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【第二章 攻略対象と戦ってみよう!】- 3/3

来てくれてありがとうございます! よろしくお願いします!

 


 僕はカイロ・ロードです。

 16歳。王位継承順位第12位の王子で、魔法学園の1年生。土魔法の使い手。


 ハミルトン屋敷に入り、挨拶や世間話を済ませると、僕と弟たちはコール・ハミルトンについて庭のテーブルへと向かった。さっき馬車の中で真剣な様子で話していたのに、子供たちは紅茶を飲み、お菓子を食べ始めた途端に、自分たちの重要な任務のことなどすっかり忘れてしまった。幸いなことに、僕はそう簡単には気を散らさない。それに、悪魔を殺せる手錠を持っているのは僕だ。

 まず……僕はこのコールをじっと見つめた。


 やはり、僕の推測は当たっていたようだ。実の家族も養い先の家族も有力者であり、彼自身も強大な魔力を秘めているというのに、その姿はひどく哀れに見えた。家族を失ったことは分かっているが……エレインについての不満を聞いていて、普通のいじめとしか見ることができない。少し厳しい言い方かもしれないが、彼は甘やかされた泣き虫のように見えた。


 やがて会話はエレインへの対応という話題に戻ったが、それでもなお、彼らの計画はあまりに非現実的なものだった。……小さい頃の僕も、こんなにお調子者だったっけ? 我慢の限界に達し、テーブルから立ち上がった。

「兄さん?」

「すみません。お腹が......」と嘘をついた。

「ああ、なるほど。トイレまで案内しましょうか?」とヨークくんが申し出た。

「大丈夫ですよ。こんな古い屋敷での茶会には何度も行ったことがありますから、勝手はわかっていますよ。」

 コールは疑わしげな目で僕を見たが、何も言わなかった。

 ロンドンは小声で「気を付けて」とつぶやいた。


 屋敷へと戻る途中、まるでチーズのように地面にいくつも掘られた穴の一つで、足を止めた。やれやれ......。確かに穴は大きいけれど、墓穴ほど大きくはない。やっぱり、ヨークくんの小さな目と想像力のせい。穴をさらに詳しく覗き込むと、泥の中に燭台らしきものの跡が見えた。「土魔法」のおかげで、その物が長い間この土の中に埋もれていたという気配を感じ取ることができた。


 使用人が近づいてきて、トイレの場所を案内のに手助けが必要かと尋ねてきた。その申し出を断り、代わりにこの家庭について尋ねた。

「色々な噂によれば、最近この屋敷の使用人たちが大変そうですね。」

 使用人は僕を奇妙な目つきで見た。

 僕が悪いかな。召使いにその主人について尋ねることなんて……。


「殿下、何をおっしゃっているのか、私にはさっぱり分かりかねます。むしろ、ここの状況はかつてないほど良くなっています。」

「そうか......。大量の解雇があったと聞きましたけど。」

「承知いたしました。その話ですね。率直に言って、ほっとしましたよ。その性根の腐った連中がいなくなったおかげで、今はすっかり空気が晴れやかです。それもこれも、私たちの素敵なお嬢様のおかげですよ。」

 その使用人は、陰りの微塵もない明るい笑顔を僕に向けた。

 うわ、眩しい。

「そ、そうか......」ためらいがちに答えた。

 どのお父様の王宮でも、このような笑顔を目にすることはまずないでしょう。


 僕は再び彼の申し出を断り、そのまま家の中へと入っていった。

 この屋敷の外観や、おそらく建てられたであろう時代、そして庭へ向かう際に通ったルートから判断すると、浴室はこちらの方向にあるはずだ。場所はすぐに見つかったが、通り過ぎて歩き続けた。屋敷の令嬢がいると思われる場所を目指すためだ。高位の王子たち三人への対応に皆が追われているせいか、廊下には人影がなかった。万が一誰かと鉢合わせても、道に迷ったと言えば済むことだろう。


