【第三章 ボス戦の後に続き方を探してみよう!】- 1/3
来てくれてありがとうございます! よろしくお願いします!
いつか。
どこか。
二つの影が、私の頭上で言葉を交わしている。
「この子は? 何歳?」
「えっと、その子は......。お客様のような裕福な方には、こちらの方がより良い選択肢がございます。」
「へ~。それによって、さらに興味をそそられますよ。おい、お前が何歳?」
私の口から奇妙な音が漏れた。
「チッ。」
「ーーーーさん、この優しい紳士にお答えしなさい。」
「十三歳。お客様。」
「オホホ、目が悪いな~。」
また、その音が出ちゃった。
「チッ。」
「ファイルを貸してくれ。」
「は、はい......どうぞ。」
「赤ちゃんの頃から......何回も脱出......反社会性......ハーフ......どこの学校に?」
「いや~、いくつかの学校を試してみたのですが、今は、個別のインストラクターをつけています。頭がすごくいいけど、他の子供や権威ある立場の人が問題となります。」
「なるほど、なるほど。それでは、手続きを開始したいと思います。」
「えっ? 本当に?」
「まぁ、ちょっとしたお出かけしてみていい? 例えば近所のカフェに行ったりすることはできますか?」
「えっと、通常、それは絶対に認められませんが......。」
「......僕のために例外を設けてくれるのですね? 慈善財団が来年度の予算を検討していると聞きましたよ。」
「は、はい。」
突然、怒りに満ちた言葉が口からほとばしり出た。
「先生! 何を言ってっろ! 見ず知らずの男と、どこへも行くつもりなんてこれっぽっちもない。」
その先生は「頑張って、ーーーーさん。これが、まともな人生を送るための最後のチャンスかもしれません。」と答えた。
ぼやけた周囲の景色が変化した。影の一つが消えた。
私は「何で、ウチを......」と聞きました。
「誰かがお前に、本当の盗み方を教える必要があるな。この前こっそり抜け出した時、僕の財布を盗んだでしょ。」
「ぐっ。お前、一体誰なんだ? 何か、金持ちの変わり者?」
「オホホ、ただ、良い未来を信じているだけの人間です。僕たちのような人が、山の麓に取り残されたままにならないような未来を。あるいは、山の頂上そのものを吹き飛ばすべきだと考えている人間、と言えるかもしれません。」
「は⁈ それじゃ何の答えにもなってないだろ、クソジジ。」
影の中から警察のロゴが入った名刺が出た。
「そ、そしき、はんざい......たいさく......ぶ? お前が、探偵か?」
「よく読んだね。でも、まもなく「元」となります。」
またぼやけた周囲の景色が変化した。
「何とお呼びすれば......。」
「それな~、【お父さん】はどうかしら?」
「やだ。」
**********
ベッドの上でガバッと身を起こし、頭を押さえた。一体何だったんだ? 夢か? エレイン1.0の未来か? まだ薄暗い部屋の中で、何度か瞬きをした。たいてい夢は薄れていくものだが、これは記憶と変わらないほど鮮明なままだ。あ~、そうか。もし、それはキツネさんの想い出だったかな。髪を短く切ったことと同様に、エレイン1.0とキツネさんの契約には、「大人びた」や「恐ろしい」記憶を私には伏せておくという条項が含まれていた。
もしかすると、その一部はすでに失われつつあるのでしょうか?
奇妙なことに、エレイン1.0もキツネも、その記憶について何も言わなかった。
この世界では時計はまだ珍しいものだから時間は分からないけれど、もうすぐ夜明けだと思う。つい昨日、どうにかして悪魔を倒し、攻略本のページを見つけ、お母様の話を立ち聞きしたなんて、信じられないくらいだ。ああ、それからカイロ王子との出会いや、魔法のコインのこともあったっけ……。ん~、あれ? たった1日でそれだけの量って、すごくないじゃない? なんだかまるで……映画や本における出来事みたい。ゲーム内のシーンも、同じような形で展開したのでしょうか?
私は目を覆い、ゆっくりメモとゲームの箱を取り出した。
特に、あらすじの後の部分を確認したい。
【コレクターズ・エディションの特典: 家族が亡くなる前の、これまで語られなかったストーリーイベント 】
キツネさんの説明を信じたら、[イベント] というのは、お祭り、結婚式、演奏やのようなものだ。でも、あれは間違いなく昨日起きたことを指しているじゃない? どう見ても、昨日は急に何もかもが一度に起こった。ですよね? エレインさん、キツネさん?
