ジャムパン作り
パンの種類を増やしてほしいと言う事で、再び新しいパンを生み出すためにパン作りを始めるのだった。
「それで、次はどんなパンを作るの?」
そうシオンが問う。
昨日はジョルジュに作ってもらったので順番と言う事で今日はシオンが担当する。
「今日はこれを作ってもらいたいと思うんだ」
俺は失われたもの図鑑を開きシオンにそのページに載っているパンを見せる。
「ジャムパン?」
「ああ、ジャムパン、パンの中にジャムを入れたパン、一般的にはイチゴのジャムが定番だそうだ」
「パンの中にジャムを入れるのか」
「ジャムか、私もたまにパンにつけて食べるな、あれもあれで旨いからな」
シルの言うようにジャムもパンにつけて食べると旨いんだよな。
「ですが、パンの中にジャムが入ってると言う事は、一からパンを作ると言う事ではありませんか?」
失われたもの図鑑の説明を見ていたフレイアが言う。
まあ、そう言う事になるな。
「そうなるな、まあ、パンの作り方はわかるから絵の通りで問題ない、若達も一緒に作るか?」
「別に良いけど、俺料理は得意じゃないぞ?」
「やった事ないだけで若は教えた通りにやればできると思うぞ」
「そうなのか? まあ、やってみるけどさ」
まあ、シルは料理ができるし、フレイアも一応一通りできるんだから良いか。
そしてジャムパン作りが始まる。
「強力粉、薄力粉、砂糖にドライイースト,を入れて混ぜてから塩とかき混ぜた卵と水を入れてひとまとめになるまで混ぜるっと」
シオンの言う通りにしていくと確かにひとまとめになった。
「それでひとまとめにしたこれを台の上で粉気がなくなるまでこねてくれ」
俺達はパンをこねるがこれがまた大変だな。
「結構大変だな」
「ああ、パン屋の人達は毎日こんな大変な思いをしてパンを作ってくれてたんだな、これは何としても新しいパンをたくさん生み出してあげないとな」
シルの言う通りだな。
こんな大変な思いをして作ってるんだ。
売り上げを伸ばすために新しいパンをたくさん生み出さないとな。
そうしたら粉気がなくなってきた。
「粉気がなくなって手につきにくくなったら表面が滑らかになるまで台に叩きつけてこねるんだ」
「これも中々の重労働ですね」
フレイアの言う通り、叩きつけてこねるのは結構体力を使うな。
「それで生地を一口大に切ってバターを加えて全体になじませるようにこねるんだ」
バターを加えてさらにこねるのか。
パン作りってこんなにたくさんこねるんだな。
パン屋さんの人達、毎日お疲れ様です。
「こね終えたらボウルに入れて空気が入らないように蓋をして待つ、こうすれば大きくなるそうだ」
確か発酵って言ったな。
パン作りには必要な工程だったな。
時間が経ち蓋を開けると中のパンは大きくなっていた。
「それで強力粉を適量ふって手で押すようにして中の空気を抜いていくんだ、そうして平らにした生地を均等にして丸めるみたいだな」
シオンの言った通りにしたら再びこれをボウルに入れて蓋をするようだ。
そして同じようにまた生地を押して平らにする。
「ここでこの生地にジャムを加えてジャムが外に出ないように包むみたいだ」
シオンに言われた通りにやるが、これが難しい。
何とか包めたが他の皆と比べると初心者丸出しだな。
「シルは上手いな、俺のなんか何とかできたって感じだ」
「そうか、だがケイネスも初めてにしては上出来だと思うぞ、数をこなせばできるようになるさ」
「そう言うものなのか?」
「できたようだな、それじゃこれをまた発酵させるぞ」
また発酵か。
同じ動作を何度も繰り返すんだな。
パン作りは奥が深いな。
「それで、卵を塗るみたいだな、卵をかき混ぜてそこに水を加えて混ぜる、それでこれをジャムを包んだパンに塗ってオーブンで焼けば完成だ」
シオンの言う通りにジャムを包んだパンに卵を塗ってオーブンで焼く。
「これで後は待てば、ジャムパンってパンが完成するはずだ」
「いよいよ完成ですか、それにしても」
フレイアはシオンをじっと見つめる。
「何?」
「いえ、こんなに長い時間掛かったので今さらながら相手がカリーナでなく私で申し訳ないなと思いまして」
「いや、別に良いけど、それならフレイアだって俺じゃなくてルートの方が良かったんじゃないのか?」
「いえ、私もそこは別に構いませんけど」
どうやらお互いにお互いの事を気遣っているようだな。
確かに夫婦で作りたかったんじゃないのかって思うよなぁ。
「ところでずっと聞こうかと思っていたんだが、お前達って子供とかは良いのか?」
「「え?」」
シルの問いに二人は一瞬止まるが内容を理解したのか二人の顔は赤くなる。
と言うよりとんでもない事聞いたな。
「いや、シオンもカリーナとフレイアもルートと結婚して何年か経ってるし、そろそろ子供くらい良いんじゃないかと思ったんだ、なのに一向にそう言うのがないなと思ってな」
「確かに奥様からルートとの子供とかそう言うのはよろしいのかとは言われましたが」
「まあ、俺も旦那様からカリーナとの子供とか良いのかって言われた事あるけど」
「ルートともそう言う話をした事はありますが」
「使用人の仕事とかそう言うのもあるし、何より若が当主になる前に勝手に俺達だけでそう言うのをするのもどうかとカリーナと話し合ったんだ、その結果若が当主になるまではって話になったんだ」
「私もルートと話し合った結果そうなりました」
「そうなのか、親父は俺が成人を迎えたら当主を継がせるって話してたが別にそこまで待たなくても良いと思うぞ、俺は別にそんなの気にしないし」
「そうだな、それにケイネスが当主になる前と言うが、ミスチーとネロナはそれ以前に子供を産んでるだろ? ネロナなんて最近産んだんだ、だったらお前達も気にせずに良いと思うぞ」
「使用人の仕事とかも料理人はラキムやジョルジュもいるし、ルティにレティ、それにミスチーとネロナも一応一通りはできるからシオンがカリーナと共にしばらく抜けても大丈夫だし、フレイアも財産管理やその他の仕事も親父と母さんがいるし、それにユーリもそう言う仕事はできる方だからルートと一緒にしばらく抜けても問題ないと思うぞ」
「それにアニスの勉強もしばらくの間なら私やケイネスでも教えられるから心配無用だぞ」
「奥様にも同じような事を言われましたね」
「俺も料理長と副料理長から似たような事を言われたな」
「もう一度話し合ってみたらどうだ? 何だかんだ皆心配してるから」
「わかりました、もう一度ルートと話してみます」
「俺もカリーナと話してみるよ」
二人はもう一度話し合うみたいだ。
そしたらちょうどよくパンが焼き上がるのだった。
ジャムパンはイチゴジャムの甘酸っぱさとパンが見事に合わさって旨かった。
これは子供にも人気が出そうだな。
それと俺のジャムパンは少し変な形だが味は問題なくて良かったよ。
読んでいただきありがとうございます。
今回の話で二百話みたいです。
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