第8話
ある日の土曜日の朝、小林がテントで騒いでいた。
「明日はトウトウ日曜日!ニチアサですヨ!」
「はいはい、でもテント生活だからテレビ無いだろ?」
「フッ、天王寺もマダマダですね。ネカフェなるモノがあるのデス」
「あー、なるほどね…でも、金あるの?」
「アッ…」
「ったく、しょうがねぇな。バイト探しに行くか俺も『いずみちゃん対策費』が要るしな」
「おーバイト!労働デスね」
「そうそう、見に行くかバイトの募集」
「行きマス」
2人は朝食を済ませると街へと向かうのだった。
俺たちは街の職業紹介所に来ていた。
「ウ~ン、ピンと来ないデスね」
小林がバイトの雑誌を読みながら唸っている。
「まあ、そんなもんだよ」
自分に合う仕事は簡単に見つかるもんじゃない。
雑誌を置いて辺りをボーッと眺めていた時だった。
「まて小林、これだ!!」
「ナンデス?…懸賞金の張り紙デスね」
「懸賞金200万だ。捕まえたら大金持ちだぞ!」
「フム、確かに…」
小林の宇宙の道具を使えば見つけるのも簡単かも。
ニヤリと笑いが込み上げてくる。
「フフフ、お兄ちゃんたち甘いね~」
紹介所のお兄さんが笑いながら話し掛けてきた。
「賞金200万だと税金で半分とられちゃうから残るのは1人50万が最高だよ。2人で200万欲しいならほら、その横の400万の奴を狙わないとね。まあ、捕まらないだろうけど。ハハハ」
そう言って笑っていた。
「なるほど400万か!」
「ナニナニ、『連続下着窃盗犯・泥田捕助』警察の懸賞金100万と私的懸賞金が300万デスか…何盗んだら私的にコレ程付けられるんデスかね。金のパンティーとか?」
小林が唸る。
「確かにな~、しかし俺パンティーは相性悪いんだけど大丈夫かな」
「ナニしたんですか…」
「ち、違うってちょっとパンティーとラブレターを間違えただけだっての!!」
「意味がワカラナイ」
「いいから行くぞ!地元の事件らしいからすぐに捕まるかも」
小林を無視して引きずっていく。
「さあ、賞金稼ぎだ!」
そう言って紹介所を出た。
「さて、どうやって探す?なんか便利な道具でもあるか?」
「ン~…おっ!アレを使いましょう」
小林はいつものごとく口に手を入れる。
取り出しだのは3枚のメダルだった。
「コレはコウモリとシャチとハエのメダル。強力な超音波にナイトビジョン、そしてハエの動体視力は全てを見逃さナイ…完璧デスね」
「お、おう」
「イキマス!変身!」
メダルをベルトにかざす。
どこかで聞いたことのある音楽が流れる。
しかし、特に小林の姿は変わってない。
「おい小林?」
「しっ…………見つけました!」
「おっホントか!!」
「はい、アッチデス……でも、世界がスローでぎもぢわるい……天王寺おぶってクダサイ……おえっ…」
「えー、ったく」
小林を肩に担いで走る。
住宅街だ。
「モット……揺れのスクナメでお願い……シ…おえっ」
「おいー、絶対に吐くなよ!!」
「オッケー、泥舟デスよ...」
「それ沈む奴だから!…と見つけたぜ」
見つけた泥田はリュックを背負って今まさに民家から出てくるところだった。
「スマン小林」
「エ?グエッ!!」
小林を落とすと全力で加速する。
泥田に向かいタックルを仕掛けた。
「食らえ!」
「なっ!?」
泥田にタックルして押し倒す。
泥田の両手を後ろに回して拘束する。
「掴まえたぞ泥田。このリュック確認するぜ」
片手で両手を掴まえたまま、もう片手でリュックを開ける。
中を探るとパンティーが出てきた。
「ハッハッハ。現行犯だぜ泥田さんよ~」
笑いが止まらない。
「あの~、天王寺くん?」
その声になぜか背筋が寒くなるのを感じた。
振り向くといずみちゃんがいた。
「あ、あの天王寺くん…そ、それ私の……」
その後の記憶は無い。
いつの間にか賞金を貰ってテントに帰っていたのだった。
「大丈夫デスよ天王寺、好きな子のパンティーを握ることの1回や2回アリマスヨ」
やけに綺麗な夜空だった。




