【第二章 屋敷を探ってみよう!】- 2/3
来てくれてありがとうございます! よろしくお願いします!
第二章が長くなったから、バランスのために、前のエピソードの部分をこのエピソードの前半に移動して、三つのエピソードを作りました。これが短いから、同時に次の部分も出します。次のほうはけっこう長いです!楽しんでください!
僕の名前はカイロ・ロードです。
16歳。王位継承順位第12位の王子で、魔法学園の1年生。土魔法の使い手。
この馬車で僕の向かいには二人の弟、ヨークとナンキンが座っており、僕の隣にはロンドンが座っている。もちろん、僕たちは誰も同じ母親から生まれたわけではない。窓の外には、呆然と立ち尽くす町人が、僕たちを見つめた。やっぱり、この子供たちと一緒にいる僕というのは、おそらく奇妙な光景だよね。世間からの評判にはプラスになるかもしれないが、派閥内でどのような噂が広まり始めるのか......。
まぁ、少なくとも兄弟たちに会えて嬉しいよ。久しぶりだからね。
ですが......。
「この道路......おい、ヨーク! どこへ連れて行くつもりですか?」
「話せば、兄さんが馬車を止めるでしょう。」
再び、窓の外に目をやった。このメンツとこの辺りを考えると、どうやら......。
「もしかして、ハミルトン家の屋敷に?」
向かいに座っている二人の兄弟は、僕の視線を避けた。
隣にいる弟のロンドンが、眼鏡の位置を直した。
あのくだらない小娘に......。面倒くさい......。
「へ~、僕を招待しようと考えてくださったことを嬉しいけど......。」彼らに作り笑いを向け、「子のティータイムには興味がありません。」と正直に言った。
「遊びなんてじゃないよ! これは戦争です!」
「作戦を練らなきゃよ!」
ロンドンは何も言わなかった。
僕は微笑みながら頷いた。
「はい、はい。では、御者! 馬車止めてください。」
ヨークの馬車なのに、命じた通り、馬車は直ぐに道の脇で速度を落とし、停止した。
この辺に美味しいレストランがあるかな......。
「待って! 兄さんの手が必要ですよ。」
「いなければ、彼らを救うことはできません。」
ロンドンくんはため息をつき、視線をそらした。
兄弟たちが僕の両方の袖をつかんだ。
「二人とも、随分と元気ですね。」
「違うよ! これは冗談ではありませんよ。」
「ね! ちょっとだけ聞いてください!」
僕はロンドンくんの方をちらりと見た。
彼は僕たちに目を向けず、冷ややかに付け加えた。「彼らの言うことを聞くのが最善だと思います。」
「え? ロンドンくんも?」
僕の知る限り、彼は『エレイン派』なんての一員ではない。
「はい。彼らには十分な注意を払うべきだと思います。何しろ、これは俺の計画ですよ。」
驚いて、僕は「ふん」と大きな鼻息を立て、座席に身を落ち着けた。ロンドンはいつからあのつまらない令嬢に興味を持つようになったんだ? そして、彼は社交界で、主体的な戦略を一度やったことないと思う。たいていロンドンはこの小さな弟連れに引きずり回される役回りだそう。
「なるほど。5分だけ。なぜ君たちの彼女の家に連れて行くんだ?」
「まだ俺の彼女じゃないよ!」
「そう、そう! 女の子がやだ~。これはコールくんのために!」
ロンドンはため息をついた。「俺に言ったこと、そのままカイロ兄さんに伝えて。」
3週間前、エレイン・ハミルトンは大聖堂で「何か」に遭遇し、悪魔祓い師 へ運ばれて、丸一日ひどい熱にうなされた。僕でさえ知っていたことだ。でも、上流社会全体で大きな話題になっていたのだから。その後、学園かお茶会では何も耳にしなかったし、彼女はいずれ何こともなく目覚めたのだと思った。でも、兄弟たちは【その後】を心配してるようだ。
ヨークくんは、「エレインはあの日から、私に手紙を一度も送ってきていない。彼女は城へ私を訪ねに、一度も来ていません。それに、彼女の屋敷に何度行っても、彼女は拒絶します。」と説明した。
へ~、私の弟は、もう失恋について学んでいるか。可哀そう。
「でもね、ヨークくん。たとえ小さなレディが言っても『いいえ』と言ったら、その決断を尊重するのが王子としての務めです。」
「違う~よ~。」
答える前に、ナンキンくんは、「逆に、コールはうちに毎日手紙を送ってくれたり、可能な限り私の王宮を訪ねてきたりしてくれています。彼はうちの母に、自分を養子にしてほしいとさえ頼みました。」
「えっと、コールとは誰ですか?」
「あいつはエレインの心に、巡る私のライバルなんだ!」とヨークは叫んだ。
「落ち着いて、ヨークくん。カイロ兄さん、そのコールが、ハミルトンさんの新しい養子の弟。コール・ハミルトン。元に、コール・コーフィールド。」ロンドンは冷静に説明した。
えっ!!