 しかし、廊下を歩いていると、何かが……おかしいと感じた。何もかもが本来あるべき場所にあった。それなのに……。建築の専門家じゃないけど、様々な寸法やサイズ感に違和感を感じてる。ドア高さ、部屋の距離。特に目的のない階段。無駄に多い窓の数。入口では気付かなかったが、まるで誰かが『豪邸』の記憶を頼りに設計したかのようなな屋敷です。普段ならお茶会でそんなことに気づくことはないのですが、実は趣味で古い屋敷を数多く訪ね歩いたことがあるもん。


 なぜ、いつ始まったのかはわからないけれど、実は僕、ちょっとしたアマチュア歴史家なんだ。魔法のおかげで土を掘り返すのが得意だし、王子だからどんな本や専門家にもアクセスできるし、勝手にたくさんのことを研究してきた。友人以外には誰にも言ったことがないんだけど、歴史家になるつもりなんだ。まあ、継承をめぐって何か妙なことが起きず、本物の王子になることを強いられたりしない限りは。


 そして......。そして......。


「やだ~、この屋敷の間取りが変ですね~」と誰もいない廊下で、子供の声が僕の思いを反響させた。

 立ち止まってあたりを見回して、その角の後からかも......。

 角を曲がって進んで、泥と埃にまみれた小さな男の子に出会った。その子、廊下の窓から差し込む陽光を浴びてきらりと光る、ごく小さな金属の物体をいじっているし、僕に気付かなかったそう。そのお陰で、こっそりこの場を離れることもできそうだが……もし、この若い使用人は、たぶんエレインやコールと同じくらいの年頃に見える。彼から何か情報を聞き出せるかもしれない。


 僕は「あの、失礼します」と挨拶してみた。

 彼は驚いて飛び上がり、金属製の物体を落とした。

 それは大理石の床の上でカチリと音を立て、不自然に一直線に転がって、ちょうど僕の靴に軽く当たった。その少年は、必死な様子で僕の体を見回して、急に慌ただしくうつむき、地面に視線を落とした。あ~、可哀そうな~。彼はまだ、上流階級の人物に慣れていないのでしょう。


「驚かせてしまって、本当に申し訳ないね。」

 僕は身をかがめ、彼の震える手から落ちたものを拾い上げた。それに触れて、指先が金属から発せられる魔法でピリピリとした。驚きながら、手の中の小さな品をよく見てみた。これは、噓! こんな銀貨が! 表面に刻まれた古い王家の印章と日付を確認した僕は、あの少年と同じように、落としそうになった。すごい! 自分の目が信じられない! このコインは.....。


「失礼な質問ですけど、君のような少年が、どこでこのコインを手に入れたんですか?」

「あ、あ、えっと、ハミルトン......令嬢様からもらいました。」

「そうか。このような物を見つけ出すとは、彼女は素晴らしい審美眼の持ち主ですね。これは驚くほど希少な品ですよ。」


 その少年が突然、本を手に僕に向かって駆け寄ってきた。あれ? 奇妙だ、さっきは本なんて持っていなかったはずなのに。彼は自分の立場を忘れたかのように、ついに僕の目をまっすぐに見つめ、読めるようにその本を掲げた。その紫色の瞳は、興奮に満ちていた。その本か! 【貨幣収集関連書籍】って、懐かしい~。


「兄さん、そのコインを知っていますか? この本のどこを探しても見つからないんです。」彼は、複雑な歴史的記述が書かれたページを開いた。「この時代の銀貨にちょっと似てるけど、

 色々な詳細が違いますね。」

 驚いてまばたきをした。

 少年は身をこわばらせ、再び視線を落とした。

「えっと、字の読める召使いの少年なんて......。聞いたことがありません。」

「あ、あぁ、はい。えっと、ハミルトン様は読み方を教えてくれました。」

「へ~、優しいですね。」


 なるほど、なるほど、なるほど。コインを手に、僕はにやりと笑った。つまり、エレインがヨークを避けて、コールをいじわる理由は……この少年なのです。まぁ、仕方がありませんね。でも、弟たちの疑念は、どんどんに単なる想像しすぎたと判明してきている。実際、この少年の汚れた服から判断すると、彼女のために穴を掘っていると思う。

