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変換機 3

ルツキが他の護祈とともにスケール4の排除に、ユウスイとレオ隊長が都市の地下での攻防を行っているころ。

メノウの運転で都市へと引き返し揺れる重装甲車の車内、治療ポットの中でハクマは目を覚ます。


ハクマは狭い何かの中に押し込まれ固定されているようで身動きが取れず困惑する。


『ここはどこなんだ、何の中に押し込まれて……』


心の中で思ったことがひとりでに口から出たことに驚き言葉を止めると、その問いにどこからか聞きなれた声で返事が返ってきた。


「ハクマ君? まだ寝てていいわよぉ、今大桜山に向かって移動中。装置の間隔調整で今痛み感じてないかもしれないけど重症で死にかけなのよ~。今すぐにでも治療を受けないと失血と傷口のショックで死んでもおかしくない。出れないからおとなしくしていなさいよぉ」

『まってくれ、メノウさん、なんか声がおかしい』


「ええ、思考を機械が読み取って音声出力しているわよぉ。今瞬き一つできないでしょ~。本当は全遮断じゃなくて痛みで意思の疎通が難しい時に症状や体調を聞き取るためのものだけど、今私が運転しててバイタルとかのチェックとかできないしそのままでねぇ。強く思ったことを読み取って声にしちゃうから恥ずかしいこととか考えないようにしてねぇ」

『俺は何でここにいるんですか』


「あなたは壊れた変換機に触っちゃって護国獣になって暴れていたのよぉ。他の護祈に呼び掛けてスケール4と一緒に処理されそうになっていたところをルツキちゃんに助けてもらったんだから。この騒動が終わったらぁルツキちゃんに感謝しなさいねぇ」

『ルツキさんが? 彼女は今どこに』


「今最後のスケール4の退治に向かったわ~、他の護祈達がだいぶ疲弊している。本来は1時間以外に戦闘を終了しないと護祈の精神に支障が出ちゃうからね。ルツキちゃんや他の護祈の戦闘後を見たハクマ君ならわかるだろうけど~。ハクマ君はこのまま~病院で治療に専念よぉ。アースライトの影響で、護祈じゃないから急速な皮膚の変換後遺症が出ているわぁ。とはいえ皮膚の硬質化は爪や角質のようなもの、骨や内臓がどうなっているか話調べないとわからないけど、治らないなんてことはないから大丈夫だからね~」

『ラキさんの体がマネキンみたいな質感だったのはそういう変化が』


「はいはい会話は終了、不要に脳を使ってエネルギーを消費しないように」


メノウが会話を断ち切り運転に集中しようとしていると、道路の真ん中に乗り捨てられた車両。

道の真ん中に邪魔になるように止まっており重装甲車は車道の隅によって放置された車両の脇を通り抜けようとする。


「これたぶんさっきルツキちゃん乗せてた時にすれ違った車よねぇ、何で乗り捨てられているのかしらねぇ~?」


通り過ぎざま車両を見るが運転席に人はおらず周囲に人影もない。


「せめて道の端に寄せてほしいわねぇ、こっちは急いでいるのに~」


都市の目前まで到着し重装甲車は防衛用の巨大な砲台が並ぶ防衛隊の最終防衛ラインを進む。

都市に接近していたスケール4の輪天暴羅が消えたことで、ひとまずの危機はしのげたもののいまだ緊張状態が続いていた。

防衛隊員たちは都市に入ろうとする車両に検問を行っており、都市へと近寄る重装甲車に停止するよう命令しメノウのもとへと数名の防衛隊委員がやってくる。


「お疲れ様です。ただ今町に入る車両は防衛隊の物も含めてすべて調べるように言われています。ご協力を」

「ええ、さっきここから出ていく時にも言われました。私は護国獣影刃青輝、ヨサキルツキ護祈サポートチームのギンノウメノウ、後ろに負傷した同じサポートチームのハナミネハクマ、彼を病院へと搬送中です」


手続きを行い車内のハクマが入った救命ポットを見せていると、近くの砲台の根本で眩い光が輝き始めた。


「アースライトの光? まだ何かアースライトて制作の指示が出ているんですか?」

「えっと、こちらには何も……」


車両を止め疑わしいものがないのを証明するために防衛隊員を聴取を受けていたメノウはハクマの様態を見に重装甲車の車内に戻る。


「もうすぐ大桜山都市の中に入るから待っててねぇ」


オレンジ色の輝きが大きくなったかと思うとその場にオレンジ色の半透明な巨躯が出現し、出現と当時に周囲に強い強風が吹き始めた。

暴風ともいえる強い風に人は立っておれず地面を坂道を滑るかのように転がっていく。

重たい重装甲車の中にいたメノウとハクマだけがその場に残される。


「まだいたの、巨躯、いや分類は護国獣なんだったか。こんなところに侵入を許してしまって」


後部扉も閉めずメノウは慌てて運転席へと戻り車両を発車させた。

接触で砲台をなぎ倒し抉れた地面や崩れた砲台の瓦礫が重装甲車の天板を叩く。


その場で回転し暴風を起こす新たな巨躯。

周囲の砲台が即座に新たに現れた目標の方へと砲身を向けようとするが、張られたバリアが巨躯の体と一緒に回転し攻撃を弾き建造物をなぎ倒す。


「ああ、いやねぇ。これぇ逃げ切れるかしら……」


すでに新たな巨躯が現れた場所には巨大な竜巻となっており、地面や車両、バリケードや仮設テントなどを空へと巻き上げる黒い土煙の中で巨躯の張るバリアの光が輝いている。


強力な風が重装甲車の片輪を持ち上げメノウはシートベルトを着用し横転に備える。


「ダメかも」


風に耐えきれずに横転し火花を散らして道路を滑る重装甲車。

車内にあった装備がはずれ後部扉から入り込んでくる風で激しく舞い上がる。


当たらに現れた巨躯の起こす風に耐え残った砲台が一斉に砲撃を放つ。

風の吹き荒れる音をかき消すほどの轟音が鳴り響き地面が大きく揺れた。


横転した衝撃で上下が逆さまになりハクマのいる救命ポットが開く。

本来想定しない角度で救命ポットの拘束が外れ、わずかに体を動かせるようになったハクマのもとに回収された壊れた変換機が風に舞い飛び込んでくる。

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