対巨獣討伐チーム 1
部屋の前で待ち構えていた戦闘サイボーグは狼狽える。
『お前、何をした!』
「災害救助用、アースライト製瓦礫固着ガス。あんたはガラクタ認定されたんだよ粗大ゴミさん。回収日までそこで待ってね」
一部固定化はできなかったが脚だけでなくその他の関節部も動かなくなったようで、罵倒する襲撃者を横目に変換機の奪還を通信が繋がっていたリウガンに報告する。
「くそ、初めからこのガス通路に撒いてればこんなことにならなかったのに。変換機を奪還しました。これから都市で暴れている護国獣たちを消します」
『仕方ない、アースライトは何でもできる。応用した道具は無数にな。それ全てを頭にとどめておくことなんてできない。俺だって護国獣の能力はすべて頭に入っているが今まで現れた巨躯の形と名前がわかっても能力は大雑把だ、防衛隊員の持つ装備なんて半分もわからんからな』
脅威はなくなりレオは日が暮れビルの瞬く明るい都市の光を見上げる。
リウガンとの通信と大型の変換機はユウスイとレオに任され、防衛隊員は二手に分かれ崩れた通路の復旧と負傷者の捜索、もう片方の通路を進んでいきいなくなったサイボーグを探しへと向かう。
「ユウスイ、お前は巨躯を消すことに集中しろ」
「わかってます」
建物の上から影刃青輝が落下し地面が激しく揺れ瓦礫が跳ね上がる。
変換器を管理する施設はバリアで守られているがその衝撃は地面を伝わっていく。
気体で床に接着していた足が剥がれ襲撃者が動けるようになる。
「今の揺れは? 早く地上を何とかした方がいいな、ユウスイできるか」
「今やります」
襲撃者は床に倒れるがすぐに体を起こす。
『させるか! お前たちなんかに!』
白い銃型の変換機でバリアを張りながら、ガスを噴射し改めて床に貼り付ける。
『何!』
「無駄だよ旧時代の兵器なんかで、アースライトの時代の道具に勝てるわけないじゃん」
変換器に触れ必要な機材を作り出しユウスイはルツキへと連絡を取る。
大型変換器で作られた護国獣を消そうとしているころ、光斧黄煌は最後に施設で生み出された型幽浮晶を引き付けていた。
すでに影刃青輝の消失の報告は行きわたっており、角光鋼螺の方へと向かっている。
角光鋼螺の体にとりついた型幽浮晶が光となって消えた。
歩みを止め立ち止まって光斧黄煌が振り返ると周囲の型幽浮晶たちも消えていく。
『優先順位は護国獣にと戦っている巨躯からだ。数が多い箇所は施設の方で消滅させてくれるのを待つ』
一体づつ型幽浮晶が消えていった。
しばらくしてユウスイが大型の変換機を動かし残った型幽浮晶を消すことで長かった戦いは終わる。
日付が変わる前に巨躯災害は終了した。
大桜山周辺に輪天暴羅、赤雲種墨、妖閃禍呑らスケール4が3体現れたことで始まった都市の防衛戦。
それに対し護国獣、正龍爆拳、夢龍聖懐、聖龍爆甲、護盾蒼鱗、護蒼豪腕、蒼甲震拳、剛龍衛装、守白晶龍、護硬甲牙、重聖射光、角光鋼螺、白縛聖壁、光斧黄煌、10を超える護国獣で迎えうち大きな被害を出しながらも無事に勝利した。
途中、奪われた護国獣や未確認の巨躯の出現、試験中だった護国獣を操られ都市内部で暴れさせることがあったものの都市が崩壊するほどの大きな損害はなく、襲撃者の一人を捉えることができた。
タブレットを持ったレオが報告を読み上げる。
先の事件で消耗した複数の護祈の代わりに巨躯の出現に備えて戦うルツキ。
襲撃と巨躯の出現とはあまり関係がなく護祈達に休みはない。
「この間の戦闘の追加の報告が出た。大桜山都市内で確認された襲撃者と協力者と思われる人物は20名。その内13名は捕縛か死亡が確認されている。大型変換機も狙われたが、アースライト採掘所も狙われていた。もっとも型幽浮晶を操るキーで手動で動かし採掘場を破壊するようだったが、そっちはリウガンさんが防御を固くしていたため結果、無数に湧き続けるだけで済んだ」
話を聞いてルツキとユウスイが頭を抱える。
「済んだでリネアお姉さまが辛い思いをなされたんですけど」
「手動で操作されていたら~、もっと連携を取って護国獣を捉えていたかもねぇ。ゾンビみたいにのろのろしてたけどぉ囲まれたら逃げようがないじゃない~」
「ぶっつけ本番でそんなうまく動かせるものなの? 足の速いイレギュラーな巨躯が二体も走り回れたんだよ」
「ちょろっと操作説明見たけどラジコンみたいなもんだったよ、ちょっと操作は複雑そうだけどたぶんメノウでも普通に戦えるくらいは行けるんじゃない?」
「カヅキちゃんじゃなくて~私~?」
「攻撃は相手にとびかかればいいんだし難しくはないよ。空飛ぶ相手には継続攻撃でアースライトを消費させ続ける。護祈がいらないから一匹の巨躯に複数体使っても大丈夫。知っての通り足遅いし攻撃力もほとんどないから、盗まれて暴れても近くにいる変換機の所有者を攻撃すれば終わり」
「そういえばさ、護祈のレイサちゃんが戦えるようになってよかったね。少しはルツキちゃんの負担も減るんじゃない?」
「確かに~」
「まだしばらくは他の護祈の代わりに戦わなきゃいけないだろうけど、あれから二か月もたったしもうほとんどの護祈は自分の基地へと戻ったでしょ」
皆がわいわいと話している中にルツキが割って入った。
「で、誰も話さないから聞くけどハクマ君は?」
皆が無言になる。
「死んだの?」
「生きてはいるみたい。大桜山の基地病院にいるよ。ルツキが見舞いに行くとか言い出さないように黙ってはいた。護祈が一気に消耗しちゃって動けない今はルツキちゃんに休みはないから。集中力を乱したくなくて」
「彼、体の変質がすごくて、内臓も骨も取り替えないとダメみたい。片腕は完全に硬質化し指を曲げることも肘を曲げることもできないって」
「そうなの……」
「明日退院だって」
「ええっ! えっ、え?」
「やっぱびっくりしてんじゃん、ユウスイ」
「今だけで何回表情変わるの」
「アースライト使った医療装置で治療すればすぐに治るわよぉ。消費は激しいけどカヅキちゃんの全身の複雑骨折とかも七日で直ったしぃ、その希少エネルギーであるアースライトを使った医療費を払えるかしだいよ~」
「明日、慰霊碑のある森林公園で待ち合わせている。こちらの基地の護祈が検査が終わり戻ってきたら引継ぎを任せて、帰り道の途中にある森林公園で回収して基地へと帰ろう」