 それでも、僕は自分の使命から完全に揺らぐことはないだろう。

「子供ごろ、僕もその本よく読みましたね。この銀貨はあの本には載っていません。とはいえ、あなたが正しい道筋をたどっているのは確かです。正しい時代を見つけ出していますから。君も歴史を見る目をお持ちのようだよ。しかし......。」

「しかし?」

「代償はあるよ、少年。君のハミルトン様について話してくれるなら、教えてやろう。」

「ぐっ。」

「心配しないで。悪気があるわけじゃないんです。実は最近、妙な噂を耳にして気になっていました。例えば、彼女は夜にしか姿を現さないって聞いた。」


 その少年は、不安げに足元をそわそわと動かしていた。

 このやり方、厳しすぎるかな......。同じ歴史好きに対して、あまり厳しくはなれないよね。


 ついに彼は口を開いた。

「兄さん、お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか。」

「あ、すみません。カイロって。今日の茶会に兄弟に付き添っている。自分の弟たちが、君のハミルトン様の友達ですよ。コールくんも。」

 少年の背筋を震えが走るようだった。

「なるほど。そのご依頼はお断りしたいと思います。そのコインについては、エレイン様が自分で調査できますよ。彼女は......物を探すのが好きです。」

 ハミルトンさんが、物を探す.....って? それは聞いたことない。


 僕はため息をついた。

「わかりました。君は素晴らしい従者ですね。まぁ、もし、もう一枚コインを持ってないか? このコインがなぜそれほど特別なのか、見せてあげる。後で君の彼女にいいところを見せればいいですよ。」

 彼にいたずらっぽく瞬きした。

「ひっ⁈ ちょ、ちょ、ちょっと待って!」


 僕は大声で笑い、「悪い、悪い.....。まぁ、コイン持ってないか?」と聞いた。

「あるよ。勝手にどうぞ。」と彼はつぶやいた。


 彼が手を差し出し、不思議なことに、その手は古い硬貨でいっぱいだ。

 ほんの一瞬前には、そこにはなかったはずなのに。


 驚きのあまり、僕は目を見開き、口をあんぐりと開けた。

 これは.....。これは.....。それ? それも? あっちも! 噓! あの戦士王の顔! この王家の印章? 六角形? 鷲ではなく、熊の紋章。特に、この一枚、僕の大好きな時代からの! 任務すっかり忘れ、思わずその少年に手を差し伸べていた。


「兄さん、目星を付けるね。可愛いですよ。」

「いや、いや。これはただのコインじゃないよ! .....ちょっと待って、可愛いって?」

 硬貨から顔を上げると、彼が温かい笑みを僕に向けていた。

「うん、専門知識の人が可愛いですよ。」

「は? 可笑しいなこと言わないでください。」

「はい、は~い。じゃ、その落としたコインは? コインいっぱいあるし、好きに拾っていいよ。」


 混乱して首を振った。

「そのコインをじっくり見せてしまうと、一日中ここにいることになってしまいますよ。逆に、空いている方の手でこれを持ってください。」

 その少年は魔法のコインを手に取った。もう片方の手には……あれ? コインについての本はどこへ行ったんだ?


「次は?」と汚れた子供が聞いた。

「あ、積み上げたコイン 全部床に落として。」

「いや~、ずるいよ、兄さん。そんな厚かましい手には乗らないぞ。私に全部拾わせるつもりだろう。」

 この状況がいかにも奇妙だったにもかかわらず、僕はまた大きな声で笑った。

「心配しないで。僕は、あれほど忠実な従者をいじめるようなタイプではありません。」


 少年は少し考え、魔法のコインだけを握りしめたまま、 突然他のコインを落とした。ものすごい音を立ててあちこち飛び回っていたが、やがて……。少年は息をのんだ。すべてのコインが一緒に表向きに落ちた。

「兄さん、どうやって全部か⁈」

 正直なところ、今年魔法学園でえこういうことについて学んだばかりだ。まあ、カッコイイ兄さんとして、この子にわざわざ言う必要はないか。


「通貨ではなく、それは『運』を上げるコインですよ。でも、残念、作られた当時、そのコインは自身の能力の一部を最大500倍にまで高めることができたかもしれないが、今となってはこれくらいの効果しか望めない。間もなく空になりますね。」


「もうすぐ空になるって、どうしてわかるんですか?」

 へ~、それに対すして、それだけ聞く?

