護国防衛隊 3
あちこち破壊され灰色の煙が燻る大桜山基地。
負傷者は隣接する病院へ、破壊された車両は基地の周囲へと運び込まれ戦闘の後始末が始まっていた。
負傷したカヅキの傷の手当てを治療室の前で待っていたルツキに連絡が入る。
「おじい様! よかったさっきまで通信障害で誰とも連絡が取れなくて、メノウと隊長とユウスイにも連絡しないと」
『ルツキ、お前は無事か』
個別に連絡が来たことにリウガンが無事だった安堵と何か不安を感じ取るルツキ。
「はい、私は怪我もなく無事です。戦闘が終わりお姉さま方も、ここで休んでいます。巨躯が同時に多数現れたことで被害が大きくここも廊下まで人でいっぱいになっていて。都市の方はおじい様はご無事ですか? 巨躯が都市の方に現れたから逃げてきたと言う避難者の集団を見たので」
『ああ、その巨躯は防衛隊員たちの手で倒された、増やしておいた防衛塔が役に立った。だが新たに……そうだな新たに巨躯が都市の中に現れた。リネア……角光鋼螺が対処しているのだが、都市防衛に集めた最後の護祈が出撃したが現在戦況は芳しくない』
「私も戦えますおじい様。今から向かいますね」
『すまないな、戦闘後だというのにお前に協力を頼むことになる。車両より護国獣の方が足は速いだろうこちらで許可は取っておく。それとだな……』
カヅキの治療室を後に病院の外へと小走りで向かうルツキ。
通路は大勢の負傷者と治療を行う医師で彼女はぶつからないように通り抜ける。
「おじい様、まだ何か?」
『影刃青輝……の変換機を持っている、ハナミネハクマも戦闘に参加している』
「どうして、変換機の中にもうアースライトはないはずなのに」
『ああ、それは俺のせいでもある。こちらの映像で確認し分析したところ、アースライトを自前で調達できるのではないかという推測になった』
「護祈特有の能力ですね。すでに体がボロボロだっていうのに、早くと目に行かないと本当に助からなくなる」
『周囲のアースライトを集めて再結晶化。ビームも光弾もバリアも巨躯本体もアースライトを使って作られているからな。巨躯同士の戦闘があった個所なら必要なアースライトを集めらえたのではないかとな』
「ユウスイの意見ですか?」
『いま彼女とも連絡が取れない状態でな、彼女の安否確認を急いでいる』
山の斜面に合わせて巨大な建物が天に伸びる大桜山都市。
都市の建物を避けるように伸びたビームは白いドロドロした巨躯に命中し激しい火花を散らす。
護国獣角光鋼螺はねじれた二本の角から建物をよけ巨躯に当たり続けるビームを放つ。
白いドロドロした巨躯は4体、いくら攻撃しても弱る様子もなく角光鋼螺は数に圧倒され後ずさる。
建物の影からとびかかる影刃青輝。
白い巨躯を一体道路にたたきつけバリアを頭上に張り地面との間に貼り付けると角光鋼螺も前に出て残り3体を倒しに向かう。
変換器からは新たに巨躯が作られそれは不規則に波打ちながら地上へと這い出ていく。
護祈のいない護国獣である半不定形の型幽浮晶。
移動の際に四つ足の形を取ったかと思うと立ち止まり体が溶けだし道路や建物にへばりつく。
そして溶けた体の内側から発光器官をのぞかせると、他の型幽浮晶へと飛び掛かっている影刃青輝へと細い光線を撃ち出し攻撃する。
巨躯が歩くたびに地面が激しく揺れ、そのたびに瓦礫が落ちてくる。
バリケードと落ちてきた天上の一部の間にできた隙間にユウスイとレオはいた。
地下にいるため地上に光はなく、施設内の電気も消えバリケードが放つ電光板のわずかな薄暗明かりのみ。
「大丈夫かユウスイ」
「隊長、っく、あ、足が」
隊長が崩れそうになる天上の一部をバリケードとともに支えており、割れた床で目を覚ましたユウスイは落ちてきた瓦礫で痛めた悲鳴を殺し足を抑える。
「大丈夫かユウスイ」
「い、痛い、足がすごい腫れてる、折れたかも」
暗がりの中、傷を確かめるために足に触れて腫れと出血にうめくユウスイ。
レオ自体も崩れてきた天上にとっさに対処できず、瓦礫にぶつかり肩口から血を流している。
「私が助けてやりたいが崩れないよう上を抑えるので精一杯だ、変換機を構えるのが遅くバリアの内側に瓦礫が入ってきた。守り切れなかったのは悪かった。上では巨躯と護国獣が戦っているようだな、いつまで持つかわからん」
「バリケード、もっと固くしておくべきだった。作るの急いで材質をかえなかったままにするんじゃなかった」
「相手を捕まえたことで安心し、あれから逃げられることを想定していなかった私のせいだ。それより連絡は取れるか、足のけがの治療のためにも助けを呼んでくれ。私らが生き埋めになるぞ」
「ああ、ぅ、そうだ、連絡ね、ルツキほうの戦いはどうなったんだろう。今連絡します」
空間が狭く起き上がることもできず寝転がったままユウスイは通信機を取り出す。
「連絡はできそうか?」
「ああ、はい。通信障害は消えてます、とりあえず本部に、助けをよこしてもらわないと埋まる」
通信機が動くことを確認し連絡をとる。




