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テンプレマスターのテンプレ異世界転生  作者: スカーレットちゃん
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スカーレットちゃん、荒ぶる!

「そうだ、旅に行こう!」


「えっ?」


「えっ?」


「えっ?」


「えっ?」


 前世では魔王軍と転戦しながらの各地を巡る旅の日々でしたから、私、結構旅好きなのです。


 あっ、申し遅れました。8歳になりましたタベタインジャーレッド、スカーレットです。


 セーラとの基礎修行も一段落して内気功は充分なレベルになったとお墨付きをいただきました。


 それに伴い髪を短くするのを止めたら、髪の毛は結構伸びてきました。内気功を練ると毛根まで活性化するみたいで、伸びるのが凄く早いのです。


「だって、8年ほど前はお父様と二人旅の日々で楽しかったし」


「うむ、大変だったがやり甲斐もあって楽しかったな!」


「私は捕らわれたりしてましたけど」


 まあ、お母様は箱入り王女で旅とか全然してませんもんね。


 捕らわれたとか言ってますけど、魔王に言い寄られたのをあしらいながら、指一本触れさせず、散々貢がせて王宮より良い生活をしていたので、同情は無用です。


「学園に入ったら、もう気軽に諸国漫遊できないでしょ? 何なら王族としての外遊ツアーでもいいけど」


「あら、外遊ツアーなら私も行こうかしら」


「僕も行く!」


 ガウェイン君も5歳になって腕白です。


「では、俺も!」


「いや、お父様はダメでしょ。国防のお仕事あるし」


「そ、そんな! なんなら、仕事なんて辞めてもいいんだぞ!」


「何を言っているの、あなた。陛下に申し訳ないでしょう?」


「そうだよ」


 こちらの世界は実に平和で安全なので、旅に勇者は必要ないのです。 それは家族全員揃っていた方が楽しいですけど。


「セーラは一緒に行ってくれるよね?」


「勿論でございます、お嬢様」


 セーラはキリッとした表情で眼鏡クイッです。眼鏡がキラリと光ります。なんで光るんでしょうか。


「旅でしたら東方に足を延ばせば私が良い所に案内しますよ」


「あらあら、それは素敵ね。東インディアナ会社CEOとして視察に行かなくては」


「紅茶とスパイスの産地がありますし、途中の国の絨毯や絹織物、刺繍なども素晴らしいものがあります」


「いいわね。エスニックな衣装のスカーレットも楽しめるわね!」


「な、なに! 俺も行きたい!」


「お父様はこの国の最高戦力なんだから、そのお父様が他国に向かったら、国家間が緊張状態になっちゃうよ」


「そ、そんな! そんなこと言ったら、セーラだって!」


 確かにセーラがテロリストになったら簡単に国家転覆させそうです。


「セーラはバレてないから大丈夫なの!」


「ぐぬぬっ」


「あらあら、うふふっ」


「しかし、お嬢様だけならば良いのですが、奥様やガウェイン様もご一緒ですと、私とカトレアだけでは護衛に不安があります。

 私としては旦那様にもご一緒していただいた方が安心なのですが」


「だろっ!?」


 お父様は行きたそうです。


 確かにカトレアもまだ子供ですから護衛には不十分かもしれません。


「私とセーラだけで行く?」


「ダメ」


「ダメだ」


「お姉ちゃん、だめー!」


 あらあら、皆さん反対ですか。


 前世のお父様と二人旅の時は、私は魔法で飛んでお父様はトレーニングがてら走って移動していました。馬車より早いですしね。


 お父様は飛行魔法なんて器用なものは使えませんし、走るのは良いトレーニングなんですよ。


 勇者パワーで踏み込むと、地面が陥没したり飛び上がってしまったりするので、無駄なく素早い移動をするための訓練は欠かせませんでした。


 私は地上でも飛行魔法か転移魔法で移動するので訓練なんてしませんでしたけど。


 今の私は飛行魔法も転移魔法も使えませんけど、身体強化は使えるのでお父様と同じ訓練は有効なはずです。


「勇者みたいに修行がてらダッシュ移動しようと思うんだけど」


「それはいいですね。内気功と軽功、体重移動、体捌きの訓練が移動しながらできますね!」


「俺はそれでもいいぞ!」


 私よりお父様の方が速いでしょうね。それなら素早い旅ができます。


「では、私、セーラ、お父様で」


「えー!? お姉ちゃん、僕はー?」


 ガウェイン君がほっぺたプックリです。


「では私とガウェインは汽車で移動しましょう」


 なんですと! 汽車ですと!?


