二人の出会い
「王城でユーリと出会ったのか?」
「ああ」
エドウィンの問いに俺は頷く。
「ユーリが他国で軍人をしていた事は知ってるだろ?」
「ああ、ここの孤児院の子達に身を守る術などを教えている事も聞いた」
「それを買われて時々指南役として騎士団を鍛えたりしているんだよ」
「そうだったのか」
「まあ、ユーリとイアナさんの出会いだけど、ここからは本人から話した方が良いかもな」
「あら、私が話すのかしら、イアナ、話しても良いかしら?」
「ええ」
イアナさんの許可が出たのでユーリは話す。
「まあ、いつも通り騎士団の相手をして帰る時に偶然彼女と出会ってね、資料とか本を持っていたみたいなんだけど女の子一人が持つには多かったから私が持って行ってあげたのよ」
「私は大丈夫だと申したのですけどね」
「今までずっと一人でやっていたからかもしれないけど、あれは女の子が一人で持つ量じゃないわ、誰か適当に暇そうな男を捕まえて運ばせれば良いんだから、話を戻すけど、資料とかを運んでいる途中で何気ない日常会話をしてその日はそれで終わったけどね、最初に出会った印象はとにかく一生懸命頑張ってる子なのねって感じだったわ」
「私はちょっと変わった人だけど優しい人だなって感じでした」
ちょっと変わったと言うのはおそらくユーリがオネエだって事だろうなぁ。
「それから王城に行くと彼女と会う事もあったからその時に何気ない会話をしたわね、好きな食べ物とかそんな感じの会話をね、時々一緒にお茶を飲んだりした時もあったわね、王城に行く度に今日は彼女と会えるかしらなんて思ってたわ、初めての事だったのよ、一人の女性にこんなにも強く会いたいなって思えたのは」
「私も初めての事でした、今日はあの人来てくれるかなって思いながらあの人と出会った場所を通ったりしていました、バッカス王国にいた頃はそんな事一度も思った事がなかったので」
「そんな日々を過ごしていたらイアナから話してくれたのよ、元はこの国の人じゃない事、どうしてこの国に来たのかを、その話を聞いて私はとにかくそのバカ王子達が赦せなくてはらわたが煮えくり返りそうだったわ」
拳を握りながらユーリは言う。
「自分よりも優れているのが生意気ですって、それで見下されているですって、イアナはただ国のために行動しただけでしょ、それがたまたま大きな成功に繋がっただけの話よ」
うん、確かに頑張ったら大きな成功に繋がる事はあるな。
「それに彼女だって何もせずに完璧だったわけじゃないわ、たくさん勉強して努力したからこそ出せた結果よ、それが気に入らないなんて、彼女の事を知らないから、知ろうとしないから言える事よ」
「そうだね、イアナさんだってバカ王子の命だと受け入れたけど、本当は何とも思っていないわけじゃない、そうだろイアナさん」
「はい、ただ国のために、王妃となるために努力をしてきたのに、婚約破棄を言い渡され、親もそれを了承した、それを目の前で見た時、私は今まで何のために頑張ってきたのかと思いました、今まで何のために勉強して努力して尽くしてきたのか、自分の存在意義は何なのかと思いました」
「イアナのその気持ちは当然の事よ、婚約者に対して不満があったのなら素直に言えば良かったのよ、ちゃんと親も一緒になって話し合ってそれで解決しそうになかったのなら婚約破棄すれば良かったのに、どうして他人を傷つけるようなやり方で婚約破棄をするのって思うわ、婚約破棄をする事自体は別に悪い事じゃないわ、だって将来結婚して夫婦になるのだから、それで不満があって解決できなければ仕方ない事だもの、ただそのやり方が間違っていたらダメなのよ、だから私は最初エドウィン様に対しても良くない印象を持っていたのよ」
「私に?」
「ええ、あなたが婚約破棄した時、バカ王子と同じだなって思ったのよ、婚約者への不満や家族への不満があったのなら話し合って素直に言えば良かったのに、それなのに公の場で、しかも他国の人達もいる中で婚約者に相談も何もなく勝手に婚約破棄を言い出した、しかも彼女の冤罪だった罪を言い出すなんて何を考えているの、彼女を傷つけるようなやり方をしなくても良かったじゃない」
「ああ、その通りだ、今ならわかる、自分がどれだけ愚かで浅はかだったか」
「そうね、でもあなたはバカ王子と違うところがあるわ」
「え?」
「それは、ちゃんと反省したと言うところよ」
「反省」
「ええ、自分が何をしてしまったのか、それを自覚してちゃんと反省して前に進む、それができただけでエドウィン様はまだマシよ、だから最初に会った時にちょっときつく言うだけで勘弁する事にしたのよ」
「あれでちょっとなのか」
冷や汗をかきながらエドウィンは言う。
うん、俺もあれでちょっとなのかと思ったよ。
ならエドウィンが全く反省していなかったらどうする気だったんだよ。
あ、それならそもそもこの国に連れてくる事もないか。
「けどね、あのバカ王子は全く反省しなかった、だからバカな事をしたのよ」
「バカな事?」
「ええ」
ユーリはその時の事を話すのだった。
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