「ん~、学校で習ったことよ。そして、僕の土魔法でこの金属は極めて古いものだということはわかります。」

 僕は手を伸ばし、磁石のように魔法を使って、すべてのコインを自分の手に集めて、全部渡した。

「へ~、それは歴史好きの人にとっては、本当に役立ちそうですね。カイロ兄さんは歴史家か考古学者になるべきですね~。」


 えっ⁈ もし、この子は歴史の愉しみを知っているのか⁈ 私の家族には見えない事実を、どうして彼はあんなに素早く見抜くことができたのだろうか。


 少年は、まるで何も重要なことは言わなかったかのように話を続けた。

「ちなみに、この量で、どのくらい持つと思いますか?」

「あ、それは可笑しいですね。どう見ても、ちょうど一週間ぐらいかな? 続いているうちに、君とエレインちゃん、大切にすべきです。」

「一週間.....。ぐっ。申し訳ありませんが、失礼しなければなりません。今日は片付けなければならない用事がたくさんあるんです。」

 その少年は会釈をする代わりに、可愛らしくカーテシーをしてから走り出して、僕を突き飛ばしてどかした。

「ま、待って!」


 彼は滑るようにして止まって、「説明してくれてありがとうございますけど、本当に忙しいです」と急いで言った。

「すみません、君が持っているコインの一つが.....。実はいくらでも、僕はっ。」


 彼はとても照れくさそうな笑顔した。

「何言ってるの、兄さん? もうそのコインをあげたよ!」

「えっ?」

 少年は走り去り、彼の声が後方に響き渡った。

「ポケットに!」

 戸惑いながら、僕は悪魔を殺すための手錠が入ったポケットに手を伸ばして、お気に入りの歴史的時代の刻印が入ったコインを取り出した。それは完璧な状態で、あの少年の手にあったものよりもさらに美しい輝きを放っていた。す、す、すごい! この親切な子、一体どうしたんだろう? コインを胸にしっかりと抱きしめた。



