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テンプレマスターのテンプレ異世界転生  作者: スカーレットちゃん
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022

 どうも、午後三時の貴公子、スカーレットです。


 今日は久しぶりにお子様お茶会です。


 貴公子スタイルのお披露目ですね。


 髪は入園までに伸ばすようにお母様から言われてしまいました。淑女教育があるので、貴公子スタイルはよろしくないそうです。


 仕方ないですね。今の内に堪能しておくことにします。


 そうこうしていると、グルメ戦隊が続々と集合してきました。


「ス、スカーレットお姉さま! 御髪が! お召し物が! な、なんと素敵な!」


 あ、リアってば、本当にお姉さま呼びするつもりなのでしょうか。冷静になると同い年なので恥ずかしいです。


「まあ! スカーレット様、男装も凛々しくて素敵ですわ!

 まあ! あれはコーラル・フラワーですね? そして、このテーブルの花に紛れさせているのは、ソリダスター! 永遠の少年ですわね!」


 シャーリーは相変わらず花に詳しいです。実は植物博士でも目指しているんですかね?私なんかコーラル・フラワーとか初めて見ましたけど。


「お久しぶりです、スカーレット様。今日のおやつは何ですか?」


 おお、すっかり食いしん坊キャラですね、クローディー。三段落ちみたいになってますよ。


「今日はマカロンケーキだよ」


 今日は口調も貴公子スタイルで行きますよ!


「ほほう、マカロンケーキとな? あの軽くて甘いマカロンをケーキにするとは、なかなか興味深いですね」


 貴公子スタイルはスルーするくせに、スウィーツには食い付きますね、可愛いヤツめ!


「おーほほほっ! 私を忘れるのではありませんわ!」


 まさかのエルゼが登場しました。ゲイルマン帝国はお隣ですけど、あなた皇女のくせに気軽に来国しすぎなのでは?


 どうやってお茶会を知ったのでしょうか。


「まさか! 私がエルゼを忘れる訳がないだろう? ご訪問を心より嬉しく思うよ」


 そっとエルゼの髪に触れ、そこから耳、頬、顎へと優しく撫でるように触れていきます。


 すると悪役令嬢改めチョロイン担当エルゼ嬢は真っ赤になって目をウルウルしています。


「はわわわ!」


 リアも真っ赤になって見守っています。


 シャーリーは楽しそうにニコニコしています。


 クローディーは、もちろんマカロンケーキを載せたワゴンを凝視していますよ。


 エルゼの顎を少しだけクィっと上げさせました。


 するとエルゼは驚いたように少し目を見開きましたが、そっと目を閉じました。ちょっと震えています。


 ヤバい! キュンキュンきましたよ!


 私、百合属性だったのでしょうか。


 エルゼが可愛すぎて悶えそうです。思わず本当にキスしそうになりました。


 危ない危ない。ファーストキスが帝国皇女になるところでした。


 顎に添えていた親指を、エルゼの震える唇にそっと這わせました。


「可愛いエルゼ、あまり私を惑わせないでおくれ」


 まあ、惑わせてるのは私なんですけど!


 くふっと小さな笑い声が漏れました。おお、シャーリーじゃないですか。安心しましたよ。黒い人ではなかったのですね。


 クローディーもちょっとこっち見てくださいよ。あなたもこういうの大好きでしょ?