二人は答えなかった。
えっ?
「二人、寝てるかな? そんなこと本当に可能なのか?」
ん~、ちなみに、もし私がキツネさんを目覚めさせたあのアイテムを見つけていなかったら、どうなっていたんでしょうか?
私がまだ「エレイン1.0」のままだったら......。
コールに優しく接し続けていれば、今でも「完璧な令嬢」として見られていたでしょう。
悪魔の存在など、誰にも疑われなかったはずだ。そのお陰で、お茶会に悪魔を退治するための手錠なんて持ち込まれることもなかっただろう。それどころか、私自身がお茶会を主催していたかもしれない。昨日のあの「悪魔」絡みの騒動がなければ、本当の大きな話は……
「彼が下着を盗むこと......だったでしょうね?」
彼にもっと優しく接していたら、私か彼の友人に打ち明けてくれていたかもしれない……そうすれば、昨日みんなでそのことについて彼と話せたかもしれない……。私は眉をひそめた。ヨークに助けられながら兄の抱える問題を手伝うのは......なんか、エレイン1.0にとって、それはとても素敵な一日になるはずだと思う。やっぱり、彼女は本当に人の役に立つのが好きなんだな……。
彼女からその一日を奪ってしまったという罪悪感を少し覚えながら、私は気まずい思いでゲームの箱を振り返った。今なら、それについて書かれていることのほとんどを、ある程度は理解できていると思う。
ただ一つを除いては......。
【新品のラノベ(12冊目)からの隠し攻略対象】、【シリーズ第4作】、【前日譚ルート】
「めんどう……このシリーズは、魔法学園で過ごした時間だけじゃなくて、ずっと広いものみたいね。」箱をひっくり返して、正面を向いた。「少なくとも、その優しいカイロ王子を描かなくてよかった。まぁ、彼がまだその「隠し攻略対象」である可能性はあるけど。」
窓から、陽の光がゆっくりと忍び込み始めた。
ハッとして、自分の額を叩いた。
「全然忘れちゃった~!」
前の晩、母の会話を立ち聞きして攻略本のページを見つけた後、こっそり自分の部屋に戻ってニーナと寝る支度をしなければならなかった。そして彼女に子守唄を歌ってもらうと、すぐに眠ってしまったんだ! 結局、そのページをちゃんと読まなかった! 魔法空間からそれを取り出すと、黒い塗料の小さな破片がベッドの上にこぼれ落ちた。
【コレクターズ・エディション取集アイテム: 攻略本 pg. 34】
【コール・コーフィールド:弟とファーストキス方法ー手順 1~12】
と
【コレクターズ・エディション取集アイテム: 攻略本 pg. 33】
【ヨーク・ロード:第一王子とファーストキス方法ー手順 1~12】
コールのページの最上部に【ロンドン・ロードはこちら!! ⇒】と書かれている。
ヨークのは、【⇐ ナンキン・ロードはこちら!!】
コールのページに戻り、指示書きや、私と弟との間で書いてある様々なセリフに目を通した。実は、セリフが、ちょっと覚えている。彼が引き取られた初日や、私の誕生日のとか。このページによると、当時、指示通りに完璧に行動していたそうけど......まだ見てないセリフは、これから?
C:【今日は図書館でとても楽しい時間を過ごせました。付き添いとして参加させてくださり、ありがとうございました。姉さんは?】
主人公:【1.私も!】、【2.まぁんぁ】(どちらの選択肢でもOK)
C:【実は......もう一つ誕生日プレゼントがあります。受け取っていただけたらとても幸いですけど。】
主人公:
【1.ひっ!! すごく嬉しい! ありがとうございます!】
【2. 本当に?......でも、私のようなクズが、そんな親切を受け入れられるはずがない】
【3. いいね! お! ヨークくんがプレゼントを持ってきてくれたお茶会に、私に渡してくれればいいよ! 楽しみ!】
【1.♡ ー1】
【2.♡ +3】このルートのため、これを選んで! 特典のプレセントもゲット!
【3.♡ ー5】ライトノベル通り!!
嫌悪感で顔を歪め、読むのをやめた。つまり、コールはそういうタイプってことか。
でも......その2行目は不自然すぎるじゃないか?
