対巨獣対策チーム 3 終
微動だにせず森林公園にそびえる巨躯が行動を起こした。
巨躯を中心に柱状の杭のような複数のバリアが展開され、周囲に広がったかと思うと勢いよく展開者の方へと戻っていく。
大きな火花が散り衝突の衝撃音が響いてくる。
「アースライトの反応数値が大きい。こいつが爆発したらどれだけ吹き飛ぶんだ」
「ルツキ、攻撃をアースライトの安定性を崩して倒すしかない。早ければハクマも軽傷で済む、助けるために全力で撃て!」
背中から鎌のように曲がって伸びた鱗を引き抜く。
そして長い腕を振り上げ体をねじりそこで動きが止まる。
「ルツキちゃん」
「ダメだやめるな、近くによって殴るより投擲の方が威力が高いやるんだルツキ」
「頑張れ」
「公園が吹き飛ぶ、多分ハクマも死ぬ。威力に寄っちゃ私らも危ない、ルツキ!」
柱状の巨躯は膨らむカ所がだんだんと上へと上がっていく、歪な膨らみ方をしながら柱の形は球体になろうとしていた。
そうしている間にも周囲に杭状のバリアを展開させ自分の方へと引き付ける。
改めて影刃青輝は引き抜いた鱗を持ち直し体をねじった。
そして勢いよく投げつけると衝撃波を放ち鱗が投擲される。
標的は膨らみ何倍にも大きくなった巨躯。
外れることはなかった。
自傷するためのバリアは消え投擲された鱗が命中する。
アースライトで作られ刺さらないはずの巨躯の体に三日月形の鱗が刺さった。
「まだ足りない、でも効いてる。続けてルツキ!」
二回目の投擲同じように衝撃波を放ち巨躯へと向かって行く。
巨躯は展開できるバリアを使って鎌がよそへ逸れた時に他で被害が出ないように自身の左右に展開させる。
二度目の直撃、発声器官がどこにあるかわからないが巨躯が咆哮を上げた。
それを聞いた影刃青輝の動きが悪くなる。
巨躯は間髪入れず二度目の方向を上げる。
背中の鱗はすぐに再生し影刃青輝の手には再生したばかりの鎌状の鱗が握られている。
火花と爆発、衝撃波が巨躯の周囲に土煙を上げるがバリアが動いて風を起こし視界の妨げにならないようにする。
二度三度と巨躯は咆哮を上げた。
すでに柱だった面影はなく完全な球体となり発光器官が激しく瞬き始めている。
影刃青輝は咆哮を上げながら投擲を再開、手にした二つと立て続けに再生した鱗二つを投げつけた。
巨躯は大きな振動を起こし光となって消えていく。
「勝った!」
消滅が始まったことを確認すると影刃青輝は投擲の構えを解き走り出し光となって消えていく巨躯のもとへと向かう。
森林公園は巨躯との戦闘で木々は折れ、建物のガラスはすべて割れている。
球体の巨躯本体のあった場所は大きく地面が凹んでいて、今しがた消えた怪物のいた場所にはハクマが倒れていた。
ハクマの姿を確認するとルツキは影刃青輝の形を解き、体に起きる不調によろめきながら足場の悪い場所にいる彼のもとへと歩み寄った。
しばらくしてハクマが目を覚ますと最後に見た景色とは似ても似つかない瓦礫の山の中にいた。
土と焦げ臭い焼ける匂い、人の気配を全く感じない静けさ。
ハクマの手には光の消えた黒い金属塊があり、ハクマの横にはひしゃげたサイボーグの体が合った。
「おかえりなさい、ハクマ君。いらない心配ばかりかけて。その、補助装置が付いているけど足が悪いの?」
「いいや、歩ける。ただちょっと今は、少し休んでいるだけだ」
そんな中ルツキは割れた瓦礫の一つを椅子にしてハクマのそばに座っていた。
目を覚ますのを待っておりルツキは迎えに来た重装甲車に気が付くと腰を上げ手を振って車両を呼ぶ。
「あなた、散々休んだのにこれでまた休む気なの? ほら行くわよ」
「えっと、ああ。ごめん」
巨躯へと変身し負担のかかった重たい体を起こしハクマは立ち上がる。
変換器だった鉄塊を落とし、それを拾うためしゃがんだところでルツキが心配して声をかけた。
「ちゃんと歩けるの? またどこか変質した?」
「いや、体は動く。長時間変身してなかったからなのか何度も護国獣になって戦って護祈見たく耐性が付いたか。体調は悪くないんだ、少し体が重いだけ」
「全くもう、基地に戻ったら休んでていいから。明日からは私のためにしっかり働いてくださいね。ハクマ君」
「はい、今まで休んだ分を何とか挽回できるよう頑張ります」
「いや本当は、メノウにしっかり調べてもらって休んでいてもらいたいんだけど。まぁ、お疲れ様」
ルツキは手を差し出す。
ハクマは握手をかえし背後にある慰霊碑を見る。
「慰霊碑、無事だったのねこれ。ハクマ君、あの中バリアで守っていてくれたの?」
「これは過去を思い出すのと同時に前に踏み出すのに必要だから」
「そう、ありがとう。守ってくれて。本当に、ありがとう」
「迎えが来ました、戻りましょうルツキさん」
迎えに来た重装甲車へと向かって歩き出す。
ユウスイとメノウがルツキとハクマの体調を訪ね、カヅキが運転席から手を振るレオはどこかと通信を続けながら二人を見て頬を緩め通信機を持っていない手で軽く手を振った。