「コーフィールド⁈ そのコーフィールド家⁈」
「その通り、兄さん。分かる? 彼は、あの屋敷の悲劇における最後の生存者です。」
コーフィールド家。暴れ回る悪魔に殺害された、最新の上流階級の家族。
突然、ナンキンの顔つきが真剣になった。
「コールは、悪魔が次にハミルトン家を襲うのではないかと恐れています。」
「つまりその日まで、エレインの内で待ったる。」ヨークは怒りで目を輝かせながら言った。
僕は緊張して、くすりと笑った。
「ただ想像力を解き放てるじゃない? あの少年は家族を全員失ったね。たぶん、自分の影にさえ怯えているんだろう。」
ナンキンは首を横に振った。
「違いますよ。コールくんによれば、その屋敷ではもう奇妙なことが起きているらしい。エレインは今や夜にしか部屋から出てこないし、貴重品を盗んでだという告訴で何人もの使用人を解雇するよう命じているそうだ。どうやら彼女は、敷地からこっそり抜け出そうとして捕まったこともあるらしい。」
「まるで、攻撃する時の障害を減らそうとしているかのようだ。その後、もし、太陽が弱点かな?」ヨークは申し入れた。
「へ~、僕たち同じ単純な令嬢について話してるか......。彼女とは何年も会ってないが、なんか想像できない。」
ナンキンは興奮してうなずいた。
「そうですね! それだけじゃなくて、もっと怖いことがあるんです。彼女、庭に穴をよく掘っているみたいなんですよ。」
「穴? まるで、新しい趣味を始めたじゃない? 光属性の人って、ガーデニングが好きな人が多いからよ。」
代わりにヨークが答えた。
「訪ねてみた日に、自分で見ましたよ。いたるところにあり、まるで墓穴のような大きさでした。もし、この悪魔はそれらを犠牲者のために用意しているのかな?」
「うわ、キモイ。」
正直なところ、もうすっかり納得させられた……。
むしろ、このいわゆる「エレイン」について、誰かが調査すべきだと思い込まされえた。兄弟は、この話がもたらす結果を完全には理解できないが、もしそのハミルトン公爵の一家が殺害されれば、王国は間違いなく大混乱に陥るはずだ。弟たちはまだ幼いので、おそらくそこまでは考えなかったはずだが、これは本当にまずいことになるかもしれない。
僕は眉をひそめた。
「他の人たちも、きっと彼女を疑っているでしょう。」
「大人は私たちを信じてくれなかった。」とヨークは言った。
「コールは、エレインの内にいる悪魔がもう両親を騙したと言った。彼は二人へ行ってみたが、エレインは新しい呪文に苦戦しているだけで心配はいらないと言われた。」
「な、なるほど。しかし、多分僕より、僕たちの姉妹の誰かが......。」
「もちろん。」ロンドンは眼鏡の位置を直し、言った。「お前たちに頼る前に一応にロマちゃんに相談しましたよ。」
ロ、ロ、ローマちゃんに? そのイカれた王女か!
