対巨獣討伐チーム 2
帰路につく重装甲車の車内でルツキが鼻歌を歌う。
「ルンルンだねルツキ」
「無事だったんだから喜んでなにが悪いの? カヅキもユウスイも退院の時はちゃんと迎えに行ったのよ」
「そうだね。メノウは退院の日知らなかったから、見舞い品何にするか考えてたら急に戻ってきて吃驚したね」
「ありゃ、記念公園での待ち合わせでしたけど少し遅れそうだよルツキちゃん」
「どうして?」
「まだ巨躯との戦闘の後が修復できていない道があって、いま案内された迂回路に入ったから。30分くらいかな」
「そうなのね遅れるって伝えておくわ」
体にリハビリのサポート用の補助器具を付け森林公園を歩くハクマ。
ボロボロだった体は修復された、異質に変質してしまった皮膚や筋肉などを取り換えたはずだが、割れた皮膚の後まで再生している。
記念碑の前まで来ると身内の名前の前で立ち止まった。
「そこのあんた、防衛隊の人ですかな」
声をかけられハクマが振り返ると記念碑に手を伸ばす一人の老人が立っている。
「ハクマ君と行ったね。ラキ君から話を聞いていた。降参だ体はぼろぼろもう
戦闘の意思はない。私はおとなしく捕まろう。これを預かってくれないか』
老人は向き直ると伸ばしていた方とは別の腕を見せる。
それは義手でその腕で老人は自分の顔を剥がした。
剥がされた個所から見える金属の輝き、気が付けば曲がった背中もまっすぐと延びていく。
ハクマが身構えると膝をつきサイボーグは両手を上げて手にした小さな箱を落とした。
「ここへ何をしに来たんですか」
「最後に皆に謝りに、私は未来ある命を誰一人助けることができなかった。仇を打つこともできなかった、疲れてしまった。ラキ君が一度できたチャンスをしっかり行かせてくれていたら……」
「何がしたかったんですか。巨躯まで用意して」
「あの子他たちが犠牲になった原因である護祈に復讐がしたかった」
まだ軋む体を曲げてサイボーグが落としたものを拾い上げる。
見た目以上に重たい金属の箱。
「これは何です」
拾い上げた箱がカチリと音を立てて開くと中にはオレンジ色の輝き、その光は大きくなりハクマの掌がオレンジ色に輝きだす。
『変換機だよ。本当はあのデカ物が使う予定だったが私に託し囮を買って出た。勝てると思ったんだろう。聞いていた話だとスケールは4らしい。私は疲れてしまったんだよ。本当は私がやるはずだったんだが、君の姿が見えたから』
光はどんどん膨らんでいき、やがて慰霊碑の前に大きな巨躯が現れる。
もうすぐ森林公園へと到着する重装甲車の中。
「あと五キロで目的地ぃ、ところでユウスイはなんのゲームしてるの?」
「家禽化マスターEX」
「それ前からやってるわねぇ、いくらつぎ込んだの~お金~」
「今12万」
「ゲームに!?」
「ねぇユウスイそれ面白いの?」
「ダメだよルツキちゃんは~、ゲーム禁止ぃ」
話の途中で急停車する重装甲車。
もうすぐ降りる用意をしていた車内は大きく荒れた。
「ちょっとぉカヅキちゃん運転乱暴よぉ、ユウスイちゃん隊長の方にとんでっちゃったじゃない」
「いや皆さ前見てよ」
森林公園に見慣れない建物のようなものが立っている。
それはゆっくりと光を瞬かせ大きくなっていく。
皆目を疑ったがすぐに行動を起こす。
「なんで、巨躯が。とりあえずユウスイはハクマ君に連絡して」
「わかった」
カヅキとレオは近くの防衛隊基地へと連絡を入れている。
ルツキはメノウから通信機を渡されそれを取り付けると停車した車両から降り、変換機を握り変身で周囲を巻き込まないように車道から離れていく。
そしてある程度離れたところで改めて変身しようとするとユウスイが車内から飛び出してきて大声を出す。
「ルツキ! ハクマから反応があった! ……あの巨躯、襲撃者のものでハクマだ! あいつ襲撃者と接触して変なもの渡されやがった!」
声を裏返らせて大声を出し咳き込むユウスイと彼女の背を優しくなでるメノウ。
「被害が出る前に止める方法を考えて」
そういうとルツキは影刃青輝へと変身する。
何の情報もない知らない巨躯、つい今しがた現れたものだと思われ公園の方から逃げ出す車両がまだ多く見えた。
影刃青輝は森林公園へと向かい巨躯へと近づきながら咆哮を上げる。
高い密度、ただ硬く発光器官に変化はなく反応はない。
「ハクマが制御しているのなら反撃はしてこないはずだけど、意識が無くなれば巨躯が支配権を持って暴れ出す。それまでに何とかしないと」
「それってぇどれくらいなの?」
「影刃青輝では3分ほどもった。だからそれを越えたら破壊活動を始めるかもしれない、まだどういった行動をする巨躯かわからないんだから。一応ハクマから通信機で呼びかけたら返事はあった」
「ユウスイ、ハクマ君お連絡先知ってたのね」
メノウは白い変換器を使ってバリアを張り外の様子をうかがう。
「ねぇなんか下の方膨らんでいな~い?」
「脚はなく地面に根付いた高質化された防御型。防衛砲塔じゃないのに動けなくする理由、長距離砲撃型か? ならあいつの固有能力で利点が潰れるのにも説明が……膨らむ?」
盾に柱のように伸びていた巨躯は下の方から丸く膨らみ花瓶のようになっていた。
「ルツキもう一回咆哮、お願い」
森林公園へと向かっていた影刃青輝が立ち止まって方向を上げる。
「エネルギー量が上がってる、なんだこの異常な数値、こんなの爆発すんぜ……ルツキ、自爆型! そいつ自爆型!」




