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変換機 1

巨体は光となって消え血だらけのハクマがその場に残される。

どさりと倒れたハクマに恐る恐る手袋をつけながらメノウが近寄っていき、彼が意識を失っているとわかると駆け寄り怪我の様子を調べる。


「手遅れ……ではないけど結構、浸食されてるね」

「壊れた変換機を使って変身したんですもの、生きているのね。よかった」


「アースライトの変換で肌が別の素材になりつつある、切除し新しい皮膚でも移植すれば、まぁしばらく包帯生活だろうけど」

「助かるの? ハクマ君は?」


「生きてはいるけど、血がすごい結構な大怪我よ。こっちも怪我してて……ん~、ここではどうしようもないわねぇ」

「助かるのよね?」


救急箱から包帯と消毒液を取り出しながらルツキの問いに答えた。


「今、止血と応急処置はしているけど、骨も臓器もひどいダメージを受けてると思う。すぐに専用の設備で治療しないとまずいかもねぇ」

「護祈の変換機には、治療ポットの設計図があるわ。電源も用意できる」


「ええ、護祈が負傷したときの……必要かもねぇ、お願いできるルツキちゃん。生命維持の機能だけでも今はないよりはずっといい、車内に設置して都市へと連れ帰って安静にできる場所でちゃんとした治療を受けてもらうわぁ」


影刃青輝を拘束していた光の柱は消え白縛聖壁は大きな方向を上げるとルツキが天板から後方を振り返り大きく手を振る。

簡易的な傷の処置を終え重装甲車から引っ張り出してきた担架にハクマを乗せた。


『最後の一体、妖閃禍呑は足がないとわかった。奴は移動能力がなく体に生えている手足は自重を支えて歩き出すことはできない。また視力、あるいは感知能力に問題があるのではないかと指摘もされている。今は動いていないが、いつ動き出すかわからない、接近中の護国獣たちは注意しながら近づいてくれ』

『他のスケール4赤雲種墨もすぐに消えてしまいましたし、強すぎるエネルギーで設計段階では考えられなかった欠点が生まれているのかもしれません』


担架を用意し羽のたくさんついたドローンで担架を持ち上げ、ハクマをカプセルの中へと入れると操作パネルを指先で叩いて装置を起動させた。


「これで大丈夫なの?」

「ええ、今ここでは死にはしなくなったわよぉ。とりあえずはねぇ、あとは安全な場所でこのカプセルから出して治療器に入れるだけ。隊長にも連絡入れて都市へ戻らないとね~」


汚れた手を拭きメノウは大きく息を吐く。


「そうメノウ、私は行くわ。あとの事よろしくね」

「ええ、行ってらっしゃいルツキちゃん。終わったら迎えに行くから」






大桜山都市の中枢、アースライト管理区域にいるユウスイ。

都市エネルギー設備を一括して制御している音が吸われる特殊なドーム状の部屋の中で彼女はヘットフォンで音楽を聴きながら巨躯と護国獣の戦闘映像を見ていた。

施設内を映す警備モニターにこの場に似つかわしくない見慣れぬ影を見つけ無線機で確認を取る。


「隊長。なんかこっち来てるけど、何は話きいてる?」

『いいや、おそらくは襲撃者の仲間だろう。いま警備をそっちへ向かわせる。採掘設備か制御設備へ行くとは思っていたがそっちが本命だったか』


「まぁ、膨大なアースライトを爆弾にでも変換されたら国ごと消えるしそっちを守るのは正解だったと思うけど……。外は無人機と警備とセンサー類増設して万全を期してたのにどっから入ってきたんだ……って、隊長! やつら戦闘サイボーグなんだけど、鎮圧装備じゃなくて制圧装備で来させて。一つ二世代前の戦闘サイボーグがいる。今じゃ裏世界の要人の護衛か裏サイボーグ格闘技でのデスマッチでしか見ないような奴」

『形から採用している国はわかるか?』


「側が変わってて見た目じゃわからない、分解してパーツで見ないと国籍はわからない。もしかしたら全部裏で流れてる型落ち品を流用しているのかも、アースライトの普及で戦争の形も変わって戦闘サイボーグなんて維持費のかかるガラクタだから安く流れてるし」

『わかった。ユウスイ、急がせるがそっちで時間稼げるか?』


紙パックのジュースをすすりユウスイは椅子の背もたれに寄りかかる。


「隔壁封鎖とアースライトの変換機の使用許可さえあれば銀行の金庫よりここは安全だけど、あれが見掛け倒しでなければそのうち開けられる」

『話は付けておく、許可を待たずに必要だと思う行動してくれ。制御コードをすぐ送らせる、必要なものを擁してくれ』


「わかりました。早く助けに来てくださいよ。私、荒事は素人なんで」


サンドイッチを頬張るとユウスイは設備の制御系へとアクセスした。

警報と隔壁の閉鎖、通路の電源を落とし侵入者の隔離を行う。


「隊長、赤外線カメラで見てるけど止まらないな。この施設のマップ抜かれてるっぽいです、碁盤の目みたいに広がる構造が機能してないまっすぐこっち来てます」

『耐えられるか?』


「予想より早くこっちにきそう、もって2時間。それまでに何とかして」

『そっちに対機兵部隊を送った、30分で着くだろう』


「道は開けておく、武装は不明数は6、いや今新たに2人来たゴテゴテの戦闘用は一機だけ。何人この都市に紛れ込んでるのか知らないけど施設の外で見張っている奴もいるかも」


防衛機構でできることが終わると小走りでユウスイは変換機の操作へと向かう。

いくつものパスコードを打ち込んで変換機にアクセスすると路上の通行止めなどを行うバリケードドローンの製造を始めさせる。


「アースライトのおかげでエネルギーも物資も世界中に行きわたった。飢えや病気、アースライトの輸出の契約と量の制限で戦争も消えたし最低限の学習の義務化なども広まって誰もが今日を生き抜くのに必死になることはなくなった。その分、争いごとで生計を立てていた人らは突然仕事を失い、恨んでるんだろうな」


白い銃型のバリアを張る変換機を膝の上に置きユウスイは紙パックのジュースのストローを噛む。


「そうやつらにそそのかされて利用されるのが彼らなんだろうな」


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