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変換機 5

オレンジ色の球体の中でもがくサイボーグ。

反撃を恐れ下手に顔を出せないでいるうちに大型の戦闘サイボーグが他2体を掴み力の限り投げていた。

それはオレンジ色の球体を強引に脱しバリケードの裏に隠れているレオ達の方へと迫る。


「揺れが大きいな」

「なんだろ、地上は爆撃でもされてんのかな。うわ、隊長、二体逃げた一番脅威だった戦闘サイボーグは捕らえたままだけど」


「皆警戒しろ二人逃げた」


レオの声に反応してサイボーグの一人が話しかけてきた。


「その声もしかしてあんた、ホシミズレオさんじゃないか」


名前を呼ばれユウスイと顔を見合わせるレオ。

そして少し考えたのち情報を引き出すためにレオはバリケードの影から返事を返す。


「さぁ、私に反政府組織に属する機械の知り合いはいないと思ったんだが?」

『ああ、無理もないですよ。こうして会うのも数年ぶりもっともその時はまだ人の体を持っていたんですがね』


「ほう、それではこうして壁越しですまないが自己紹介をしてもらえないだろうか」

『私の名前はオオガニ・オサムネ。この体になる前は保育園の園長兼バスの運転手でした』


聞き覚えのある名前にユウスイが首をかしげる、レオは静かに答えた。


「ああ……そうですか、お久しぶりですね。娘の葬儀以来でしょうか。行方不明になってもしやとは思っていましたよ、よもや人の体を捨てていたとは思いませんでしたが」

「隊長あいつ」


「ああ幻歌響迷と影刃青輝の戦いを知る関係者の一人だ、運転席を残して潰れた保育園の送迎バスに乗っていた」

「ふぅん、じゃあここまできたやつらも捨て駒か。捕まえても有益な情報は手に入らなそうだなぁ」


変換機や持ち込んだタブレットにアクセスしようとするが反応はなくユウスイはため息をつく。


「何の反応もない、だめだね隊長。変換機がうんともすんとも、今のままじゃ取り押さえられそうなものが作れない」

「そうか。ならあのままにしておこう。ユウスイ、このバリケードドローンも動かせないか?」


聞かれることを恐れ声を潜めてユウスイは答える。


「いや、遠隔だと無理だけど一つ一つに有線のコントローラーが付いてるから一機ずつなら。これ乗って作業員とか車通りの多い道とかを安全に移動できるし。どうするの」

「あれを押し出して施設の外へと運ぶ。もちろん逃げたサイボーグ二機を捕まえた後でだ」


「了解。ならまず逃げたやつを捕まえなきゃね」

「下手に顔を出すなよ、捕らえているとはいえあの戦闘サイボーグは重火器を仕込んでいる」


バリケードを乗り越えユウスイらの方へと向かってくる。


「奴らの目的はこのデカい変換機だ、近づけるな!」


防衛隊員たちは白い銃を構えて揺れの中で待ち構えているとバリケードドローンが勢い良く動き防衛隊員が吹き飛ばされた。

サイボーグの一人がバリケードドローンのコントローラーを握り操作している。


その隙をついて隠れていたもう一体のサイボーグが変換機へと駆けだした。

勢いのついた金属の塊を生身で止められるわけもなく、陣形を崩された防衛隊員たちは疾走する鉄塊に轢かれないように逃げだすばかり。

一瞬の隙をついて変換機のもとへとサイボーグは到達しコードを接続した。


「ハハハ、やったぞやりましたぞ!」


コードはオレンジ色の球体に捕らわれている戦闘サイボーグにつながっていた。

レオがオレンジ色の球体で二体のサイボーグを捕まえるがすでに遅く変換機が起動する。


「え、動くの?」

「あれは何だユウスイ奴は何をした」


「あいつはルツキたちが使う護国獣の起動キーをこの変換機にいれたんだと思う」

「何が起きるんだ」


「ルツキのペンダントと一緒、アースライトが入っていないだけで今この変換機を使ってアースライトに情報、設計図をつないだ! この変換機を中心に護国獣……巨躯になる!」

「総員退避!」


変換器の放つ光が大きくなっていきレオは指示を出しながらユウスイを抱えて走り出す。

同じように防衛隊員たちは一斉にオレンジ色に輝きだした変換機に背を向けて部屋の出口へと向かって走り出した。





巨躯の侵入を防ぐために張られていたバリアも、強風の影響で砲台とともに倒壊し押さえつけるのに限界を迎え始めていた。

ハクマたちが運ばれた砲台も限界を迎え始めグラグラと揺れ始める。


「向こうの砲台も倒れちまった。もうあれを止められないのか」

「揺れがさっきより大きくなってきたな……ここももうあまり持たないんじゃないか?」


大怪我をし寝かされているハクマの手にあった損傷した小型の変換機がアースライトで作られた砲台のエネルギーに当てられ輝きだす。

防衛隊員たちが何事かと視線を向ける中でハクマが強く変換器を握るとオレンジ色に眩く光り、その光は大きく広がり始め砲台を内側から破壊して護国獣影刃青輝が現れる。

影刃青輝が作り出したバリアがメノウと防衛隊員たちを吹き荒れる強風から守り、ゆっくりと頭を上げる影刃青輝は目の前の強風をおこしながら回転する巨躯へと向かって飛び掛かった。


バリアの隙間から巨躯の体に爪を立て強風で大量の火花が風に舞う。

巨躯がぶつかり合うその地響きでメノウが目を覚ます。


「ルツキちゃん……いや、ハクマ君ね。戦ってはいけないって止めたのにぃ。通信を、ユウスイちゃんに連絡しなくちゃ」


メノウは巨躯を見上げ周囲を見回し防衛隊員たちを見つけ声をかける。


「すみません、通信機を貸してもらえませんかぁ」

「あの巨躯が出現した影響か、今どことも連絡が取れない状態です」


「そうなんですか? 今の戦況もわからない感じですかぁ?」

「ええ、どことも連絡が取れていない状態でして私たちも指示が来ず逃げるに逃げられずこの場で待機を」


巨躯は空間を波打たせて攻撃し、その攻撃は何重に張ったバリアでも防ぐことはできず影刃青輝が弾き飛ばされる。

落下地点にバリアを張りそれを足場に体制を立て直して影刃青輝は自分の張ったバリアを踏んで飛び上がってその落下速度をつけて飛び掛かった。


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