事件のない約束
GWが終わるのが早すぎる、明らかに時が加速してた。
新幹線での会話のあと。
深冬ちゃんは泣いたあと、少し照れくさそうに窓の外を向く。
僕も何か言おうとするが言葉が出ない。
沈黙。
でも、前みたいな重い沈黙じゃない。
少しだけ、心地いい沈黙。
家につき、荷物を置いて、一人になる。
何だか違和感を感じる。
いつもより部屋が静かすぎる。
なぜか。
この数日ずっと深冬ちゃんと一緒だったから。
スマホを見る。
すると一通メッセージが来る。
「今日はありがとうございました」
「……少しだけ、自分を嫌いじゃなくなれそうです」
続いてメッセージが届く。
「先輩」
「今度は、事件とか関係なく出かけませんか?」
スマホの画面を見つめたまま、思わず笑ってしまう。
ほんの少し前まで、事件のことしか話してこなかった。
過去のことばかり追いかけて、
今を楽しむ余裕なんてなかった。
でも――
少しだけ、変われた気がする。
僕はスマホを打つ。
「もちろん」
「今度は、ちゃんと楽しめる場所を考えておくよ」
送信した直後、すぐに既読がついた。
「楽しみにしてます」
短い一文なのに、
なぜか胸の奥が少しだけ熱くなった。
そのままベッドに倒れ込む。
疲れていたはずなのに、不思議と嫌な疲れじゃなかった。
目を閉じる。
ようやく、本当に終わったんだと思えた。
――そして、数日後。
久しぶりの学校は、いつもより騒がしかった。
教室へ歩く生徒たちの声も、
教室から聞こえてくる笑い声も、
どこか浮ついている。
「……なんか、最近は騒がしいね」
「当然ですよ、先輩」
彼女はそう言って、掲示板を指さす。
そこには、大きな張り紙にこう書かれていた。
文化祭、11月12,13日開催!!!。
「……文化祭か」
思わずそう呟く。
文化祭なんて、正直あまり興味はなかった。
でも——
「今年は楽しくなりそうだね」
「初めての文化祭なので楽しみです!!」
深冬ちゃんが、少しだけ笑う。
その笑顔につられて、僕も少しだけ笑った。
その日のホームルーム。
担任が教壇に立つと、教室の空気が一気に変わった。
「よし、お前ら。そろそろ文化祭の準備を始めるぞ」
その一言で、教室がざわつく。
「何やる?」
「お化け屋敷がいい!」
「いや、飲食系だろ!」
一気に騒がしくなる教室。
さっきまで眠そうだった連中まで、急に元気になっている。
……すごい熱量だ。
そんな様子を見て、担任が口を開く。
「盛り上がってるとこ申し訳ないが、二年生の出し物は演劇か展示だからな」
クラスの熱量が少し下がるのがわかる。
「ちなみに学年で最優秀賞を取れたら学校からご褒美があるからそれ目指して頑張れ」
その時誰かが口を開く。
「そのご褒美の内容って何なんですか?」
「内容は毎年変わってるが去年は商品券だったぞ、それじゃあ後は適当に決めといてくれ」
いい加減な担任だ。
でもそのくらいの熱量が丁度いい。
クラス委員長が前に出て話を始める。
そして——
クラスの出し物は、
演劇に決まった。
「おおー!!」
教室が盛り上がる。
その中で、一人だけ。
前の席の女子生徒が、少しだけ困ったような顔をしていた。
でも、その時の僕は——
まだ、その表情の意味を知らなかった。
最近氷の城壁見てるんすけどおもろいっすね。