「汽車! 私も乗ってみたい!」


 そういえばこの世界には蒸気機関車というのがあるのです。馬車の何倍も早いそうなのです。


 アヴァロン王国は島国なので、まず海峡を挟んで向かいのゲイルマン帝国に渡るのですが、そこから隣国まで鉄道が敷かれているのです。


「鉄道では東方までは行けませんね」


「そうねぇ、ローマン神聖帝国までね。そこから船に乗り換えて東方へ行くのもいいけれど」


「では神聖帝国で二手に別れ、私とお嬢様でシルキーロードを進み、奥様は船でインディアナへ。旦那様はその護衛。インディアナの首都ディリーで落ち合うのはいかがですか?」


 船旅も楽しそうですが、シルクの交易ルートであるシルキーロードを辿るのも楽しそうです。


「そうしよう! 私達は行きはシルキーロードをダッシュ移動して、帰りは一緒に船で帰りましょう!」


 いいですよ、これ。一つぶで二度美味しい感じ!


「 シルキーロードを二人旅するのか? 心配だ」


「私がこの国に来たのはシルキーロードを通ってですから勝手を知っておりますし、お嬢様一人なら護衛も私だけで大丈夫です。

 逆に他に帯同者が増えると移動も遅くなりますし、護衛対象が増えることで危険が増します」


「俺なら大丈夫だ!」


「そもそもお父様は行けないんじゃない?もし行けるならお母様の護衛をしてほしいな。

 ガウェイン君もいるけど二人で旅するのなんて新婚旅行以来でしょ?」


「えっ、そ、そうだな。リズと船旅かぁ。いいなぁ! 兄上に掛け合ってくる!」


 やる気スイッチが全開になったお父様は慌てて部屋を飛び出しました。


「あらあら、うふふっ」


 お母様も嬉しそうです。


 私も嬉しいです! なんといっても家族旅行初めてですもん!


 領地がある貴族は領地と王都を国内旅行ですけど、うちは領地なしですからね。


「ではお嬢様、我々は基本的にダッシュ移動ということでよろしいのですね?」


「うん! あ、でも」


 はっ!私ったら、自分のしたいことばっかり主張してました。もうお姉さんなのに!


 セーラの気持ちを考えずに振り回してしまった罪悪感にウルウルしてしまいます。


「セーラは嫌じゃない?」


 断られたら泣いちゃいます。私が悪いんですけど。ウルウル上目遣いで尋ねます。


 いや、上目遣いというか、単純に身長差で上目遣いになってしまうんです。


 違いますー! あざといんじゃないんですー! プンプン!


「はうっ! 勿論嫌ではありませんよ! 二人でシルキーロード旅なんてむしろご褒美です!」


 セーラは頬を少し赤らめながら微笑んでくれました。


「セーラ大好き! ギュッとして!」


 はっ! 久々に心の声が漏れました。


 ガウェイン君が生まれてから、お母様にはずっとガウェイン君が引っ付いていますので、長らく甘えられてなかったもので。


 お父様は抱っこしてくれますけど、すぐ頬摺りしてくるので、お髭が痛いのです。


 前世では使命のために親離れが早かったので、母親の愛情に飢えていたのでしょうか。


 ママン、抱っこ!


 と言いたいところでも、ガウェイン君も大好きなので、ママンを奪うわけにはまいりません。


 でも私には優しくて頼りになるセーラママンがいるのです!


 年齢的にはお姉様ですけど。


「スカーレット様!」


 セーラったら思いの外情熱的な抱擁です。いいですよ!


 はぅー、いい匂いー


 ママンとはまた違う柔らかくてしなやかな体!


 安心感すごい! お母様とお父様のいいとこ取りですね!


 セーラ、セーラお姉ちゃん、大好き!


「お、お姉ちゃん! はわわわ、私もスカーレット様が大大大好きです!」


 いやん、また心の声が漏れていたようです。


 さらに抱擁が熱烈になり、抱え上げられてクルクル回ります。


 お父様方式ですね。


 そ、そんなので喜ぶほど、スカーレットは子供じゃないんだからね!


「わーい、セーラお姉ちゃん! 大好き!」


 チュッ


 はっ、久々に私の中の幼女が荒ぶっています。抱きついてほっぺにチューしちゃいました!


 いやん、はしたない!


 あ、セーラが真っ赤です。目がウルウルしています。エルゼちゃんを思い出しますね。


「セーラお姉ちゃんはキスしてくれないの?」


「はううっ! し、しますとも! させていただきますとも!」


「ぐぬぬっ」


「ぐぬぬっ」


 何故かお母様とガウェイン君がぐぬぬってますけど、セーラがほっぺに軽くキスしてくれました!


 嬉しい! 大好き!


 やっぱりお子さまにはスキンシップが大事なんですね。


 はー、セーラ可愛い、綺麗、優しい、強い、気持ちいい、いい匂い、セーラさいきょう!


