風で揺れる音とかがあるから、夏は夏で好き。」

「なんだか詩人みたいだね。」

私はそう?と笑ってみせた。結奈ちゃんと話すようになってから自分でもわかるくらい表情が明るくなった気がする。先輩や結奈ちゃん以外とも話す機会が少しだけ増えた。もちろん私の中での1番の特別は先輩。その事実はどれだけ交友関係が広がっても変わらない。


「恵那、あそこでアイス買わない?」

結奈ちゃんが指差したお店は、こないだの休みに先輩と行ったお店だった。

「あ、あそこ美味しかったよ。前に先輩と行ったんだ。」

私が信号を渡ろうとしたそのときだった。後ろから袖をぎゅっとつままれた。

「ん?どうしたの?」

結奈ちゃんはハッとして手を離す。

「あ、ごめん。なんか、その…」

私は心配になって結奈ちゃんの顔を下から覗き込む。結奈ちゃんは結構背が高くて、私とは頭1つとまではいかないけれど、身長の差はそこそこある。私も女子のなかでは背が高いほうなのに。

「大丈夫?具合悪い?最近暑くなってきたもんね。」

「だ、だいじょうぶ…」

「そう?なら良いけど。あんまり無理しちゃだめだよ?わかった?」

「うん。」

そう言って結奈ちゃんは信号をスタスタと渡っていった。私も慌ててその背中を追いかける。

結奈ちゃんはいちごのアイスを、私は抹茶のアイスを頼んだ。アイスを食べ終えて、カラオケに入った。


「私から歌っていい?」

結奈ちゃんはそう言うとマイクを握る。曲は最新のアイドルの曲。私はそのアイドルはほとんど知らないけど、巷で話題なことくらいは知っている。朝のニュースでも紹介されていて、みんな同じ顔だなと思った記憶がある。結奈ちゃんは歌も上手い。新しい曲なはずなのに、すごく上手に歌っている。気がつけば私は手拍子をしていた。

「あ〜惜しい!あとちょっとで95点だったのに!」

そう言って悔しそうな表情を浮かべている。私なんて90点が出ることなんてほとんどないのに。

「次恵那歌いなよ。」

そう言われて曲を入れる。少し前の映画の曲。確か初めて一人で観に行った映画だった。初めて一人で映画を観に行くと、なんだか少しだけ大人になった気がする。

「なんか結奈ちゃんの後だと恥ずかしいな。」

曲が流れ始める。結構ストレートに好きとか言う曲だけど、別に結奈ちゃんの前だし気にならない。

「すごいじゃん。上手だよ!」

結奈ちゃんが褒めてくれた。最近なんでも褒めてくれる気がする。まあ褒められて気分が悪くなることはないからいいけど。画面には91.563点と表示されている。

「やった…」

私は小さく呟いて、結奈ちゃんにマイクを渡した。

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