過去話 ケイネス、十歳の時の話
俺とシルの馴れ初めを知りたいと言ったシェフィーネ王女とアニスに俺はシルとの出会いを話すのだった。
それは、俺が十歳の時まで遡る。
「ケイネス様、今日はここまでにしましょう」
「わかった」
俺は訓練場でルートと一緒に木剣での模擬戦をしていた。
模擬戦が終わり俺は水を飲んで水分補給をして休んでいる。
「お見事ですケイネス様、十歳でこれだけの剣の腕があれば同い年でケイネス様にかなう者はいないでしょう」
そうルートが褒める。
ルートはこの辺境の平民の家の子だが物覚えが良く領地を視察に来た親父に誘われて我が家の使用人として雇われた。
実際に頭は良いし俺に勉強を教える教師にもなっている。
貴族が平民に勉強を教わるなんてって考えを持っている者もいるが俺は特にそう言うのは気にしない方だし実際ルートが頭が良いのは本当だし教え方が上手いから学べる事は多い。
それに剣の腕も確かだからこうして俺の剣の相手もしてくれる。
平民だと思ってバカにしたら間違いなく痛い目を見る有能な人材だろう。
「同い年ねぇ、でも俺は他の同い年の子と会った事がないからそう言われてもピンとこないな」
「あら、案外そうでもないわよ」
俺達の会話を聞いていたユーリが話しに加わる。
ユーリは他国の軍隊長をしていたのだがその国が滅んでしまった事で目的もない旅をしていたらこの国に辿り着いて孤児院で暮らしながら手伝いや孤児達に護身術や戦いの術を教えていたところを視察に来た親父に誘われて現在使用人として働いている。
さらに言うと彼はオネエである。
本人は心が乙女だとか言っているがオネエだ。
見た目はイケメンだがオネエだ。
「私も孤児院の子達に教えているけど、若と同い年で若より強い子や素質のある子は中々いないわ」
「そうなのか?」
「何だ? お前ら何話してんだ?」
リックが新たに会話に加わる。
リックも平民で実家が商売をしていて家の手伝いをしていたが親父に誘われて使用人として働いている。
と言ってもリックは敬語が苦手で俺自身もリックが敬語を使うところなんて想像もできないからそこは別に良いんだがそれだと使用人としてどうなんだって思うだろうがリックが使用人として誘われた理由はリックの強さにある。
リックは素手で肉食の凶暴な動物を倒すほどの強さを持っていてその強さを見込まれてリカード家の使用人として働いている。
「ケイネス様と同じ十歳でケイネス様以上の者がいないと言う話だ」
「おう、確かに若は十歳にしちゃ強いぜ」
「うーん、そう言われてもなぁ」
皆俺が強いと言うけど、正直よくわからないな。
実際に同い年の子と戦った事がないんだから自分が強いのかどうか確かめる術もないしな。
そんなんで俺は今日も訓練と勉強を行う。
「ケイネス、お前この大会に出ろ」
その日の夕食を終えた後、親父の部屋に呼ばれた俺は親父から大会に出ろと言われる。
「大会?」
「ああ、この大会だ」
そう言って親父は用紙を一枚出すのだった。
読んでいただきありがとうございます。
過去の話が長くなりそうだったので過去の話はタイトルに過去話と加える事にしました。
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