そんなことを言う理由が、一体どこにあるというのでしょうか。
それにしても、もしあの日に前世の記憶を取り戻していなかったら、こうなっていたんだろうな。他にも目を通してみたけれど、どれも似たような展開だった。エレイン1.0が自分を卑下すると、彼はどんどん優しくなっていき、ついには彼が光魔法を使って私の手の傷を治してくれるのだ。なんか、キモイ。
逆に、ヨークのページは……。
これと......これと......うわ、可愛い......あ~、なるほど......たしかにそれが私に効くかもね......えっ!! こんなことも⁈......や、やばいヨーク!! 優しすぎる!!
私は頬を熱くして、手で覆った。
で、で、で、でも、やっぱり、ヨークのことは全部お茶会でのセリフみたい。両方のページの最下部には、それぞれの少年が私の手にキスをしている写真が載っている。その2枚の写真の唯一の違いは、ヨークがキスをしている場所に、私に小さな切り傷があるように見えたことだった。
うーん、これってちょっと変じゃない? なんで誰かが敵とキスなんてしたいの? ゲームの箱を振り返って見た。表紙では、ヨークが私の肩に腕を回していて……コールは私の顎に手を伸ばし……ロンドンは騎士のように跪いて、私の手を握っていた……。
本当に分かんない!何もかもが恋愛物語のように見えるのに、なぜ彼らは「攻略」と呼ばれているんだろう⁈ どうだろう……彼らが敵になるのを、食い止めることはできるかな? 何しろ、もし昨日が本当に「コレクターズ・エディションの特典のイベント」だったのなら、ゲーム開始まで5年、そして王位継承戦までにも5年の猶予があることになる。全員が悪の道に落ちるのを救う時間は、まだいっぱいあるよ!
いや~、それはおそらくエレイン1.0の考え方ね。難しすぎるかも。
腹を立て、私はすべてを魔法空間に押し戻し、大きなため息をついて柔らかいベッドに倒れ込んだ。
しかし、そこに横たわっていると、そのページにある一つのことがどうしても気になった。
【ライトノベル通り】
静かな部屋に「ライトノベルって何⁈」と叫んだ。
**********
その後数日間、どこかぼんやりとした状態で過ごした。立ち聞きしてしまった内容のせいで、ニーナとは話したくない。エレイン1.0とキツネさんは相変わらず口をきいていない。コールはまだ大聖堂にいる。庭で掘るべき穴は、もう残っていない。まだXRAYの呪文を解除できないので、睡眠のルーチンがどんどんひどくになっている。食べているものさえも、変わっている。
地図とラッキーコインを手に、屋敷の迷路のようなエリアを再び探索してみたが、見つかったのは別の魔法のコインが一つだけだった。もっとも、それがどんな効果を持つものなのかは定かではないけれど。それが何をしでかすかわからず怖くなり、すぐにクローゼットに隠した。
今朝、50人が座れるほどの大きなテーブルにつき、私は一人で朝食を待っている。
私は長く息を吐き出し、精巧な彫刻が施された木材の上を指でトントンと叩いた。
「エレイン1.0は、どうしてこの生活にあれほど満足していたんだろう……。」
誰も答えなかった。
ニーナはすぐに、二人分の食事を持って駆けつけ、私の隣に座った。
彼女が滑らせてきた器を見て、私は目を見開いた。グラノーラ? 彼女が運んできたトレイから、ニーナは慎重に金属製の水差しを手に取り、私のボウルにミルクを注いだ。これは絶対にこの世界で目にすることになるとは思ってもみなかった。なぜ私たちは突然、前世の安っぽい朝食を食べているのだろうか? 正直なところ、なんだか孤児院を思い出させるんだよね……。うわ、また急にキツネさんの思い出が.....。
では、今世は初めて。
「これは.....?」
「私の大好きなシリアルですよ、お嬢様。いただきます。」
ニーナは私に目もくれず、自分の分を食べ始めた。
「そ、そうか。こんな朝食初めてですよね。」
「たしかに。美味しいよ。スプーンで食べて。ちょっと冷たいスープみたいかな。」
「あ、うん......もし、今日は料理人たちは忙しいですか?」
「ううん、別に。食べなさい。」
「はい。いただきます。」
