Sランクパーティー常駐
Sランクパーティーは、ダンジョンの中に作られた町へ住むことを決めた。
「ここに住むか」
「王妃様までダンジョン内に住んでいるんだ。安全性については問題ないだろう」
「それに、ここならダンジョンの外へ出る必要もない」
ダンジョン内には、冒険者たちが長期間活動できるように町が作られていた。
宿屋があり、食事を出す店があり、武器や防具を扱う店もある。
冒険者が必要とするものが、ダンジョンの中だけである程度揃う。
そして今では、その町に王妃まで住んでいる。
近衛騎士も常駐しているため、Sランクパーティーにとっても安心して暮らせる場所だった。
彼らはホテルに部屋を取り、そこを拠点にすることにした。
生活は極めて単純だった。
朝、ホテルを出る。
ダンジョンを進み、50階層へ向かう。
そしてボスを倒す。
町へ戻って食事をする。
昼になると、また50階層へ向かう。
ボスを倒して戻る。
夕方になると、もう一度50階層へ向かう。
ボスを倒してホテルへ戻る。
「今日も三回か」
「三回だな」
「明日も三回だ」
「そうなるな」
50階層のボスを一日三回倒す。
それがSランクパーティーの日課になっていた。
しかし、彼らが手に入れたものは自分たちだけで使うわけではない。
50階層まで進めば、それまでの階層で手に入れた装備の中には不要になるものも出てくる。
不要になった装備は町へ流れた。
そして、それを買うのはSランクではない冒険者たちだ。
「これ、Sランクパーティーが使っていた装備だってよ」
「本当か? それなら今の装備よりずっといい」
「買えるなら買っておけ」
Cランク冒険者たちにとっては、Sランク冒険者が不要と判断した装備でも十分に強力だった。
装備が強くなれば、今まで苦戦していた階層にも挑戦できる。
そこで経験を積み、さらに強くなる。
その結果、ダンジョン攻略は少しずつ前へ進み始めた。
以前は37階層で冒険者たちの進行が止まっていた。
それが今では、37階層を突破する者が増えている。
38階層。
40階層。
45階層。
そして、ついには50階層へ到達する冒険者まで現れた。
「37階層で停滞していたのが嘘みたいだな」
冒険者たちは着実に先へ進んでいた。
ただし、50階層にはまだ壁がある。
50階層のボスを突破できているのは、現在もSランクパーティーだけだった。
他の冒険者たちは50階層まで到達できても、その先へ進むことはできない。
それでも、以前とは大きな違いだった。
冒険者たちは確実に強くなっている。
そして、その中心にいるのがSランクパーティーだった。
一方、マスタールーム。
アレンは今日もモニターを眺めていた。
「順調だな」
冒険者たちの攻略状況を確認する。
37階層で止まっていた冒険者たちは先へ進み、ダンジョン内の町も大きくなっている。
すべて順調だった。
そしてアレンの視線が別のモニターへ移る。
「……今日も王妃様、綺麗だな」
そこに映っていたのは、ダンジョン内の屋敷で暮らす王妃だった。
アレンはしばらく眺めたあと、日本から取り寄せた服を確認する。
「これ、着てほしいな」
王妃に似合いそうな服を選ぶ。
「こっちもいいな」
また一着。
「これも……」
さらに一着。
アレンは選んだ服を王妃の屋敷へ送る。
冒険者たちが50階層を目指していることも、Sランクパーティーが一日三回ボスを倒していることも、ダンジョン内の町が発展していることも順調だった。
そして今日もアレンは、王妃が送った服を着てくれるかどうかを楽しみにしながら、モニターを眺め続けていた。