「マジで、ロンドン!! それは絶対に危ないです。なぜそこまでしようとするのですか? ロマちゃんは......。」
代わりにヨークが真面目に答えた。
「誕生日にロンドン兄さんは、屋敷の外でエレインを目撃した最後の人ですよ。」
「......最後?」
「茶会が大好きなエレインちゃんなのに、誕生から......。」
ロンドンは、「俺が出会ったハミルトンさんは、間違いなく彼女ではありません。」と続いた。
僕はすぐに御者に進むよう命じ、兄弟たちに話しかけた。
「仮に信じるとしましょう。でも、なぜ僕に? ローマちゃんが僕の名前を挙げたんですか?」
ロンドンは首を振った。
「ローマ姉さんは悪魔が別の家族を襲おうとしていると確信しています。彼女は、一つのチームにすべての色の魔法を揃えられるよう、誰かを探すことをおすすめしました。そうすれば、この悪魔がどんな攻撃を仕掛けてきても見ることができます。俺は、カイロ兄さんのことを考えていました。コールさんは俺たちの光魔法使いになります。」
あ~、そういう感じか。
俺は、土。
ロンドンが、風。
ヨークくん、火。
ナンキンくん、水と闇。
そのコール、光......。
「あれ? 一人足りないじゃない?」
「そうですけど、俺がその魔法を使う人は、誰も知らない。その悪魔がそれを使わないことを祈るしかないな。それと、悪魔が反撃してくる前に俺の作戦がうまくいくことも。」
少しの間、静かに考えを巡らせた。学園にはその魔法を使える友人もいるが、この兄弟たちはかなりせっかちな様子そう。それより、ロンドンに自分から提案をするのは少し怖い。彼は私より4歳年下だけれど、なぜか兄弟の中で一番威圧感があるのだ。もっとも、それはあくまで頭の良さに関しての話だが。……さすがに「怖さ」という点では、誰よりもローマちゃん......。
あ、そうか......。
「ロンドンくんの作戦は?」
彼は僕に向かってにやりと笑い、鞄を軽く叩いた。
「念のためにローマ姉さん、俺たちの推測が当たる場合、悪魔を滅ぼす聖なる品を渡してくれた。今日はコールの招きで、ティータイムの客として中に入ることができます。あとは彼女を部屋から誘い出し、それを使える距離まで近づくだけです。」
悪魔を滅ぼす聖なる品って......子供の手に⁈ ローマ! 何を考えてますか!
窓の外では、ヨークの馬車がハミルトン家の別邸の門をくぐっていた。ヤバイ......。
「えっと、じゃ、この計画に僕も参加します。ただし。一つ条件があります。その武器を僕に渡して、使うのを任せてください。このメンツの中で僕が一番年上で、継承順位は最下位なのだからな。もし、本当に悪魔がいるのなら、君たちの誰かが傷つくと、お父様は僕を殺しますよ。」
「分かりました。兄さんの理屈には反論できません。はい、どうぞ。」
彼が僕に手渡したもの、予想していたものとは全く違っている。
これは......手錠か⁈
**********
翌朝、階下で皆が忙しくしている中、私は疲れた目をこすりながら、こっそりと部屋を抜け出した。暗闇の中で部屋をくまなく探索した実りある夜のおかげで、屋敷のゲームマップ上で確認すべき箇所は、あとわずかになっていた。静かに地図をたどり、廊下の一つにある星印のところまで進んだ。【XRAY】を使っても、屋敷内の他の廊下と何ら変わらないように見えた。どんなに目を凝らしても、何も見つけられなかった。
「マップ上の星印の場所に立っているのに……。」
突然、誰かが近づいてくる気配を感じ、とっさにスカーフを引き下げて目を覆った。
「見付けた、悪魔ちゃん。」
「おはようございます。ニーナ。」
「王子たちがまもなく到着するとお伝えしに来たのですが……その大変に疲れたお姿を拝見すれば、答えはもう分かりますね。」
「すみません、ニーナ。まだどうしても、それをする気になれません。ただ.....。恥ずかしすぎるよ。」
「なるほど。失礼いたしますけど、お嬢様、なぜ屋敷のこのような切り捨てた区画にいらっしゃるのですか? ここへお連れしたことなど、これまで一度もなかったはずですが。」
私は背筋を伸ばして立った。
「き、き、切り捨てた⁈ なにそれ⁈」
「やっぱり、迷子になっちゃったの? 貴方様のオーラの足跡をたどるのは、ものすごく時間がかかりましたよ。」
「すみません、ニーナ! てっきり、家の普通の設備の一部だと思っていました。」
「嘘など感じられないな……だが、悪魔ちゃん、どう見てもここは普通の場所じゃない。ほら、至る所に埃や汚れ、クモの巣がある。昨晩のあの汚れた服をまた着ていてくれたことには、感謝すべきかもしれないけど、この辺は、遊び場ではありませんよ。」
戸惑い、スカーフの陰で眉をひそめた。彼女は何の話をしていたんだろう? ここでは特に変わったことなんて何ひとつ見当たらないけれど。あたりを見回して、私は息をのんだ。案の定、私が歩き回っていたこの場所はひどく汚れている。目にかかっていたスカーフを持ち上げ、また下ろしてみる。驚いたことに、【XRAY】で、あらゆるものを覆う埃の向こう側までを見通していたのだ。
またスカーフを持ち上げ、そして再び下ろした……この廊下……。
悲鳴を上げながらニーナに飛びつき、彼女のメイド服に顔を埋めた。
「ここが、怖~~~~~~~い!!」
ニーナは身をこわばらせたが、すぐに安心させるように私の短い髪をなでた。
「おっしゃる通りでございます、お嬢様。何でここまでに来ました?」
私、ニーナのドレスに「隠れた物か、盗んだ物をまた探してるだけ」と説明した。
「なるほど。もう少し見ていられるように、5分をあげましょう。その後、もうここには戻ってこないことになりますね。約束?」
「は、はい、ありがとうございます。」
うわ、優し~い。気のせいかな、それともニーナは今日、機嫌がいいのかな?
