第19話
5人は黒服に渡された紙に書いてあった学校内のそれぞれ指定されたポイントに向かう。
授業開始のチャイムが戦闘開始の合図だ。
「先ずは厄介な奴から狙っていかないとね」
エルナの指定場所は一階の保健室。
「厄介そうなのは3人、神代と安藤それに小林」
先ずはソイツらから仕留める。
エルナはそう考えたが、実はいずみちゃん以外の全員同じ考えだった。
「よーし、お姉ちゃん頑張るからね~」
人一倍やる気は満々ないずみちゃんであった。
何故か校舎から追い出された高等部の生徒は校庭へと移されモニターでそれぞれを見るのだった。
「あれ?そう言えば天王寺は?」
クラスメイトの男子が声を上げる。
「天王寺は黒服に連れていかれてたわよ」
「アイツ賞品だしおめかししてるのかな」
「まさか~」
『やあ、諸君。ゴリラの行方が気になっているようだね。奴の場所はここだ!』
校内放送を使って西園寺が叫ぶ。
モニターには簀巻きにされてぶら下がる天王寺の姿があった。
「おい、あそこにいるぞ!」
1人の生徒が指を差す先には校舎の屋上からぶら下がる天王寺の姿があった。
モニターには相変わらずヘラヘラと笑う天王寺が映っていた
「す、すげぇこんなにされてもヘラヘラと笑ってやがるぜ」
「どんなメンタルしてるんだ!」
「憧れはしないけどスゲーよ」
クラスメイトの謎の感心を天王寺が集めていた頃、試合開始のチャイムが鳴り響いた。
最初に動いたのは結だった。
2階からカーテンを結んだロープで1階に降りると走り外から部屋を確認していく。
そして保健室の窓を開けると、エルナを狙い撃つ。
「ふっ、アンタなら来ると思ったわ」
エルナは保健室のベットのカーテンでペイント弾を防ぐと廊下に飛び出す。
そこにはいずみちゃんが居た。
「わっ!」
「ちっ!」
反射的に手当たり次第に乱射するいずみちゃん。
エルナはペイント弾を掻い潜りながらその場を離れる。
玄関方面から結が現れるが廊下にはいずみちゃんしか居ない。
「逃げたわね」
結は2階へと駆けていくのだった。
先に2階へと上がったエルナは廊下に入ろうとして急に立ち止まった。
「これはブービートラップ!!」
目の前には細いテグスが仕掛けられている。
テグスの先にはペイント弾が上から落ちてくるように仕掛けられている。
「フフ、隙ありデス」
3階への踊り場から小林がエルナを狙い撃つ。
パチャッ。
エルナの背中に小林のペイント弾が当たった。
「あー、もう!やられたわ…」
エルナは手を上げて階段を降りていく。
「マズは1人」
小林は3階へと姿を消した。
2階では一進一退の攻防が繰り広げられた。
司と結がお互いに撃ち合う。
「しつこいわね」
「アンタこそ!」
2人は気付いた残りのペイント弾が1発しかないことに。
補給は開始の地点まで戻らないといけないがそんな隙は与えてくれないだろう。
2人は姿を晒すと一歩ずつお互いに近づいて行く。
そしてお互いの手が届く距離で止まった。
先に司が仕掛ける。
鋭い回し蹴りが結を襲う。
結は片手でガードしつつ銃口を司に向ける。
しかし、司も片手で銃口を掴み上げると反対の手で銃口を向ける。
パチャパチャッ。
2人にペイント弾が当たる。
お互いに一歩も譲らない攻防を続けていた時だった。
2人は撃った方向を見る。
「わっ!当たった、当たった!!」
廊下の先からいずみちゃんが喜んでいるのが見えた。
「まさか…」
「あの子にやられるなんて」
司と結も両手を上げながら退場するのだった。
そして、決戦は屋上で始まろうとしていた。
「フフフ、マサカ最後に残るのが貴女トハ」
「手加減しないからね小林くん!」
お互いにペイント銃を構える。
そしてゆっくりとお互いに円を描くように歩く。
先に動けば負ける。
そんな空気が流れていた。
そんな中、小林の視線の端に何かが散らつく。
少し身を乗り出して見てみる。
「テ、天王寺!!何故ソコに!?」
「隙あり」
パチャッ…。
「アッ………」
「わーい、お姉ちゃん勝ったよ~楓!」
勝敗はいずみちゃんの勝利で幕を閉じたのだった。
その頃何も知らぬ天王寺は…。
「意外と冷えるな…」
桜の木の下体育座りのまま震えているのだった。