 ぼんやりとしたまま、屋敷の中でさらに少しだけエレインの姿を探してみたが、彼女やあの少年の姿はもう見当たらなかった。気まずさを覚えながら、僕は庭の茶会へと戻った。


「カ、カイロ兄さん! どうしたの? なんだか変な笑顔で、頬も赤いよ! 熱でもあるの?」

「あ、うん。大丈夫よ。」 

「一体何にそんなに時間がかかったの? エレインちゃんを助けた?」


 僕は首を横に振った。

「ごめん、皆。新しい仲間ができたと思います。。彼と話していて時間を忘れてしまいました。」

 いつか、もっと大人になってから、また会えるといいな~。いつか、彼にきちんとお礼を言いたいです。


 ロンドンは眉をひそめた。

「カイロ兄さん。その『彼』の格好、説明してください。」

「ん~、短い黒髪。紫色の瞳。小さくて、若い使用人だけど、頭がいい。」

「泥だらけ?」とコールさんは青ざめた顔で尋ねた。

「そう、そう! すご~く優しい子。でも、名前を聞かなかった。コールくん、知ってる?」

 コールは今にも吐き出しそうだった。


「なるほど。カイロ兄さんもその罠にかかってしまったんですね」ロンドンは眼鏡の位置を直し、言った。「次回はローマ姉さんを持って行かないといけないね。」

「ど、どいう意味?」

「お前、新しいエレインに会ったよ。」

「えっ⁈」


 ヨークとナンキンは当惑した様子だった。

「コールさん、エレインちゃんは日中、部屋から出ないと言った」とヨークが聞いた。

「.....エレインちゃん、今は男の子みたいに見える?」とナンキンが興奮気味に聞いた。


 まさにロンドンを否定しようとする途端に、コールは勢いよく立ち上がり、テーブルを叩いた。

「まさか! なぜもっと早く気づかなかったんだ⁈ その悪魔は僕の作戦会議を、注意をそらすための目くらましに使っているんだ! カイロ殿下、まだ手錠はお持ちですか?」

「うん、もちろん。」

 彼を安心させようとそれらを取り出したが、彼は僕の手からひったくると、家に向かって走り出した。もちろん、僕たちは皆、彼についていきました。



 **********



 永遠とも思える時間、家の廊下をさまよい歩いた後。

「しまった~。本でこのコインの由来を探すのに夢中になりすぎて、地図をたどるのを間違えてしまった。」

 地図をもう一度見てみたが、全くわけがわからない。

「やだ~、この屋敷の間取りが変ですね~」と急に私は大声で叫んでしまった。

 諦めてコインをいじりながら、代わりにコールの方の部屋を狙ってみようかと考えた……たぶん、鍵を開けるだけで済むだろうし……。


 突然、キツネさんが誰かが近づいてきていると警告してくれた。

「あの、失礼します」と、声代わりで上ずってしまって、男の子が言った。


 驚いて飛び上がり、わたしのコインを落としちゃった。


 大理石の床の上でカチリと音を立て、不自然に一直線に転がって、ちょうど誰のの靴に軽く当たった。この男の子が一体誰⁈ あ、見ちゃった。残念ながら、【XRAY】で10代半ばの少年の姿をはっきりと見ちゃった。下着とか......。高価そうに見えるネックレスとか......。そして......手錠⁈ 怖い、怖い、怖い!!


【もし、警察か?】キツネさんが必死の様子で尋ねた。

 いや、その服やその綺麗な顔が、どう見ても、王子だと思う......。お茶会のニーナがしらなかった5人目かな? なんか、ヨークくんの誕生会で見たことある顔だと思う......。

【あ、そうか......。よかった。】


「驚かせてしまって、本当に申し訳ないね。」

 彼が自分のコインを拾い上げると、私はこっそりと彼に視線を走らせた。その小さなコインを前に、彼の目は興奮で輝いていた。


 彼は「失礼な質問ですけど、君のような少年が、どこでこのコインを手に入れたんですか?」


 少年か!! まさか、この王子が私のこと、分からない⁈ すぐに彼を訂正すべきだ!


 ニーナが私のオーラの尻尾を掴んだ時のように、キツネさんは私の魂を掴んだ。

【待って、エレインちゃん。彼がここにいるのは怪しいですよ。我々の家族への襲撃に関与している可能性があります。今のところは、正体を隠しておいたほうがいいでしょう。】

 でも、私が噓をつくのはにがてですよ!

【安心して。そんなこと、ウチは上手ですよ。】


 じゃ、頑張ります!

「あ、あ、えっと、ハミルトン......令嬢様からもらいました。」

「そうか。このような物を見つけ出すとは、彼女は素晴らしい審美眼の持ち主ですね。これは驚くほど希少な品ですよ。」

 私すごいだよね! この美しい王子、褒めてくれて嬉しい~~~~~~~。

【集中して! この男の子がコインのこと知ってるそう!】


 !!


 私は急いでコインの本を手に取り、その少年のもとへ駆け寄った。

「兄さん、そのコインを知っていますか? この本のどこを探しても見つからないんです。この見付けた時代の銀貨にちょっと似てるけど、色々な詳細が違いますね。」


 彼は驚いてまばたきをした。

「えっと、字の読める召使いの少年なんて......。聞いたことがありません。」


 なんと失礼、この王子! でも、たしかに......。

「あ、あぁ、はい。えっと、ハミルトン様は読み方を教えてくれました。」

「へ~、優しいですね。」

 だよね! この美しい王子、褒めてくれて嬉しい~~~~~~~。

【エレイン。】

 あ、すみません!