食べ始めたものの、何かがおかしいという感覚を拭えなかった。そうは言っても、正直なところ、かなり美味しくて懐かしい味があった。私が食事を終えるやいなや、ニーナはシリアルと牛乳をさらに注ぎ足した。何も考えず、私は嬉しそうに食べ続けた。
「美味しい?」
「うん! 美味しいよ。」
「よかった、よかった。」
突然、近くの扉が勢いよく開き、大勢の召使いや衛兵を従えた母の姿が現れた。母は私たちに気づかないまま食堂を半ばほど進んだところで不意に立ち止まり、私を睨みつけた。
「ひっ! お、お、おはようございます、ママ!」
彼女のサファイアのような瞳が細められた。
「ニーナ。私の娘に、なんであんなひどいものを食べさせているんだ?」
皆の視線が自分に突き刺さると、ニーナは身を硬くした。
「ハミルトン公爵夫人様。すみません。ただ、最近.....。」
「私の娘が、そこらの農家の牛にでも見えるのかい? 畑から直に穀物を食らうような真似は必要ないんだよ。まったく!!..... いいかい、エレイン。その不味いもの、無理に食べなくていいんだよ。」
一口飲み込み、私はその二人の女性に顔をしかめた。実のところ、あの夜以来、母に会うのはこれが初めてだと気づいたのだ。私について母が言っていたことを耳にしてしまった今、もう二度と彼女の味方になどなりたいとは思えない。
「違います、ママ。食べたいんですよ。」
「エレイン、それは庶民の食べ物だ。」
「そう? それでも、美味しいです。出来れば、毎日食べたい!!」
「それが......本当に好きなの?」
「うん! 今朝、これで2杯目です!」
母は激昂し、何も言わずに部屋を飛び出していった。みんなが彼女を追いかけた。
ふたたび二人きりになり、ニーナは身震いした。
「お嬢様、私をかばおうとしてくださるのはありがたいですが、必要はありません。」
私、照れくさそうな笑みを浮かべていた。
「でもね、ニーナ。今朝、どうしてこれを食べているの? 本当に悪くないけど......。」
もしかすると、彼女は母親がここを通ることを知っていて、母親と口論したかったのだろうか? 二人の間にはそういう関係性があるように見える。
「正直に申し上げますと、お嬢様は最近、きちんとお食事をなさらないせいで体重が減ってしまっています。甘いものを控えていらっしゃるのは良いことですが、近頃はほとんど何も召し上がっていないようですから……。そこで、あのシリアルに色々なものを混ぜるよう、料理人たちに指示しておきました。」
「ぐっ。つまり、それはまさに牛の食事のようなものです。」
「どういう意味かよく分かりませんが、お召し上がりいただけるものが見つかって何よりです。
同じように、貴方様の目の問題を解決すべき時期だと思います。それと同時に、何か適切な趣味も見つけましょう。」
「しゅ、趣味? 例えば……ガーデニングとか、裁縫とか?」と私は不機嫌そうな顔で尋ねた。
「興味があったら、それも大丈夫けど......。実は、最近君のため、もうよく考えていて、色々な教師に連絡しておきました。でもそれについては後で話しましょう。それよりも、まずはあなたの目の問題に集中しましょう。どうやら、みんなの下着姿を見ることに少し慣れすぎているようですね。」
「そ、そうか。さすが、私の最強のメイドですね。もう計画はありますか?」
「はい。あります。今日の午後、君がカイロ・ロードの屋敷へ向かいます。」
「その優しい兄さんに⁈」
ニーナは目を見開いた。
彼女は「その通りですが、もう彼に会ったことはありますか?」と尋ねた。
「はい! 彼は、王子がコールとのお茶会を開いている間、一人で廊下をさまよっていたわ。偶然通りかかった。」
「偶然か? なぜ今までそのことを知らなかったんだろうか?」
「まぁ、その日に色々あったよ。それに、ニーナ、【すべて】を知ることはできませんよ」と私は無邪気な笑みを浮かべて説明した。
「すべて.....って......。」
ニーナの瞳に遠くを見つめるような色が浮かび、彼女は黙ったままシリアルを数口食べた。
「でも、彼は優しいですよ! また会ってもいいかも。そうか、彼と私の目の問題に、どんな関係があるのですか?」
「あ、あ~、うん。ごめんなさい、今日は学園の日だし、彼はそこにいないと思います。先、彼の『屋敷』って言いましたよ。代わりに、貴方様が彼の妹に会うことになります。」
