第10話
エルナの観察日記。
どうすれば天王寺は正体を現すのか。
実験してみることにした。
その1水をかける。
「な、なんだ!?」
バシャッ。
いつもの如く教室のドアを開けると、紐で連結されたバケツから水が降ってくる。
「なんだコレ…」
荷物も何もかもビシャビシャだ。
「大丈夫デスか?天王寺」
「まあな、スマホは防水だし教科書は置き勉だし…コンビニ弁当も無事だ。特に問題ないな」
「フム…」
小林入る不思議そうな目で仕掛けられたバケツを見るのだった。
その1失敗。水は効果なし。
その2太陽光照射に入る。
「体育とかかったるいよな」
賑やかにプレイしているクラスメイトを見ながら呟く。
体育の授業ではサッカーだった。
キーパーの俺はゴールポストにもたれ掛かり休んでいた。
「ん?」
なんか頭が熱い。
ディフェンダーの小林がこちらに向かって来るのが見えた。
「天王寺頭を焼けてマスよ」
「あー、この日差しだからな~。帽子被っときゃ良かったぜ」
「イエ、火が着いてマス」
「は?」
「て、天王寺頭燃えてるぞ!!」
クラスメイトが俺を指差し、大声で叫ぶ。
「あん?……うわっ!!」
頭に手を伸ばす。
ホントに燃えている。
ダッシュで近くの手洗い場に向かい頭に水をかける。
ジュッ。
小気味のいい音を立てた。
「し、死ぬかとおもた…」
500円剥げが出来た。
その2失敗。髪の毛は燃える事を確認。
その3物理的なダメージを与える。
「ったく、さっきのなんだったんだよ!」
「ナンでしょうネ」
体育を終えて廊下を歩く。
頭が焼け、服が濡れたので授業の片付けは免除してもらい教室に向かっていた。
教室のドアを開ける。
「!、殺気!!」
ドアを開けた瞬間、クロスボウの矢が数本飛んでくる。
上体を反らして躱す。
ゴチンッ。
頭を床にぶつけた。
「オー、素晴らしい動きデス」
「だ、誰の仕業だ!!殺し屋か!!」
教室には誰も居ない。
「な、なんだったんだ…」
その3失敗。しかし、人間にあるまじき身体能力を確認。作戦を続行する。
その4唐辛子作戦を開始。
昼休みになり昼食を取る。
「はぁ~やっと昼か」
カバンから弁当を取り出して食べる。
「おっ珍しい、焼肉弁当なのにコロッケが入ってるぜ。ラッキー」
ガブッとかぶりつく。
「うん…………ん?がっはあーーーーー!!」
教室を飛び出すと水をがぶ飲みする。
辛いやら痛いやら分からない。
「ひーーーー!!」
舌を水で冷やす。
「天王寺?」
小林が教室から顔を覗かせる。
「コ、コロッケ。からひ…からすひる」
「フム…ぱくっ。んーまあまあデスね」
小林は何事も無かったかのように食事に戻っていった。
その4失敗。辛いのが苦手なのは確認。
今回はここまでとする。
報告エルナ・アンバー。
「な、なあ小林。なんか今日俺ツイて無くね?」
「ウーン…天王寺がツイてるのをマズみたコト無いヨウな」
そうして謎の1日は終わりを告げるのだった。
次の日。
朝の廊下を歩く黒髪をなびかせた見目麗しい少女が1人。
「はい、例のMIBは既に学校に潜入しているようです」
『我々公安としても、宇宙人対策に遅れを取るわけにはいかない。必ず先に見つけ出し確保しろ』
「はい」
少女はとある教室のドアの前に立つ。
「え~、皆さんまたもや転校生がやって来ました。もう先生良く分かりません。どうぞ入って下さい」
少女はドアを開けて教室に入る。
「皆さん初めまして。安藤結と申します。よろしくお願いいたします」
そう挨拶したのだった。