 彼は「子供ごろ、僕もその本よく読みましたね。この銀貨はあの本には載っていません。とはいえ、あなたが正しい道筋をたどっているのは確かです。正しい時代を見つけ出していますから。君も歴史を見る目をお持ちのようだよ。しかし......。」

「しかし?」

「代償はあるよ、少年。君のハミルトン様について話してくれるなら、教えてやろう。」

「ぐっ。」

「心配しないで。悪気があるわけじゃないんです。実は最近、妙な噂を耳にして気になっていました。例えば、彼女は夜にしか姿を現さないって聞いた。」


 私のこと......手錠を手に持ちながら......。


 突然、キツネさんが主導権を握ったようだった。

「兄さん、お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか。」

「あ、すみません。カイロって。」


 カイロ......か。ロンドン、ナンキン、ヨーク......。やっぱり、王子だ。全員、前世の街。いっそ逃げ出したほうがいいのかな?……いや、でも彼はゲームのパッケージには載っていない。それに、もし逃げたりしたら、怪しまれるでしょう。代わりに彼を味方に引き入れられるかな。

 ま、とりあえず......。

「なるほど。そのご依頼はお断りしたいと思います。そのコインについては、エレイン様が自分で調査できますよ。彼女は......物を探すのが好きです。」


「わかりました。君は素晴らしい従者ですね。まぁ、もし、もう一枚コインを持ってないか? このコインがなぜそれほど特別なのか、見せてあげる。後で君の彼女にいいところを見せればいいですよ。」

 私ににいたずらっぽく瞬きした。

「ひっ⁈ ちょ、ちょ、ちょっと待って!」

 彼は一体どんな奇妙なことを考えているんだろう?


 王子は、完璧な歯を見せながら、大きく温かみのある笑い声を上げた。

「悪い、悪い.....。まぁ、コイン持ってないか?」と聞いた。


 ふと、この美少年の気を引きたいという衝動に駆られ、私は魔法空間から大量の硬貨を取り出した。全部、最近見付けたの。

「あるよ。勝手にどうぞ。」


 彼はコインを見て、目を見開き、口をあんぐりと開けた。

 年齢にもかかわらず、彼はふいに、おもちゃ屋にいる子供のような顔つきになった。正直なところ、かなり愛らしかったです。庭で見つけたある特定のコインが、とりわけ彼の目を引いたようだった。

「兄さん、目星を付けるね。可愛いですよ。」

「いや、いや。これはただのコインじゃないよ! .....ちょっと待って、可愛いって?」

 私、温かい笑みを彼に向けた。

「うん、専門知識の人が可愛いですよ。」

「は? 可笑しいこと言わないでください。」

「はい、は~い。じゃ、その落としたコインは? コインいっぱいあるし、好きに拾っていいよ。」

「そのコインをじっくり見せてしまうと、一日中ここにいることになってしまいますよ。逆に、空いている方の手でこれを持ってください。」

 先のコイン、彼から取った。

「次?」

「あ、積み上げたコイン 全部床に落として。」

「いや~、ずるいよ、兄さん。そんな厚かましい手には乗らないわ。私に全部拾わせるつもりだろう。」

 彼はまた素晴らしい笑い声がこぼれ出た。

「心配しないで。僕は、あれほど忠実な従者をいじめるようなタイプではありません。」

 私とキツネさんが彼を疑う中、エレイン1.0は彼を喜ばせようと意気込んで、全部のコインを落とした 。

 驚いたことに、コインはすべて同じ面を上にして落ちました。

「兄さん、どうやって全部か⁈」


「通貨ではなく、それは『運』を上げるコインですよ。でも、残念、作られた当時、そのコインは自身の能力の一部を最大500倍にまで高めることができたかもしれないが、今となってはこれくらいの効果しか望めない。間もなく空になりますね。」


 なるほど! だからクモがそれを守っていたんですね! 実はこれ、大発見ですよ!

