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青の亡霊ー真実を暴かない探偵は、正しさを後悔している―  作者: 天水 こうら
第六章 名前のない気持ち

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答えの出ない気持ち

地の文の書き方少し変えました。

読みにくいと思ったら戻します。

駅前は、休日らしい人混みで賑わっていた。

買い物袋を提げた家族連れ。

制服を着た学生。

待ち合わせをしているカップル。


そんな人の流れを眺めながら、僕は腕時計を見る。

待ち合わせの十分前。


少し早く着いた。

普段ならスマホでも見て時間を潰すところだけど、今日はなぜか落ち着かなかった。

映画を見て、買い物をして帰る。

ただそれだけだ。

白石に助けてもらったお礼をしたいと言われて、断る理由もなかった。


……それなのに。


胸の奥には、小さな違和感が残ったままだった。


「東雲!」


聞き慣れた声に顔を上げる。

白いブラウスに薄いカーディガン。

制服とは少し雰囲気の違う私服姿の白石が、手を振りながらこちらへ駆け寄ってきた。


「ごめん、待った?」


「いや。僕も今来たところ」


そう答えると、白石はほっとしたように笑う。


「よかったぁ。休日に誰かと遊ぶのなんて久しぶりだから、ちょっと緊張しちゃって」


「それは僕も同じかな」


思わず苦笑すると、白石もくすっと笑った。


「じゃあ今日は、お礼も兼ねて楽しもう!」


その笑顔は、文化祭の前に見せていた無理をした笑顔ではなかった。

心の底から笑えている。

それが分かっただけで、今日ここへ来た意味はあったのかもしれない。


「まずは映画から行こっか」


「うん」


そうして僕たちは、人で賑わう駅前を並んで歩き始めた。

映画館へ向かう道。

休日の駅前は、人で溢れていた。


「チケット買っておこうか」


白石がそう言って、人混みの中を歩き出す。


「うん」


僕もその後を追う。

その時だった。

制服姿の女子高生二人組が、楽しそうに笑いながら僕たちの横を通り過ぎる。

その笑い声を聞いた瞬間。


——先輩!


不意に、あの聞き慣れた声が頭に浮かんだ。


文化祭で後ろから驚かされた時のこと。


焼きそばを半分こしたこと。


夕暮れの中庭を並んで歩いたこと。


「……東雲?」


白石の声で我に返る。


「あ、ごめん」


「ぼーっとしてた?」


「ちょっとね」


そう笑って誤魔化す。


……最近、変だ。


何かあるたびに、深冬ちゃんのことを思い出す。

別に特別な理由なんてない。

ただ、一緒にいる時間が長かったから。

きっと、それだけだ。

そう自分に言い聞かせながら、僕は白石の後を追った。





一日は早かった、映画を見て、服を買いに行った。

そうして帰路につく。

夕暮れに染まった駅のホームで白石が口を開く。


「文化祭はありがとう。」


「あの日、東雲が河川敷まで来てくれなかったら、私きっと舞台にも立てなかった。」


「だから、ちゃんと伝えたかったの。」


夏蓮の一件で僕は助けるべきだと考えたら助けると決めていた。


それにあの時の白石は昔の自分を見ているような感じがした。


あの頃の自分を助けてくれる人はいなかった。


だからこそ、目の前で苦しんでいる人だけは見過ごせなかった。


そんなことを考えていたら少し顔を赤らめた白石が話し始めた。


「そのさ、早いってのは自分でもわかってるんだけど、

東雲にいい人がいないなら付き合わない?」


「返事は今じゃなくていい、待ってるから」


そう言い残し、足早に電車に乗って帰っていった。




こんな経験は、今まで一度もなかった。


告白。


その言葉だけが、何度も頭の中で繰り返される。


好きか。


そう聞かれても、すぐには答えられない。


白石は大切な友達だ。

助けたいと思った。

笑っていてほしいとも思う。


でも――。


電車を待つホームで、ふと頭に浮かんだのは。


「先輩!」


いつものように笑う深冬ちゃんの顔だった。


文化祭で並んで歩いたこと。


「来年も一緒に回りませんか?」


そう言って照れ笑いした姿。


あの笑顔が、離れない。


「……なんなんだよ」


思わず、小さく呟く。


電車がホームへ滑り込んでくる。


僕は乗り込んでも、答えを見つけることはできなかった。

筋肉痛がやばめ

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