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変換機 4


至近距離で行われている砲台と巨躯の戦闘。

荒れ狂う防風で重装甲車がもう半回転してタイヤが地面に着くとメノウは一気に都市へと向かってアクセルを踏む。


『メノウさん、何が、起きているんです』

「都市目前で襲撃者の巨躯が現れた、その攻撃に巻き込まれてるのぉ」


つよい風の音と装甲版を打ち付ける石などの雑音にかき消されながらも外れた機械を使ってメノウへと尋ねる。

ハクマは手にした変換機を強く握りしめた。


『俺がもう一度、護国獣になれば』

「ダメよ、せっかく大きな後遺症なくルツキちゃんが助け出したのに。アースライトの症状については隠されていることが多いけど、今のあなたは護祈じゃない人間が長時間アースライトのエネルギーに触れたにしては軽微な症状なんだからぁ」


メノウが止めるもハクマは巨躯を止めようとするがアースライトを使い切った変換機に反応はない。

動かせる範囲で強く握ったり振ったりしたものの変換機は動かずハクマは肩を落とす。


『メノウさん、変換機が動かない』

「アースライトがないのかも~もう補給しないと使い物にならないってことね、危ないからその方がいいのだけどぉ……というか今変身しようとしたの? 近くにいる私のこと考えてないわよねぇ?」


再度重たい車体が持ち上がり片輪で操作を誤り道路から離れ砲台の一つに激突する。

強い衝撃でメノウは気を失い、救命ポットの固定がはずれハクマの拘束も解かれた。


痛覚の遮断が切れ一気にハクマに痛みが戻ってくると声にならない叫びをあげる。

肺が膨らむたびに激痛に襲われ呼吸すらままならない痛みの中、ハクマはカプセルから這い出て外へと向かう。


高く伸びる灯台のような砲台の足元で、奇跡的に車両は風の影響を受けにくい場所で停車していた。

柱にしがみつき吹き飛ばされないようにこらえていた防衛隊員が車両から這い出たハクマを見て危険を冒し救助に近寄ってくる。


「大丈夫か? 防衛隊の人間か?」

「怪我人だ、手を貸してくれ」


運ばれている最中体に痛みに絶えながら中にもう一人と告げると防衛隊員は慎重に重装甲車の方へと戻っていった。

建物の中には砲台にエネルギーを送るアースライトの光が満ちていてハクマが握る変換機が熱を持つ。


少しして気を失っているメノウが運び込まれてくる。


「どうして巨躯が! 現れた数は3体だったんじゃないのか!」

「護国獣は全部基地の方へ行ったからここに護国獣は現れないんじゃないか?」

「どうなるんだ俺たち、本部はなんて言っている?」

「だめだ、あの巨躯が現れてから全通信がダウンしている。どことも連絡がつかない」


新たに現れた巨躯は遠距離砲撃型の攻撃に備えて作られたバリア発生装置の何十にもなるバリアに囲まれその場で回転し竜巻を起こすだけにとどめられていた。

とはいえ風で巻き上げられる落下物が周囲に被害を出す。


巨躯との戦闘が遠くで都市の機能がマヒしないように普段通りに生活していた市民たちは突如現れた巨躯に驚きパニックを起こしていた。

あちこちで悲鳴や怒号クラクションや警報、救急車両のサイレンの音が混ざり合う。

その上を浮遊車が飛び回り巨躯のいない方向から都市の外を目指し移動している。



都市の地下、20名ほどの増援を連れてレオがユウスイのもとへとやってくる。

室内には多くのバリケードドローンが侵入者を迎え撃つように閉ざされた扉を囲うように何重にも重なって壁を作っていた。


「大丈夫かユウスイ」

「隊長。よかった間に合った」


レオの到着にほっと胸をなでおろすユウスイ。


「侵入者は」

「もうあの扉の向こう。時間稼ぎで食い止められなかったよ」


「仕方ない、できることをしてよくここまで時間を稼いでくれた」

「できたことだけどね、アースライト使って何か作るのって初だからね。私専門家じゃないし。いざ何でも作っていいといわれると名に作っていいかわからなくなる。兵器の設計図とか登録されてないし、鎮圧装備は私が持っても仕方ないし、今思えば壁を埋めちゃえばよかったのかも」


「わかったわかった、休んでいてくれユウスイ」


金属を削る音が響き最後の扉がやぶられる。

分厚い扉がはずれ部屋の方へと押し込まれてくるとその陰から3体のサイボーグが現れた。


「数が少ないな、ここに来る間になんかあったかユウスイ?」

「動力であるエネルギーパックを抜き取って壁を焼き切るプラズマカッターの電源に使った」


「あれで全部か」

「うん、後続はない。あっちからも他の防衛隊員が駆けつけてくれる」


その場にいた防衛隊員たちが一斉に武器を構えて銃型の変換機を照射、オレンジ色のアースライトのバリアが何重にも重なって侵入者を包囲し拘束する。

最後にレオが近寄り三体のサイボーグをオレンジ色の液体のような球体の中に閉じ込める。


「拘束したが、バリアの照射は続けてくれ何をしてくるかわからない。さて、ユウスイが時間を稼いでくれなかったらだいぶ危ない所だったな。とはいえサイボーグは捕まえたことがないからな、どうやって取り押さえて地上まで連行するか」

「どうだろ、まだ獣とか持ってるだろうし近寄るのも怖いし。鋼鉄のワイヤーとか作ってみる? このデカい変換機の使用許可は出てるし手錠よりは強力だと思うけど。抵抗できないよう手足とか取り外すのは法に触れたりする?」


「ならバッテリーはどうだ?」

「生命活動とどれくらい直結しているかにもよる、サブの電源がなければ生命活動が停止して私ら殺人者になる」


「アースライトの捕縛性能が高すぎて、やむおえない事態が無くなってしまったからな」


彼女らが襲撃者を捉えたころ地上では都市の入り口で新たな巨躯が出現していた。

地下にいるユウスイらには知る由もなく巨躯の出現とともに起きた異変が施設に現れる。


「建物が揺れている?」

「地震じゃない、多分大桜山の噴火でもない。そうゆう揺れ方じゃない」


ユウスイが外のモニターを確認しようとするがモニターは接続なしの文字が映されているのみ。

小さな振動から始まった揺れはすぐに大きくなり、立てないほどではないもののユウスイや防衛隊員らは壁に亀裂などが入り建物が倒壊しないかを心配し始める。


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