 わたちの、さいきょうのおねえさま!


 たまりません! クンクン


 そして、忘れてませんよ!


 何気に初めて名前呼んでもらったんです!


「セーラお姉ちゃん、スカーレットって呼んでくれてありがとう!」


 嬉しすぎるのでチューです!


 ええ、私がしたいだけですよ?


 一度荒ぶり始めた我がソウルは何者にも止められないのです!


 退かぬ! 媚びる! 省みる!


 セーラが甘えさせれくれるなんて珍しいことを退くなんてもったいない!


 媚びるときは媚びるのです。大人の大きな愛が欲しいのです、子供なんですもん。


 ああ、そうですよ。


 どうせ明日になったら、省みて恥ずか死ぬのです。


 いいのです。


 私は刹那に生きる女。今をただ楽しむのみです。


 あっ、これちょっとカッコいいかも。今度お茶会で使おう。


 じゃなかった!


 目覚めた子供に自制は効かぬ!


 さあ、刮目せよ!


 スカーレット・バイロン全力の甘えん坊を!


「スカーレットね、セーラお姉ちゃん、大好き! レッタって呼んで?」


 ふふふっ、どうです?


 すっかり伸びてきてユルフワカールの金髪も愛らしいスカーレットちゃんの小首傾げは!


「はうっ!」


「はうっ!」


「はううっ!」


 何故か弟にまで効いてしまったようです。魅了スキルでもついたのでしょうか、なんちゃって。てへへ


「レ、レ、レッタちゃん!」


 レレレッタちゃんって、何それ、やだ、ちょっと面白い。


 嫌いじゃないかも!


「ずるい、私も! レレレッタちゃん!」


 あれ? レレレッタちゃんになっちゃった。


 お母様わざとですね?


「ずるい、僕も! レッタお姉ちゃん!」


 あんっ! 弟くんたら、可愛いいっ!


 こんな可愛いからお母様を取られても我慢しちゃうんですよ。まあ、仕方ないです、レッタお姉ちゃんなので。


「レッタお嬢様」


 ぎゃふん!


 カトレアあなた居たんですか!


 ライバルでもあるカトレアにお子さまパワー全開レレレッタちゃんを見られるとは!


 は、恥ずかしい!


 恥ずかしいのでセーラの首筋に顔をうずめて隠れます。


 ああん、いい匂い!


 そうですよ、引っ付きたいんです!


 レレレッタちゃんは母性愛に飢えているのです!


 ママン欠乏症なのです!


 セーラの抱擁パワーはお父様を抜いて、世界一、二を争いますが、争う相手はママンなのです!


 ママンの柔らかさは恐ろしいのです。あっと言う間にリラックスしてホンワカしてしまうのです。


 あー、たまにはママンに抱っこで子守唄歌ってほしいなぁ。


 お姉ちゃんなので我慢しますけどね!


「はううっ! 健気っ! レッタお嬢様!」


 セーラが胸を押さえています。巨体戦艦がはみ出まくってますが。


 あらあら、うふふっ。また心の声が漏れていたようです。


 レレレッタちゃんモードは全く自制しませんね。我ながら恐ろしいです。


「ご、ごめんなさい、レレレッタちゃん! これから毎日抱っこして子守唄を歌うわ!」


「嬉しい! でも、お母様。本当にたまにでいいのです。まだ小さいガウェイン君に付いていてあげてください」


「レレレッタちゃん!」


「レ、レ、レッタお姉ちゃん!」


 お母様はレレレッタちゃんが余程気に入ったようです。


 はっ、嫌な予感がしますよ!


 次号の会報は『レレレッタちゃん甘える』になりそうです。


 二年前の男装のときは『男装麗人スカーレットちゃん!〜これはこれで良いものだ!〜』が配布されました。


 当然表紙は男装の私が気取ってウインクしている写真です。


 その後、はっちゃけた秘密結社によって、『ヅカジェンヌ劇団』が発足され、女性だけで演じられる劇がブームになっています。


 ええ、もちろん両世界で。異世界を股にかける秘密結社なので。


 ああ、怖いっ!


 ちょっと冷静になってきました。


 ふぅ、荒ぶった。


「レレレッタちゃん、いらっしゃい!」


 ああん、柔らかい! 温かい! セーラとはまた違う甘くていい匂い!


 ああ、だめっ! 背中ポンポンなんて! はしたないわ!


 あうんっ! だ、だめなの!


 そんな優しく髪を撫でたりしちゃ!


 いやぁぁん! お母様の、お母様の甘く優しい歌声がぁー!


 もう、らめぇー!


 ママン、大好きー!


 ぐぅ


 




 




 



短編書きました。

コメディではありませんけど、よかったら読んでみてください。

https://ncode.syosetu.com/n0432eu/

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