魔王死す
物語は折り返し地点へ
「依頼達成ということでいいかね?」
ゴルドレイクが少女に尋ねると、少女はやや難しい顔をして横にいたオーガもどき、改めモヒーに話を振る。
「結局ほかの人はどこにいったの?というかモヒー以外死んじゃったの?」
「それがいまいち思い出せねえんだよなあ?何かテンション上がってアギトと一緒になって地下掘ってたはずなんだけど、なんでモンスターが生まれてんだあ?サムライ野郎と根暗な奴と、あとなんかもう一人影の薄い奴がいたんだけどよぅ」
シルバリオはモヒーの記憶の混乱を地下に閉じ込められたショックによるものと思い、食料と水を勧める。こういう時こそ平常な時のように振舞うことで落ち着いていくものだと経験が知っていた。
「ヒャッハアアアアアア!!水と食料じゃねえかあああ!!ガツガツムシャムシャ」
「ははは、なんかすごいな、彼は」
正直少し引いていた。少女も苦笑いしている。なんにせよまだ捜索対象がいるのでは依頼は続行だ。落ち着いたら今後の方針について話あうべきだろう。そう思ったところで謎の振動が迷宮を襲った。
「危ない、精霊よ盾となれ!!みんなこのバリアの中に入るんだ!」
鍾乳石が落下し、驚いた小型の魔物まで飛び出てくる中でゴルドレイクが風の精霊のバリアを作り、その場にいた4人ともが無傷で助かった。振動はそれから10分ほど続いた後、バリアを解除してみれば、周辺にいた雑魚魔物は壊滅していた。
「奥に原因があるのは間違いなさそうだな」
「行くしかないか」
ゴルドレイクとシルバリオは未知の危険に向き合おうと必死だったが、横にいたモヒーは我関せず、先ほど渡した食料・・・・・・ハムを丸ごとかじっていた。
「なんだ、もう行くのかよ?それよりクソ女、ゼロ様がいねえけどどこにいるんだ?」
「モヒー、クソ女ってやめてくれないかしら。毎回聞いてて嫌な気分になるんだから。ゼロは貴方達が遊んでるから怒って先行っちゃったわよ!!」
「なんでそれを先にいわねえんだ!?ちっ!だからクソ女なんだよテメーは!!」
そんな二人のやり取りに緊張のゆるんだゴルドレイクは気を取り直すと、土の精霊を頼りに先ほどの振動の源へと移動を開始した。
「この迷宮、すさまじく浅いぞ」
「そうなのか?すごく大きそうな雰囲気なんだが」
シルバリオの疑問はもっともで、無限に広がる迷宮とか言われてもおかしく無い雰囲気が漂っているのだ。
「それがな、地下20mかそこらしかほれてないぞ。どうも浅く広く拡大して、下に掘るのは後回しのようだ」
「じゃあ、最深部にいくことは難しくないのね?」
「ああ、うまく行けば最短2日で到着する」
土の精霊頼りではあるがほぼ完璧なナビがついたことで、特に苦労もなく最深部にたどり着いた一行。
「ねえ、これどういうことかしら」
少女の声に返事はない。それもそうだろう。救助対象含め迷宮を作り出したと思しきクワガーターまでもが最深部で事切れていたのだから。
「おい、スイゲツ、おめえ何死んでんだよ!?」
モヒーが揺さぶるが、スイゲツと呼ばれた氷剣の使い手はもはやピクリとも動かなかった。
「クワガーターが・・・・・・伝説の魔物があっさりと殺されている?」
「そんなことができる奴がいるのか?」
「なあ、どうでもいいけどこいつ誰だ?」
そういってモヒーが取り上げた人物は黒衣を着て頭に角、背中に羽、どうみても魔剣の類を携えた青白い顔の男だった。
「おかしいわね?この汚らしいゴミみたいなのがケーンでしょ?そこで真っ二つになってるのがコウアン、そっちで倒れてたのがスイゲツで、アギトは見間違えないし?誰その人?」
少女もよくわかっていない。しかしゴルドレイクとシルバリオは頭の中が違う意味でパニックになってた。
『こいつ魔王だよな・・・・・・。どうみてもこの場の奴らと刺し違えてるじゃねえか』
二人の頭はこの一色に染まっていた。
魔王の残留思念の一言
無念・・・・・・攻撃は最大の防御と思い攻めてみたが、敵が強かった・・・・・・。
※ちょこっとキャラ紹介
ゼロさん・・・・・・ 今頃はセージと一緒に塔の近くまで移動している。今回も出番なし。
セージ・・・・・・ ちゃっかりゼロさんにくっついている。
小娘・・・・・・ なんとかモヒーをつれてかえれそう。ただし他は魔王と引き換えに全滅。
モヒー・・・・・・ 特に何も考えて無い。ハムが食えてラッキー。ゼロ様にあいたい。
ゴルドレイク&シルバリオ・・・・・・ 帰ったときに誰にどう報告していいのか、今から気が重い。世界平和と引き換えに何か大事なものを失いそう。
ゼロの5人衆の人達・・・・・・ 実はゼロの昼寝中、強力な魔力の接近を感知したアギトは魔王を迎え撃つため、シェルターとして巣を作成。昼寝中のゼロ以外を己の巣に防衛戦力として招き、戦闘するつもりだったが、魔王が思ったより強く、途中混乱したモヒーだけが戦線離脱。残るメンバーで泥沼の激闘を繰り広げ、辛くも相打ちにもって行った。なお、誤算だったのは魔王の能力。空間転移で直接巣の中枢にこられたため、準備はむなしく強制戦闘になった。
いろいろ片付いていきます。




