第3話
俺達は、相変わらず路地裏からは出られないでいる。
さて、服を着せたのは良いがコイツをどうするべきか。
宇宙人である以上俺にとって使える奴であることは間違いない。
襲われていた少女も帰るタイミングを逃したのか、まだここに居た。
悩んでいると、宇宙人が一歩前にでた。
「皆さん、まずは自己紹介シマショウヨ。私の名前は。小林次郎とでも呼んでください」
「偽名じゃねーか!まあ、宇宙人だし良いのか?あと俺は天王寺隼人だ」
俺と宇宙人の視線が少女に向く。
「あ、えっと私の名前は和泉楓です。よろしくお願いします」
楓はそう言ってペコリと頭を下げる。
「いずみ?」
「あ、はい。姉さんの事は友達から聞きました。先生から誤解だってことも」
ま、まさかとは思ったがいずみちゃんの妹か!
この際に妹さんに誤解を解いて貰って……ってそうか誤解は解けてるのか。ちゃんと連絡してたのか良くやった警官ども、あの視線は許してやるよ。
「そ、そうなんだよ。参っちゃうよな。ハ、ハハハ」
「あの~そろそろ話を戻してイイデスカ?」
興味なさげに静かにしていた次郎が声を上げた。
「いいけどよ、えっと小次郎だっけ?何かたまにカタコトになるな」
「次郎デス。すみません。まだ、この口に馴れてなくて。説明しておきたい。ワタシは彼女を襲おうとしたのではない。ドコカ住むところを手に入れたかったので質問していたのです」
「何?そうだったのか!?」
楓の方を向くと彼女は頷いていた。
「はい、驚いて腰を抜かせてしまいましたが、住むところを探していました」
「うーん。宇宙人が住めるところなんてまずない……こともないか」
「え?あるんですか?」
食いぎみに聞いてきたのは何故か楓の方だった。
「まあ、家って程じゃ無いけど俺が暮らしてる空き地ならテント建てて暮らしてもいいと思うぜ。土地を持ってる親方はその辺は気にしない人だから」
「おーキャンプスタイル。良いですね、オモシロそうです」
「天王寺さん、大丈夫なんですか?その宇宙人と」
楓が心配そうに聞いてくる。
「たかが宇宙人。この天王寺ドンと来いって感じですよ!ハハハハハハ。あ、お姉さんに俺の活躍話しちゃって良いですからね」
一応念を押しておく。
3人はその後それぞれの帰路についた。
ちなみに相変わらず宇宙人である次郎は一文無しだったので、キャンプ用品は全て俺が立て替えたのだった。
「おーいいデスね。キャンプ!」
俺のテントのすぐとなりに次郎のテントを建ててやった。
しかし、どうにかコイツを利用していずみちゃんにアピール出来ないものだろうか。
焚き火の近くの椅子に座り火を囲む。
「そういえば何か無いのか?その宇宙の便利な道具とか?」
「ナイ」
「ホントに?」
「ナイヨ」
「とか言ってるけど?」
「ナイナイ」
「おい、全部カタコトなってんぞ!」
さっきからずっと目を逸らせ続けている。
「ゴメン、でも、地球人に使わせる分けにはイカナイヨ」
う~ん頑なだな。まあいいこれからじっくり懐柔していってやろう。ククククククク。
次郎は突然背筋が寒くなったのだった。
「まあいい。っとそろそろ時間だな」
テントから持ってきていたラジオの電源を入れる。
「それはナニ?」
「これはラジオってんだ。いろんな番組をやっている優れものだぜ。得に、今から始まる男のラジオは格別だ。こう見えてヘビーリスナーなんだぜ」
「ホウ。番組ですか」
どうやら次郎も興味が湧いたようだ。チャンネルを合わせるとイントロと共にラジオが始まった。
『やあ、皆さんこんばんは。今日も始まります。男のラジオ、今日も一緒に男を磨いていきましょう!今日の最初のコーナーは……ズバリ理想の告白!』
き、きたー!これこそ今俺に必要なテーマだ!
『告白と言ってもやり方はいろいろあるよね。ここで、大事な要点をチェックしておこう。まずは、プレゼント!これは大事だね。いつの時代も心のこもったプレゼントは良いものだ。次にシチュエーションだね。これはやっぱり静かな場所でやるべきだね。静かな公園何かが僕的にはオススメだよ。そして最後はインパクト!相手に取って記憶に残るやり方が良いんじゃ無いかな』
な、なるほど。さすが大先生だ。為になる。
『プレゼントで彼女を誘いだし、公園でサプライズ!』
こ、これだ。今すぐ行かねば。
天王寺は聞くやいなや夜の町に駆け出した。
『……なんて事をやったらビンタされるから気を付けてね。おっと今日はここまでリスナーのみんなまたね!』
「ふ~む、なんともコクハクとは置くが深いのデスね……」
しみじみ悟る次郎と夜に駆け出した天王寺なのであった。




