第9話
月曜日のホームルーム。
「えー、皆さん良いお知らせです。転校生が来ました。まだ、入学式から一週間程しか経ってないけど…」
担任の田村先生がお知らせを持ってきていた。
「転校生のエルナ・アンバーさんです」
教室のドアが開き、金髪碧眼の美少女が入ってくる。
「エルナ・アンバーです。よろしく」
そう言ってお辞儀をする。
日本語ペラペラだった。
「オー、外国人デスね」
隣の席から小林が話し掛けてくる。
「そうだな、金髪だし」
「ナルホド、金髪は外国人なのデスか…」
何か小林が呟いていたが、よく聞こえなかった。
エルナは用意された席に座る。
俺と小林とはかなり離れた場所だ。
「まあ、俺には関係無いな」
俺はそう言って窓の外を眺めるのだった。
ホームルームが終わるとクラスメイト達が転校生の周りに集まっていたが、興味が無いのでトイレに向かうのだった。
ーーーその頃、教室では。
「エルナさん出身アメリカなんだー」
「ええ」
「日本語ペラペラだね」
「日本の文化が好きなので」
「嬉しい!」
エルナはクラスメイト達と会話を交わしていた。
「そうだ、皆さんに1つ聞きたいことがあるんです」
「なになに、何でも聞いて!」
「そうですね…この辺りで変わった人や変わった事はありませんか?」
「変わった人や事?ん~、強いていうなら……『天王寺』くんかな」
「確かに!」
「下着を渡したり、ドッヂボールを殴ったり…」
「俺は屋上からパイプを滑り降りてるのを見た」
クラスメイト達が口々に言う。
「へ~、『天王寺』ね」
エルナの目が怪しく光るのだった。
トイレを済まして教室に戻ると。何故かあちこちから視線を感じる。
前にもこんな事があったような…。
まあ、どうでもいいか。
その後、授業を受けたり休み時間を過ごしたりしていて、あることに気がついた。
『つけられてる』
間違いない。
背後から視線を感じる。
一度振り向くと金髪が角へと消えていった。
あの女だ。
例の転校生。
「ふっ」
理由が分かったぜ。
俺に惚れたな。
教室のあの視線、あの女が俺に惚れた事をクラスメイトにでも言ったのだろう。
「俺ってば、罪な男だぜ…」
だがこの身体はいずみちゃんだけのもの断るしか無い。
待ち伏せだ。
待ち伏せして現場を押さえ、断ろう。
俺はそう考えたのだった。
昼休み、買ってきた弁当を食べ、食事を終えると教室を出る。
しばらく歩くと背後から再び視線を感じる。
「ふっ、来たな」
そのまま体育館へと向かい、用具室に入り扉を閉めると、跳び箱の裏に隠れる。
そしてしばらく待つ。
ガラガラと用具室のドアが開く音が聞こえる。
足音が迫ってくる。
来た、今だ。
「ふんっ!」
俺は侵入者の腕を掴む。
「きゃっ!」
悲鳴と共に膝蹴りが来るが片手で制する。
今度は空いてる腕からアッパーが飛んでくる。
「うおっ!!」
顔を剃らして躱すとタックルして押し倒す。
「いいから落ち着け!」
馬乗りになると、両手を掴んで固定する。
侵入者はやはり金髪女だった。
「離せ!」
「ふっ、あんなに暴れやがって離すわけ無いだろ」
「あ、あの~、天王寺さん?」
ま、まさか。
ギリギリと首を横に向けるといずみちゃんの妹の楓ちゃんか友人達と共にドアの前に立っていた。
「へ、へんたいよ!」
楓ちゃんの友人が叫ぶ。
「ち、ちが」
「きゃーーー!!」
「くそッ!!違うんだーーー!!!」
俺は飛び上がるとその場を走って逃げるのだった。
涙が、涙が頬を伝って風に流れていったのだった。
ーーーその日の放課後。
エルナは校舎の陰でスマホを使い、どこかに電話を掛けていた。
『――報告を。見つけたのか?』
「ええ、見つけました。この私を簡単には制圧する身体能力間違いありません。天王寺奴が『宇宙人』です。MIBの名にかけて証拠を掴んで見せます」
『なに君を!?なんと恐ろしい男だ……! 引き続き警戒を怠るな!』
「了解。……ふふ、面白い男ね天王寺。絶対に尻尾を掴んでみせるわ……」




