ゼロという男
人に歴史あり。
「オラァ!!機神破砕拳究極奥義・天上天下唯我独尊波ァァァァ!!」
俺より高ぇところにいる奴なんぞ皆殺しだぁぁぁぁ!!魔王の野郎がいるという塔に到着した俺は塔ごと中の魔物を粉々に打ち砕いた。その塔は恐るべき高さを誇っていたが、機神を一撃で粉砕するためにあみだされた我が拳の前には無意味!!これで俺がこの世界の王だああああ!!グヘヘヘヘ、ゲヘ、ゲハハハハ!!
「おい、お前ら、塔の瓦礫を使って俺のための城を作れぇ」
俺は道中またぞろ付いてきたヒャッハー共を手下にし、ゼロ軍を作り上げていた。
「ははぁ!ゼロ皇帝陛下のために急ぎ城を作れぇぇぇ!」
モヒカンに角まで生やした大男が吼えたける。ヒゲの奴が砂漠の国を作っていたが、俺は俺で俺による俺のための俺だけの国を作ることにした。
俺はゼロ。何も持たずに生まれてきた男。俺が生まれると母は死に、父はその前に死んでいた。俺を拾い機神破砕拳を伝授した師匠も道半ばにして大戦末期の戦闘でその命を失い、共に拳を磨いた兄達とも生き別れた。いつも着いてくるのは大戦の折に環境適応した新人類とは名ばかりのヒャッハー共ばかり。殺して奪って騒ぐだけの愚か者達だ。俺の持つ暴力はこいつらを喜ばせることができるが、それに何の意味があるのだろうか。どうせこいつらは俺の暴力が生み出す食料と水、弱者の支配くらいしか幸せを理解しない。俺は俺のためだけに拳を振るっても意味を見出せ無い。名が示すとおりのゼロだ・・・・・・。
「虚しいぜ・・・・・・」
「は!ならばそこら辺に火を放ちましょう!!汚物を消毒しながら炎を眺めればそのお心にも安らぎがきっと!!」
気を利かしたモヒカンがそこら中を焼却し始めるが、正直どうでもいい。小娘とモヒー、あいつらは俺の暴力以外にもついてきてくれるのだと思っていたが、昼寝していたら俺以外のものに行ってしまった。全くもって虚しいぜ。
「よし、貴様ら、今日から俺は武神大光帝・ゼロと名乗る。俺をあがめろ!奉れ!そして死ね!!」
時分でもよくわからないテンションで言葉が出てきたが、誰もつっこまねえ。
「うおおおおお!!ゼロ様万歳!!」
「武神大光帝様あああああ!!うひゃっほおおおおおう!!」
「ヒャッハー!!!俺達のボスは神だああああ!!」
・・・・・・この有様だ。誰か突っ込めよ!!クソが、むしゃくしゃしてきやがった。適当にぶっ殺して寝てやろうか!?
俺がこのイカれた感性の集団の脳みその悪さに色々悩んでいると横にいたセージがぼそぼそと耳打ちしてきた。
「さすがに・・・・・・そのネーミングはいかがと思うのですが・・・・・・」
俺はセージの台詞に目を見開いた。
「貴様・・・・・・」
俺が何かを言う前にあふれ出た闘気に触れたセージは空間転移魔法で逃げやがった。
馬鹿な・・・・・・突っ込み役が現れた瞬間から消えるだと!?俺は・・・・・・何も手にできない。無の存在なのか。
ヒャッハー共の笑い声が響く中、俺は生きる意義の迷路に立たされていた。ヘルメットが隠す顔は悪鬼の形相となっていることだろう。
「畜生!人類を皆殺しにしてやる!!人などいらぬ!!」
俺は魔王以上の大魔王になろうと決心したのだった。
ゼロの日記
クソ、今日もだめだった。何かを壊したり殺すことしかできない。何で俺は壊すことしかうまくできないのだろうか。面白く生きたいだけなのに、俺が何をしても面白くならない。
日付は10年前の12月になっている。
※ちょこっとキャラ紹介
ゼロさん・・・・・・暴力の裏には虚しさしかなかった男。馬鹿や外道に落ちたのは愛がなかったから。
対等に突っ込みできる仲間を求めてみても彼はこの世界にも異世界にもイレギュラーな存在だった。
小娘&モヒー・・・・・・ゼロが期待していた仲間・・・・・・のはずだったが、今はいない。どこの地下ダンジョンにいるのやら。
ヒャッハー達・・・・・・どうもゼロの世界にいたヒャッハー達と同じような存在。どこかでわらわら沸いている。見た目30代、実年齢20歳とかの暴走族。世界が違ってもゼロさんはこいつらに群がられる。
仕事が忙しくて書けない日が多いのが残念です。




