第2話
天王寺隼人が警察署で話が終わった頃にはもう夕方だった。一応ちゃんと見ていてくれた人の証言で解放されたが気は晴れない。
「くそっ!俺が悪いのか~!あの警官ども人を変態でも見かのような目をしやがって!」
警察署から駆け出す。
ただ走った。全てから、この行き着く先の無い感情から逃げる為に。
気が付けば学校の屋上に居た。
「むしゃくしゃするぜ。この感情何処に持っていけば良いんだ!」
夕陽が赤く染まるなか1人黄昏て居た時だった。
夕焼けの空を点滅する光が何度も曲がりながら飛んでいく。
「おい、ありゃUFOじゃねーか!」
くるくると町の周りを回ったかと思えば商店街の近くで止まった。
「ツイてる!俺はまだ終っちゃいねぇ!宇宙人を捕まえて一躍有名人に!そうすればいずみちゃんが惚れてくれるかも!今行くぞ!」
屋上のフェンスを乗り越え、雨の排水パイプを伝って下に降りる。
「誰だか知らんが借りるぜ」
駐輪場から自転車を拝借し、全速力でUFOに向かって行った。
商店街はいつも通りの賑わいだった。
しかし、誰も上にあるUFOに気付いてる様子はない。
自転車に乗った天王寺が、自転車でドリフトをかましながら商店街に走り込む。
「何処だ!くそっもしかしてこの中に居るのか宇宙人!」
自転車を止めて辺りを見回すが一向に違和感のある奴はいない。
「仕方ない。この天王寺、心頭滅却の境地に至れば出来ぬことなし!頼むぜ天王寺イヤー!」
両手を耳に充て周りの音に集中する。
(聞こえる。聞こえるぞ。鳥の鳴き声からオバサンのすかしっぺまで、これぞラブパワー!)
その時、天王寺の耳は微かな悲鳴を捉えた。
「そこだ!」
一心不乱に駆け出し、路地裏に入る。
目に飛び込んできたのは、少女を襲おうとする何か白いヒト型みたいなもの。
「悪いがこれも愛ゆえにだ。くらえっ!」
助走そのままに人形の顔面向けてドロップキックをくらわせた。
吹っ飛ぶ白いヒト型は路地裏のゴミに突っ込んでいった。
「決まった………っと大丈夫かいお嬢さん」
「はい……」
腰が抜けているのかまだ、立ち上がれていない彼女に手を貸す。
清楚なタイプの美少女だった。雰囲気は何処かいずみちゃんに似てなくもない。
(だが、俺はいずみちゃん一筋!)
「気を付けて帰りな」
そう言って彼女に背を向け、ゴミに突っ込んだ白いヒト型に向き合う。
「悪いな。宇宙人さんよ。年貢の納め時って奴だぜ」
「マッタク。ひどいじゃ無いですか」
そう言って白いヒト型は立ち上がる。
「お、これはいい」
そう言ってゴミの中の雑誌を拾い、パラパラと読み出した。あっという間に読み終わる。
「よ~し、見てて下さい。僕の変身」
そう言ってポーズを取ったかと思うと、白いヒト型の外側がまるで剥いたように開くと、中から絶世のイケメンが出てきた。
多分イケメンランキング1位を独走するレベルの。
「どうですか。いいカンジ……でしょ?」
「あ………取りあえず服を着てくれ」
「お、これは失礼」
ゴミ袋を頭からすっぽり被って頭と手を出した。
「………ちょっと待ってろ。ってお嬢さんまだ、帰ってなかったのか」
振り向くと顔を真っ赤にして首を横に振っていた。
「あ~悪いんだが、もし良かったらこれで何か服を買ってきて貰えるか俺はコイツを何とか隠しとく」
彼女にお金を渡すと、頷いて商店街の方へ走っていった。
「さてと」
状況が飲み込めて無さそうな宇宙人と、取りあえず彼女が服を買ってきてくれるまでゴミを集めて掃除することにしたのだった。