 しかしクローディーの目は、今まさに配膳されようとしているマカロンケーキに釘付けです。


 リア? リアは可愛くはわわしてますよ。


 やっぱりクローディーも食い付いて欲しいので、先にお茶とスィーツを頂きましょう。


「さあ、席について。美味しいお茶と菓子を頂こう」


 皆さんはもう席についていたので、エルゼを私の隣の席にエスコートします。


 今日は円卓にしていますが、反対の隣はリア、向かいにシャーリーとクローディーが座っています。


 恐らくシャーリーとクローディーは、リアとエルゼがあたふたするのを観賞しやすい位置を穫ったのでしょう。


 まあ、普通に王族でホステスの私、皇女、宰相の令嬢を上座にしただけかもしれませんが。


「今日の紅茶はダージリンのセカンドフラッシュ。お茶菓子はベリーのマカロンケーキだよ」


 セーラがサーブしてくれたダージリンの良い香りが鼻をくすぐります。


 マカロンケーキは所謂いわゆるマカロンのサイズではなく、小さめのハンバーガーのようです。


 本当は私の作ったゼリーとかプリンなんかも皆さんに食べてもらいたいんですが、お母様のせいでガウェイン君以外に食べさせるのに軽いトラウマがあるのです。


 私の手作りスウィーツを出して、クローディーにしょんぼりされた日には、もう二度とお菓子作りはできません。


 シャーリーとエルゼは喜んでくれると思うんですけど、甘党戦士イエローはスウィーツが絡むと何か怖いし。


 もっと仲良くなったら、皆でお菓子作りしてみたいなー


「ああ、今日のお紅茶も良い香りですね!」


 今日もシャーリーは、愛らしい癒し系です。


「そうでしょう? 東方のインディアナという国のダージリン地方の茶葉なんだよ」


「まあ! そんな貴重な茶葉ですの!?」


 インディアナというのはかなり遠くの国で、近年交流が持たれ始めた国です。スパイスや茶葉などを輸入しているのですが、その輸入の大半を占めているのが東インディアナ会社で莫大な利益を上げています。


 最近知ったのですが、恐ろしいことにCEOママン、CFOセーラなのです。


 お母様のお取り寄せ熱が作り上げた会社なのです。


 どうせ何でもできちゃうセーラに丸投げしているのでしょうけど。


 そんな訳で、外国の貴重な茶葉も我が家では日常的に使われます。


 そんな珍しい紅茶もそっちのけで、さっそくマカロンケーキに手を出しているのは、やはり甘党戦士イエローです。


「トレヴィアーン!

 サクサクとした心地良い歯触りの表層、そしてモッチリとしたマカロン生地、さらにマカロンで挟まれたピアニッシモな生クリームと色とりどりのベリーが織り成す色彩は、目にも楽しく食感も幾層にもなり複雑、それぞれの甘味、酸味、香り、食感が絡み合い折り重なって、絶妙なハーモニーを奏でている!

 最高の逸品です!」


 いやぁ、今日はまた一文が異様に長いですね。それだけ美味しかったのでしょう。


 しかしクローディーはスウィーツを食べると毎回謎言語が飛び出しますね。普通の駄菓子とか食べたらどうなるんでしょうか。気になります。


「うわっ、こんなマカロン初めて! 美味しいっ!」


 おおっ、リアが子供らしい反応を見せています。いつもお行儀良く礼儀正しいリアがたまに見せる子供らしさは可愛いです。


「本当っ! 美味しいねっ!」


 シャーリーもニッコニコです。


 エルゼも喜んでくれているかな?


 あ、エルゼはナイフとフォークにこだわり過ぎて、マカロンがボロボロに砕けてしまって食べにくそうです。


「エルゼ、これはマカロンケーキだけど、マカロンなんだから、手で食べてもいいんだよ」


 あ、普通に喋っちゃいました。男役楽しいけどずっとは難しいですね。


「そうなんですの?」


 エルゼはキョロキョロと皆の食べ方を見ています。


 最初は皆さんナイフで切って、フォークで食べていましたが、私が手で掴んだのを見て、それを真似て食べています。


「ハンバーガーみたいにかぶりついた方が美味しいよ?」


 私は一口かぶりついて見せます。


 エルゼも納得したようですが、彼女のマカロンケーキはもう砕けていました。


「はい、アーン」


 私は自分のマカロンケーキの口を付けていない側を差し出しました。


「いや、あの、アーンって! はしたないですわ!」


「えっ、嫌だった?」


 私の食べさしは嫌だったみたいです。食べていない側にしたんですけど。しょんぼりです。


「あーあ、エルゼ様、スカーレット様がしょんぼりしちゃいましたよ」


 シャーリーが茶々を入れてきました。からかうように言うことで、エルゼが食べやすい雰囲気を作りました。シャーリーさすがですね。


「えっ、嫌じゃないです! 頂きますわ!」


「そう? じゃあ、アーン」


「あ、アーン、ぱくっ」


 エルゼがちっちゃなお口でかぶりつきました。雛鳥に餌をあげているみたいです。


「んー! 美味しいですわ!」


「あらら、エルゼ、クリームが付いちゃってるよ」


「えっ、どこですの?」


 慌てるエルゼの唇の脇に付いたクリームを、指で拭ってとってあげます。勿体ないので食べちゃいますよ。ぺろり。


「あっ! そんな!」


 エルゼはみるみるうちに全身真っ赤になってしまいました。


 見ているリアも真っ赤です。リアもとってあげましょうか?


「くすくすっ、スカーレット様、ベタですね!」


 ベタ! 誉め言葉ですよ、テンプレマスターですからね!