彼女から身を離し、ニーナに見守られながら、荒れ果てた廊下を再び見回し始めた。
今回は、スカーフを目に当てずに。
隠されたアイテムは、ほぼ即座に見つかった。スカーフが邪魔にならなかったおかげで、枯れた花が挿さった銀製の花瓶に残された、ぼやけた指紋を容易に確認できた。花瓶を手に取って振ってみると、中で何かがカチャカチャと音を立てた。中に手を伸ばし始めた.が......。
「待って、お嬢様。光を使って、中身に危険なものがないか確認してください。」
「あ、確かに。ありがっひっ!!」
魔法で内部を照らすと、八つの小さな目が私を睨み返してきた。
恐怖のあまりそれを捨てようとしたが、ニーナが私の手からそれを奪い取って、花瓶の中を炎で満たした。
「ひ、ひ、酷いよ、ニーナ!!」
「酷いじゃないですよ。ただ、メードの仕事です。次に誰の監視もなしに冒険に出かけるときは、私がどれほど役に立ったかを思い出してくれるといいな。」
私は唾を飲み込み、頷いた。もしかして、実際にニーナがすごく怒ってるかな~.....。
まぁ、とりあえず.....。
緊張しながら花瓶に手を入れ、銀貨を一枚取り出した。
「へ~、今回はケチ」と私はつぶやいた。
「お嬢様、屋敷の本部に戻りましょう。ここでは歓迎されていないような気がする。」
背筋に悪寒が走った。
「え? ど、どういう意味ですか?」
彼女は何も答えず、私の腕をつかんで急いで私を引っ張っていった。
自分の部屋の前に戻って、私は彼女に尋ねみた。
「先のところ、何で私たち使わないの?」
深く息を吸い込み、その若いメイドの瞳には、どこか遠くを見つめるような色が浮かんだ。
「そこは、我らが当主があなたのお祖母様と共に育った場所なのです。彼らが王室の一員だった頃のこと。キャサリン女王が王位を退く前に。」
私は目を見開いた。
あのジジイか⁈ それって、お母さんはお姫様じゃないってこと⁈ 噓!! 絶対にだと思った!!
「ほ、本当に? その偉そうなキャサリンはママの母親だと思っていましたのに.....。」
ニーナは追憶に浸っていた様子から、ハッと我に返った。
「二度とそのようなことはおっしゃらないでください、悪魔ちゃん」と彼女は、炎のような怒りをその目に宿して言った。
「ぐっ。な、なっ。」
屋敷の別の場所から、来客を告げる軽やかな鐘の音が響いた。
「申し訳ありませんが、最近立て続けに解雇があったので、王子たちのことにみんなの手伝いに行かなければなりません。今日はもう冒険には出かけませんよね?」
「はい。先、本当にすみません、ニーナ姉さん。」
彼女が立ち去るとすぐに、私は地図を取り出し、先ほどの星印にチェックを入れ、次の星を目指して歩き出した。その間ずっと、さっき見つけたあの硬貨を指先でいじりながら。幸いなことに、次は以前訪れたことのある廊下で書いてあるが、地図によると、部屋からそこへの道ははまさに迷路のような構造そう。次の「遠征」に出かける前に、私は部屋に戻ってお菓子を手に取り、窓から庭で開かれている男の子たちのティーパーティーを見下ろした。
「ああ、そういえば、コールの部屋に忍び込むなら今がいいチャンスかもね。うーん、どうしようか。迷路のスターにするか、それとも攻略対象の部屋にするか。」
私は、手に入れたばかりのコインを弾いてみた。
「じゃ、迷路のスターに行こう!!」
歩きながら、コインの本を取り出し、スカーフを目元までずり下げて、その本の中から新しいコインの図案を探した。
読んでくれてありがとうございます。
もし分かりにくいところあるなら、ぜひ教えてください!
これは、第二章の2/3