 いくつか質問をした後、カイロは自身の魔力を少し見せ、コインの力が弱まっていることについて説明してくれた。その名前と魔法のタイプを考えれば、彼が歴史をあれほど好んでいたのも不思議ではないかな? もし、別の王子たちの性格と名前は......。


 そして。

「ちなみに、この量で、どのくらい持つと思いますか?」

「あ、それは可笑しいですね。ちょうど一週間ぐらいかな? 続いているうちに、君とエレインちゃん、大切にすべきです。」


 キツネさんとエレインの双方から、恐怖が私の心を襲った。噓......。

 偶然とは思えない。この家にいるのは、あと1週間だけのはずなのに。


 この迷路やこの少年にかまっている暇はない、任務に戻らなくては。少なくともこの王子に、我々を害する意図がないのは明らかだ。実は、彼はかなりいい人のようです。エレイン1.0の影響だってことは分かってるけど、彼に何かいいことをしてあげてもいいかな~。


 でも......。

「一週間.....。ぐっ。申し訳ありませんが、失礼しなければなりません。今日は片付けなければならない用事がたくさんあるんです。」


 私は走り出し、わざと彼に体をぶつけながら、彼がひどく気に留めていたコインの一枚をこっそりと彼のポケットに滑り込ませた。

「ま、待って!」


 私は滑るようにして止まって、「説明してくれてありがとうございますけど、本当に忙しいです」と急いで言った。

「すみません、君が持っているコインの一つが.....。実はいくらでも、僕はっ。」


 とても照れくさそうな笑顔してしまった。

「何言ってるの、兄さん? もうそのコインをあげたよ!」

「えっ?」

 また走り去り、大きい声で「ポケットに!」と叫んだ。



 屋敷の母屋に戻ると、私は幸運のコインを手に、まっすぐコールの部屋へと向かった。コインのせいだったのかもしれないが、なぜかこれが最善の策だとわかっていた。信じられないことに、地図を見なくても曲がるたびに完璧なルートを選べたようで、地図を使うよりも早くコールの部屋にたどり着けた。このコイン、最高わ! もしかしたら、あのまま迷路に続けたほうがよかったかな......。


 先の予想通り、ドアは施錠されている。もっとも……友人であるイヴァンが持っていたような金庫破りの腕前はなかったが、ドアの錠前など造作もないこと。さらに良いことに、近づけば【XRAY】でロック機構の一部をちょっとだけ見ることもできる。この呪文もすごく便利だね! キツネさん!


【早く、エレイン。エレイン1.0がこれを阻止しようとするのを、あとどれくらい食い止められるか分からない】キツネさん、急に必死に答えた。

「え⁈ エレイン1.0? どうしたの?」

【家族のプライベートな領域に踏み込んでいるんだよ。完璧な娘がやる程度じゃない。】

「了解。集中します。」


 早くにピッキングでドアを開け、強引に中へ入った。


「え?」

【【え?】】とエレイン1.0とキツネさん言った。

「えっと、何これ? ぬいぐるみ? 何匹? 七、十、十九、四十か⁈」


 エレイン1.0として、コールが泣いているときに彼を慰めたり、一緒に遊んだりするために彼の部屋へは何度も足を運んでいましたが、今は全然違う! その部屋は、ぬいぐるみで隙間なく埋め尽くされていた。目元までスカーフをずり下げ、私は緊張しながら部屋に数歩足を踏み入れた。クマ、イヌ、ネコ、ウサギ、そしてウマのぬいぐるみをどれも乱さないよう、慎重に。私がそうして、彼らの黒く小さな目が私を見つめているように思えた。私は身震いした。


「うわ、キモイ......。これら、一体どこで手に入れたんだろう?」


 一つを調べて、手首にリボンで紙のタグが結び付けられているのを見つけた。

「素晴らしい息子でいてくれて、ありがとうございます。ー ハミルトン公爵」


 ええええええええええ⁈ ど、ど、どうして!! そのジジイか⁉ 


 自分の父親からコールに贈られたあまりにも大量のプレゼントを前に、私は思わず不満げに唇を尖らせてしまった。エレインはいつも、彼にとって完璧な娘であろうと努めていたにもかかわらず……。私はごくりと息を呑み、部屋の中を見回してぬいぐるみ以外のものを探した。今世で見たことないけど、彼の机の上に裁縫セットらしきものが置かれているのが目に入った。

 あれ? コールの趣味か? そのこと、聞いたことない。まあ、部屋は予想とは違うが、まだ差し迫った脅威は見当たらないね。


 突然、キツネさんが私の魂を掴み、外に迫る速い足音について警告を発した。

 ドアに向いたのと同時に、コールが勢いよく飛び込んできた。彼も先の手錠を持っているが、カイロ兄さんとは違ってそれを隠さず、私を捕らえようと構えていた。彼は抑えきれない怒りを宿した目で私を見つめた。


