希望が持てたみたいだ
「い、今のは」
「これは魔力をただ手に込めただけじゃなく、薄く鋭い形にして魔力を込めたのじゃ」
「薄く鋭い形?」
「そうじゃ、魔力はただ単純に込めただけでも強いが鍛えれば自在に形を変える事ができるのじゃ、儂は魔力を薄く鋭くした事で自分の手を切れ味の良い刃物のようにしたのじゃ」
「!! だからレッドミノタウロスの首が剣で切ったかのように落とせたのか」
「そうじゃ」
エドウィンの言葉にカホさんは頷く。
「魔力を使いこなせるようになれば手だけでなくただの木の棒でさえ鋭利な刃物へと変わるのじゃ」
「そうか、ケイネスが木の棒でジャイアントゴブリンと戦えて倒せたのは」
「ああ、俺が木の棒を魔力で剣と同じように強化していたからさ」
エドウィンが気づいたので俺は正解を言う。
「魔力、魔法使いだけが使える力じゃなく誰にでもある力、私の中にもあるのか?」
「うむ、さっきも言ったが魔力は誰にでもある力じゃ、生まれた時から魔法を使える者はその力に気づくがそうでない者はその力に気づかず一生を終えるのじゃが、中には魔法使いじゃなくともその力に気づく者もおるのじゃ」
「親父や陛下辺りは何となく自分の中にある魔力に気づいていたって話だぜ」
「そうなのか・・・・・・何故だろうかあの二人ならそうなっていてもおかしくない気がする」
「私もそう思う、父上も男爵も普通に使えたと言っても素直に信じるな」
うん、俺もそう思うよ。
あの二人は教えなくても勝手に魔力に気づいていてもおかしくないんだよなぁ。
「ちなみにお前もその魔力の威圧を既に受けているぞ」
「え?」
「シェフィーネと付き合った時に挨拶で父上の所に行って父上からとんでもない威圧を感じただろ?」
「あ、ああ、何度も殺されるかと思ったが、まさかあれって」
「ああ、あれは魔力で放ったものだ」
「な、なるほど、あれは魔力によるものだったのか」
シルの説明でエドウィンは陛下と会った時に陛下から感じた威圧感に納得する。
多分殺意もあっただろうな。
「まあ、エドウィンは多分ガルドムでも魔力の威圧を受けてると思うんだよな」
「え?」
「お前、ガルドム王と対面したり対話した時に何か威圧や威厳のようなものを強く感じた事はないか? その時に自分に何か緊張感のようなものが走ったりとか」
「何度もあるさ、厳しい教育を受けていた時なんて特にな、これが王になる者の威厳なのかと」
「それ多分魔力によるものだと思うぞ」
「え!? でも父上がそんなに強いなんて話は聞いた事が」
「おそらくじゃがそれは無意識に出していたんじゃろうな」
そうカホさんが答える。
「魔力を一番感じやすいのは存在感、威圧、威厳などによるものが多いんじゃ、目が離せない存在とか、この人には逆らってはいけないとか、この人には生涯ついて行こうとか、そんな風に感じるのは無意識に出ている魔力の影響だと思われるんじゃ、自分より上の立場の者を前にするとそう感じる事が多いかもしれんのう」
「なるほど、父上や母上に対して強い存在や威厳や威圧を感じたのは魔力が無意識に出ていたからか」
「そう言う事だ、そしてそれを理解して扱えるようになれればモンスターとも戦える強力な武器にもなるって事さ、どうだ? これが俺がドラゴンを倒せたり人間離れした身体能力の秘密だ」
「なるほど、シルフィスタ殿やルート達も同じように魔力が扱えるって事だな?」
「ああ」
「魔力の身体強化はバカにできんぞ、儂のように動きにくい着物を着ていても今みたいに戦えるんじゃからな」
確かにカホさんの和服である着物は戦闘向きじゃないが魔力の身体強化ならそんなの関係なしに戦える。
それだけ魔力の身体強化は優れている。
「お前が私に自分と同じくらいできるようになってもらうって言った時は何を言っているのかと思ったが、なるほど、誰にでもある力、魔力に目覚める事ができれば確かにドラゴンと戦えるようになれるかもしれないな」
「希望が見えただろ?」
「ああ、少しは希望が持てたよ」
「そうか」
「それは良かったのじゃ、今教えたのは魔力の基本的な扱い方じゃ、お前さんが魔力に目覚めたらもっと教えてやるのじゃ」
「カホさんならエドウィンの先生になるには最適だな、何故なら私もケイネスもカホさんに魔力の扱い方を教えてもらったからな」
「そうなのか?」
「ああ、ちなみに親父や陛下にもその力が魔力だと言う事とその扱い方を教えたのもカホさんだし、ルート達に教えたのもカホさんだ、その証拠に皆カホさんの事先生って言ってただろ?」
「なんの先生なのかとずっと疑問に思ってたが、なるほど、魔力の扱い方を教えてくれたから先生だったのか」
「東国では儂は家事とかよりも魔力の扱いが上手くて戦いの方に素質があったんじゃが、当時の東国は女が戦うなんて意味がないと言うような感じじゃったからのう、じゃからこの国に来たのは結果的に儂にとっては良かったのじゃ」
「まあ、そう言う事だから魔力に目覚めたらカホさんに教えてもらうと良いさ」
こうして俺達は家へと帰るのだった。
エドウィンも希望が持てたみたいだからこれからの特訓にも気合が入るだろ。
あ、ちなみに討伐したレッドミノタウロスはちゃんと回収して冒険者ギルドに持って行ったぞ。
読んでいただきありがとうございます。
ここまでで第四章は終わりです。
続きは現在執筆中なのでしばらくお待ちください。
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