 シャーリーもクローディーもクスクス笑いながら見ていました。


 大分仲良くなったので、笑うのを我慢するのは止めたようです。気を許してくれたようで、とても嬉しくなっちゃいます。


 仲良くなかったら皇女様や大公令嬢に不敬罪に問われかねませんから、貴族の世界は怖いんです。


「んー? シャーリーもクローディーもとってあげましょうか?」


「えー? もうっ、スカーレット様ったらー!」


「ふふふっ、私はクリームをこぼすようなヘマはしません」


 クローディーはスウィーツが絡むとキャラが変です。


 まあとってあげようにも向かいなので手は届きませんね。


「じゃあ、リア」


 お行儀の良いリアはクリームなんて付けていませんけど、彼女の唇をそっと指で拭います。


 唇プニプニで気持ちいいです。


「ふええ!?」


 真っ赤になるリアは、やっぱりいヤツです!


「ところで、エルゼ。あなたどうしてここにいるの?」


「な、なんですの!? 来ちゃダメなんですの!? お友達っておっしゃったのに!」


 エルゼは愕然としてウルウルプルプル震えています。


「ち、違うよ! 国に帰ってたでしょう? 来るとは思わなかったから、招待状送ってないのによく知ってたなと思っただけ」


「そうなんですの? じゃあ、来ても良かったのですか?」


「もちろんだよ! エルゼもいた方が楽しいもん」


「そうですわ、エルゼ様。エルゼ様がいないと淋しいです」


「そうですよ。スカーレット様は招待することが迷惑になると遠慮なさっただけですよ」


 すかさずシャーリーとリアが追従します。ナイスフォロー!


 クローディーはそんなにお皿ばっかり見ても、もうマカロンケーキはありませんよ。


「まぁ! ありがとうございます、皆様。私来て良かったですわ! 前回のお茶会がとても楽しかったもので、帰国してからなんだか淋しくて。

 だから10歳になったら、皆さんと同じキャメロット学園に留学させていただけるよう、お願いしたのですよ!」


「ああ、国王陛下がおっしゃってたよ。楽しみだね」


「それは毎日楽しそうです!」


「子供の頃から他国に留学とは、さすが皇女殿下。素晴らしい向上心です」


 リア、それはちょっと違うと思うの。たんに淋しんぼなだけですよ?


「んー、毎日お茶会楽しそう」


 やっと会話に入ってきたと思ったら、お茶会って。毎日スウィーツ食べてたら太っちゃいますよ。


「モルドレッド様もいらっしゃいますし、楽しみですわ!」


 ああ、モルドレッド君ね。そう言えば婚約者はエルゼになったみたいですね。


「『スカーレット嬢を愛でる会』の会合にも出席できますしね!」


「そうですね!」


「ああ、そうですね!」


「まだ出たこと無い」


「ちょっと待て!」


 こら、グルメ戦隊! なぜその秘密結社の存在を知っている!


「なにその怪しい会は?」


「えっ?」


「えっ?」


「えっ?」


「えっ?」


「ちょっと!」


「ええ? アヴァロン王国国王陛下も入会している由緒正しい会ですわよ? 王族で入会していないのは幼少の王子殿下達だけということですし」


 くっ、何か違うけど、間違ってはいない!


「ぐぬぬっ」


「私、会員番号000000008番なのです。皆さんが順番を譲ってくださったので」


「私、アゼリアが会員番号000000009で、シャーリーが会員番号000000010、クローディーが会員番号000000011です」


「な、な、な、なんですとー!」


 ちょっと待て! どうしてこうなった!


「なんでその秘密結社を知っているの。そしていつの間に入会したの!?」


「べつに『秘密』ではありませんわよ? 結社という意味では東インディアナ会社も影響下にあるということですから、正しいかもしれませんけど」


「エリザベス会長が、前回のお茶会でお母様達にお話なさったのです。残念ながら、まだお母様は入会しておられませんけど」


 エルゼの言葉をリアが補足します。


 ママンか! 元王女で箱入り娘のはずなのに、行動力が高過ぎませんか!?


「なんでも、異世界を股にかけた多世界結社だそうですわ。魔法世界にも姉妹会というか、同様の会があるとか」


 あるけど! そんなことまで公表しなくても!


 くっ、ぷにぷにママンめ!


 お母様の掌で踊らされている気がして仕方ありません。


 本当に『スカーレット嬢を愛でる会』なんでしょうね!?


 『スカーレットちゃんをいじる会』じゃないでしょうね!?

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