護国防衛隊 5
日が落ち煌びやかな都市の明かりの瞬きが護国獣を照らす。
都市へと入ったルツキが変換機をのある施設へと近づき、防衛隊の攻撃によって引き付けられている型幽浮晶を見つけた。
咄嗟に地面を蹴って飛び掛かろうとするが作戦を思い出し踏みとどまる。
目的地は変換機のある施設、正面にオレンジ色のバリアの張られたあちこちが壊れた建物が見えてきた。
都市の深部へと踏み込み護国獣の戦闘の後があちこちにみられるようになる。
倒壊こそしていないものの大きく抉れたビル、大きく捲れあがった道路、地面に貼り付けられた型幽浮晶がもがき土煙を上げていた。
それでもルツキが型幽浮晶と鉢合わせなかったのは防衛隊が進路上にいるものを全て引きはがしたためか。
光斧黄煌は防衛隊の車列を率いながら慎重に歩みを進め、どこかで戦っている影刃青輝を探す。
変換器の配置されている施設は現在ドーム状のバリアに包まれ外部からくるものを遮断している。
しかし内部から出ていくものは素通りさせているため、14体目の型幽浮晶が新たに生まれ強いアースライトのエネルギーにひかれて都市へと歩んでいく。
施設の地下に閉じ込められているレオとユウスイ。
「この揺れはいつまで続くと思うユウスイ」
「本部と通信したけど、試験的に作られていた護国獣を暴走させているらしいです。地上では十数体の巨躯がアースライトのエネルギーを求めて都市内で暴れています」
「あの変換機は無限に巨躯を生み出せるのか」
「いや、あの護国獣が特殊なだけ。エネルギー量のバランスを崩せば巨躯は自壊する、護祈の精神が乱れるかアースライトが尽きれば護国獣は消える。外部刺激を受ける感覚器官と攻撃を行う発光器官が弱点で弱点である発光器官は体の内側。でも上で暴れているのは護祈がいらない護国獣」
「変換機はほんの数十メートル後ろだというのに私たちはここで何もできないでいるしかないのか」
「今はそうです」
「何かあるのか?」
「今ルツキちゃんがこっちに来ています」
「だが道は塞がっている。巨躯が暴れているのならほかの道も崩壊や落盤しているだろう」
「変換機と一緒ならエネルギーの塊であるアースライトは万能なんですよ」
瓦礫の隙間に気体が流れてくる。
気体は瓦礫の隙間の様子を確認し瓦礫だらけの壁に張り付く。
「何か流れてきたな」
「そろそろ時間です。助けが来たかも、足の痛み和らげる薬持ってきてくれてるかな」
気体の振れた瓦礫は壁に張り付き個体化する。
崩れる心配の無くなった個所を強引に掘削し防衛隊員がやってきた。
「こっちにも生存者二名!」
「大丈夫ですか!」
レオ達のもとへと防衛隊員が向かってくる。
片手で瓦礫を投げ捨てながら二人のもとへとやってくると仲間を呼んだ。
「向こうに車両が用意されています」
「いや私たちにはまだやることがある応急処置だけしてくれ」
「わかりました」
「この先は大型変換器がある部屋だ、おそらくまだ襲撃者が居座っていると思われる。注意して進んでくれ」
高い建物を登る影刃青輝、腕には積み荷の乗った大型輸送車両が掴まれていて空いた腕で建物を掴みはるか下地面を見下ろしている。
建物の下には4体もの型幽浮晶が集まってきていた。
三体は発光器官を出しビームを放つが一方方向から飛んでくるものに対してならバリアで十分に防げている。
接近しバリアで型幽浮晶6体を地面に挟んで行動を封じたものの、影刃青輝の作れるバリアの大きさには制限があった。
大きく作れるバリアを使い切り細かいバリアでは不定形の形の護国獣はすり抜けて這い出てしまう。
5体目の型幽浮晶が建物の下にたどり着く。
細かいバリアを一体一体の前に作り出しアースライトの反応につられて集めた5体。
6体目が建物にとりついたところで足を離し影刃青輝は落下する。
そして落下しながら下方で待ち構える5体の周囲にバリアを張る、小さいバリアの壁が6体を取り囲むと持ち上げた大型輸送車両を落下速度を乗せて叩きつける。
凄まじい速度で叩きつけられた車両は粉みじんになり舞い散る部品と商品。
それでも型幽浮晶にダメージは与えられなかった。
5体にアースライトのエネルギーが吸われ影刃青輝は形が保てなくなり消滅する。
「影刃青輝が消滅。引き付けていた5体及びバリアで固定されていた6体の型幽浮晶が解放されます」
「角光鋼螺も限界が近い」
角光鋼螺は半身に張り付いた型幽浮晶にビームを放ち続けているが、次第に体に入ったひびが大きくなっていく。
崩落した地下道を掘り進め変換器への道が繋がる。
動けるレオと防衛隊員たち、その後ろから足を負傷したユウスイが続く。
『戻ってきたか』
戦闘サイボーグが天上の無くなった部屋の前に立っていた。
先ほど戦った時と違い部屋にバリケードの残骸は消滅しており、戦闘サイボーグはおそらくはアースライトで作られたであろう手足に換装し大きなシルエットがさらに大きくなっていた。
「なんだこいつは」
高い部屋の天井に頭をつけるほどの巨体を見た防衛隊員に、歯を食いしばり痛みに耐えながら歩くユウスイが吠えるように答える。
「馬鹿に変換機を使わせるとすぐに知性の無い破壊しか使えないものを作り出す。おそらく破壊不能でエネルギー切れとかもないんだろうな。ぼくのかんがえたぜったいこわれないさいきょーのぜったいつよいぶき」
他にサイボーグがいないかを確認したレオが指示を出す。
「とりあえず捕縛だ。他に二体いたはずだが消えたな、動けたのか」
『同じ手が何度も通じるものか、お前たちの武器などたかが知れて』
レオと一緒に前に出た防衛隊員たちは背中に背負った装置の電源を入れる。
装置からホースを伝って無色の気体がドライヤーの風のように指定した方向へと流れていき一気に広がり部屋を満たす。
「アースライトが手元にある状態で人間同士で戦うわけないでしょバーカ」
無機物同士が固着し部屋の中で待つ戦闘サイボーグは床から足が離れなくなった。