「妹⁈」
「そうです。速く食べて、準備してください。」
「はい、は~い。」
もしカイロに会ったら、クローゼットから二枚目の魔法のコインを取り出した。
**********
数時間後、馬車が止まり、御者が到着を告げた。
運転手がドアを開けてくれるのを待っている間、ニーナはポケットから小さな本を取り出し、座席に身を落ち着けた。運転手がドアを開けてくれるのを待っている間、ニーナはポケットから小さな本を取り出し、座席に身を落ち着けた。
「えっ? 私と一緒に行かないの?」
「多分一人で行ったほうがいいです。ハミルトン家がカイロ家のような家族を信用していない噂などと言われたくはない。」
「ど、どういう意味ですか?」
「ん~、今は心配しないで。大人になればわかるよ。」
「そ、そうか......。」
「エレインちゃん、貴方様はもう10歳です。いつも私が守ってあげる必要はありません。この家の使用人たちを頼ってください。」
「ただ少し休みが欲しいだけでしょ」と、私は頬を膨らませながら呟いた。
「目のこと、頑張ってね。」
「は? まだ何も説明しなかったのに?」
ニーナはただドアの外へ出るよう、私に合図した。
カイロの家の使用人に屋敷へと案内されながら、私は思わずニーナに向かって首を振った。
そのメードが本当に怪しい......。
一通りの挨拶を交わした後、私は控え室へと案内された。奇妙なことに、彼は王子だというのに、この屋敷は驚くほどこぢんまりとしていた。使用人たちの制服も、決して上質とは言えず、清潔とも言い難いものだった。きっとニーナの言っていたことと関係があるのだろうが、私にはまだその真意がよくわからなかった。前世の私なら、彼らのような給仕スタッフに紛れ込もうとする際、適当な制服を身につけるだけで済んだだろう。......うわ、またキツネさんの思い出が......。
面会室に入ると、そこで私を待っていた人物の姿に、私は小さく息を呑んだ。
「カ、カイロ様⁈ なぜここにいらっしゃるのですか。魔法学園は?」
この年上の少年も、同じように驚いた様子だった。
「すごい、ハミルトン様! そのドレス姿だと、君だと全く分かりませんよね。雰囲気がすっかり違いますよ!」
「アハハ、たしかに。先日は、カイロ様を騙さなくてすみませんでした。この前は、あなたを騙さなくてごめんなさい。私が男の子だと思われたのが、ただ恥ずかしかっただけなんです。」
「いや、僕の方が悪かったですよ。男として、君のような素敵な若い女子を、どうして男の子と間違えたりしたのか分かりません。大変失礼いたしました。」
「私が髪を切ってから、多くの人がその間違いをしましたわ。」
そう言うと、カイロの背後から小さい少女の顔がひょっこりと覗いた。
私は目を見開き、すぐにカーテシーをした。
「あれ? 大変申し訳ございません、二人」と私が誤った。「で、どちら様でいらっしゃいますか?」
カイロの顔は青ざめ、驚いて私から後ずさりした。
「僕の妹を見えますか⁈」
「えっ? はい?」
急に彼は慌ててくるりと向きを変え、部屋の中を見回した。
「彼女は、ど、ど、どこに⁈」
彼が身を動かすと、その背後に妹の姿が現れた。彼女も私と同じような豪華なドレスをまとっている。薄い金髪は弾むようなカールに結い上げられ、瞳は淡いブルーをしていた。私とだいたい同じくらいの年齢はずだ。彼女をじっと見つめていると、彼女の顔に奇妙な表情が浮かび、頬が赤く染まった。
少し遅くて、下着姿の彼女ではなく、私がドレスの全貌が見えていることに気づいた。
「ハミルトンさん、早く。彼女はどこ⁈」
「あ、ここだよ。」
私が彼女に指さすと、彼は手を伸ばしたが、彼女は軽やかに身をかわした。
「何も感じられない! 本当に見えますか?」
「うん。金髪。水色の瞳。可愛いなドレス。カイロ様、何で自分の妹を見えませんか?」
「違うよ!! 僕だけではなく、もう2年近く、誰も彼女の姿を見ていませんよ!」
私はもう一度彼女を見た。
彼女は無言のまま、肩をすくめてうなずいた。
え? ええええええ? ど、ど、ういうことですか⁈
読んでくれてありがとうございます。
もし分かりにくいところか面白い点があったら、ぜひ教えてください!
これは、第三章の スタート!




