Sランクパーティー60階層へ
Sランクパーティーは、再び50階層のボス部屋へ向かった。
「さて、二度目だな」
「昨日はかなり時間がかかったが、今日は動きも分かっている」
ボス部屋に入り、戦闘が始まる。
一度戦っているだけあって、動きは完全に把握できていた。
攻撃をかわす。
隙を狙う。
反撃する。
昨日は長期戦になった戦闘だったが、今日は違った。
「今だ!」
「そこ!」
次々と攻撃を叩き込む。
「もう終わりか」
一度目とは比べものにならないほど、戦闘はスムーズに進んだ。
そして、ボスが倒れる。
「二回目になると、かなり楽だな」
「これなら周回してもいいかもしれない」
50階層のボスからは、使える装備が手に入る。
一度倒して終わりではなく、装備更新を狙って何度も戦う。
そんな考えが、少しずつ現実味を帯びてきた。
「毎日ホテルに戻れるのも大きいな」
「そうだな」
攻略して、ボスを倒して、1階層へ戻る。
ホテルで風呂に入り、布団で眠る。
そして翌日、また50階層へ向かう。
「これなら、装備を更新しながら攻略できる」
「悪くない」
そう考えながら、一行は51階層へ進んだ。
そこから先は、明らかに空気が違った。
「……Aランクモンスターか」
「しかも、全部Aランクだ」
51階層に入ってから、出てくる魔物はすべてAランク。
これまでのように、強い敵と弱い敵が混ざっているわけではない。
一体一体が、明確な強敵だった。
「ここまで来られるパーティー、国内に一桁しかいないんじゃないか?」
「俺もそう思う」
Aランクモンスターが普通に徘徊する階層。
そこを進める冒険者など、そう多くはない。
Sランクパーティーでさえ、慎重にならざるを得なかった。
幸い、このダンジョンにはありがたい仕組みがあった。
「入り口のところ、敵が来ないな」
「出口の近くもだ」
このダンジョンでは、各階層の入り口付近と出口付近がセーフティーゾーンになっている。
魔物が入り込んでくる心配がない。
「これは助かるな」
「Aランク相手に、休んでいるところを襲われたらたまらない」
安全な場所で休み、装備を確認する。
体力を整えたら、再び進む。
無理に速度を上げることはしなかった。
「焦る必要はない」
「確実に進もう」
Aランクモンスターとの戦闘では、一つの判断ミスが大きな危険につながる。
だからこそ、慎重に。
確実に。
一体ずつ倒しながら先へ進んだ。
だが、思った以上に時間がかかった。
一日に進めるのは、せいぜい一階層。
「今日も一階層か」
「それだけ進めれば十分だ」
51階層。
52階層。
53階層。
一日一階層。
それでも確実に前へ進んでいく。
セーフティーゾーンで休み、装備を整え、また進む。
そんな攻略を繰り返して――。
59階層。
そして、その先。
「……見えた」
「60階層だ」
ついに、60階層へ続く階段を発見した。
一行はゆっくりと階段を降りていく。
そして――。
「到着したな」
「60階層か」
ここまで来るのに、かなりの時間がかかった。
50階層までは勢いで進めた。
だが、51階層からは違った。
Aランクモンスターだけが出現する階層を、一階層ずつ慎重に攻略してきた。
その先に、ついに60階層がある。
「……ここまで来たか」
全員が60階層を見渡す。
Sランクパーティーは、ついに60階層へ到達した。