「あ~、すみません。コールくん。ドアが開いていて、私が......。えっと、ぬいぐるみが好きだって、言ってくれればよかったのに......。えっと、私も大好きなんですよね。うらやまし~。」

「だまれ、偽物!」

「えっ?」

「お前の正体は分かっている、悪魔め!」

「うーん、その子供じみた執着、ちょっと行き過ぎじゃない?」



 突然、ヨークくん、ナンキン様、ロンドン様、そしてカイロ様が彼の背後に駆け込んできた。

「えっと、、皆......何で?」


 ヤバイ。ヤバイ。ヤバイい。出口邪魔してる。


 ヨークは私を見て目を大きく見開いた。

「エレインちゃん⁈ その髪型、その目隠し……めちゃくちゃカッコいいよ!! 私たち、冒険者、海賊か何かのふりをしてみるのもいいかもね!」

【うわ~、さすがヨークくん大好き~】とエレイン1.0が私の頭の中で叫んだ。

 集中して、エレイン1.0! 彼は攻略対象だ!


 ナンキン様も私を見て嬉しそうで、何か言いたげだったけれど、コールが私に向かって走り出した。


 カイロは弟たちを押し退け、コールが動いたほんの数秒後に動いた。

 カイロは「少年! その手錠が危ない!」と注意した。

 彼だけでなく、他の王子たちも突然、怯えたような表情を浮かべた。あのロンドンでさえも。


 いや~、皆さん、心配ありがとうだけど、無用ですよ。

 ウチはキツネ怪盗だよ。

 前世の世界一! ただの手錠じゃ、ウチを止められない。


 コールは手錠を持った手で、私の手首に手を伸ばして......。

 フフフ、懐かしいな~、この状況。


【ガチャリ】......【ガチャリ】


 コールは衝撃で目を見開き、私から後ずさりした。

 もちろん、手錠は彼の手首をしっかりと拘束していた。

「うわ、なにそれ! エレインちゃん! かっこいい動き!」とヨークくん言った。


「ゴホン、ゴホン」

 コールが緑色の煙を吐き出し始めたので、私は驚いて彼から一歩後ずさった。彼の目は、まるで消えかかった電球のように、奇妙な光を明滅させていた。

 みんな、「「「コール!!」」」」と叫んだ。


 彼は私に温かい笑みを向けた。

「ありがとうございます、姉さん。僕を助けた......。」

 そうして彼は意識を失い、ぬいぐるみの山の中へと倒れ込んだ。

 もし私が手錠をかけられていたら、あんなことが私にも起きていたのだろうか?


 恐怖で顔を青ざめさせたロンドンは「ハミルトンさん、お前は今、コールの家族、300人ほどを殺したあの有名な悪魔を見つけて、滅ぼした。多分、その悪魔の次の標的は、お前の家族はずだ。」


 ええええええええ⁈ なにそれ⁈ 


 怖い、怖い、怖い!!


 衝撃を受けて目隠しをむしり取り、ぬいぐるみの山から彼を掘り出そうと手を伸ばしたが、彼に触れる直前、私は動きを止めた。


「あ、見ちゃった。」

「何を⁈」とカイロさんが隣に聞いた。「大丈夫ですか?」

「パンツ。」

「え?」

 XRAYを使いながら、ぬいぐるみを一つ持ち上げ、背中の粗い縫い目を引き裂いて開けた。


 誰かの下着が地面にぽとりと落ちた。

 目隠しを外したまま、私は部屋の中を見回した。実際、あのぬいぐるみたちをすべて……。

 床から下着を拾い上げ、私はくすりと笑った。なるほど、なるほど、なるほど。これは、いわゆる「一石二鳥」といった結果になったようですね。もし、このゲーム、それほど難しくないかな?



読んでくれてありがとうございます。

もし分かりにくいところあるなら、ぜひ教えてください!


これは、第二章の 3/3!

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