新しい装備
Sランクパーティーは1階層へ戻ると、すぐにギルドへ向かった。
「50階層を突破した」
「それと、50階層の先もあります」
ギルド職員は報告を聞くと、記録を確認していく。
「50階層の突破……そして、51階層以降も存在する、と」
「はい」
「分かりました。こちらでも記録しておきます」
これで報告は終わった。
だが、Sランクパーティーはそのまま帰るつもりはなかった。
「せっかくだ。ガチャを回していくか」
「41階層から49階層で集めた魔石もあるしな」
彼らはエレベーターで10階層へ移動した。
10階層に設置されたガチャ。
これまでなら、出てきた景品を売って金にするという選択肢もある。
だが――。
「俺たちが小銭を稼いでも仕方ないだろ」
「それより装備を充実させたい」
50階層まで攻略した。
そして、まだ先には51階層以降がある。
これからさらに強い魔物と戦うことになる。
ならば、金に換えるより自分たちの装備を強化したほうがいい。
「インゴットガチャにしよう」
「そうだな」
魔石を投入する。
ガチャが動き出し、次々と素材が排出されていく。
「結構出るな」
「鋼、ジュラルミン、ステンレス……」
「チタンもあるぞ」
種類だけならかなりの数が揃った。
しかし、実際に装備を一式作るとなると、量は微妙だった。
「思ったより少ないな」
「必要な分が足りないか?」
「足りない素材は買えばいいだろ」
「それもそうだな」
Sランクパーティーは素材をまとめると、そのまま鍛冶師のもとへ向かった。
「また来たか」
ドワーフの鍛冶師が、持ち込まれた素材を確認する。
「今回は装備を作ってほしい」
「どんな装備だ?」
「俺たちが使うものだ。今後さらに深い階層へ行くことになるから、できるだけ充実させたい」
ドワーフは素材を一つずつ手に取って確認していく。
「剣なら鋼がいい」
「鋼か」
「扱いやすいし、剣には向いている」
続いて別の素材を見る。
「盾と鎧ならジュラルミンだな」
「軽さも欲しいからか?」
「そうだ。大盾ならステンレスもいい」
「なるほど」
さらにチタンを手に取る。
「兜ならチタンが向いている」
「素材によって使い分けるんだな」
「当たり前だろ。何でも同じ素材で作ればいいってもんじゃない」
ドワーフは素材を確認しながら、ふと顔を上げた。
「そういえば、前に渡した素材はどうした?」
「前の素材?」
「あれだよ。お前たちが持ってきた、普通じゃ加工できないやつだ」
「ああ」
ドワーフは思い出したように言った。
「アダマンタイトだった」
「……アダマンタイト?」
Sランクパーティーの全員が顔を見合わせる。
「あれが?」
「そうだ。かなり珍しい素材だぞ」
以前、別のダンジョンで手に入れたものの、どこの鍛冶師に持っていっても加工できなかった素材。
それが、アダマンタイトだった。
「じゃあ、それも使ってくれ」
「何を作る?」
少し考えてから、リーダーが答える。
「とりあえず、大剣にしてくれ」
「大剣か。分かった」
ドワーフは頷いた。
「それなら、しっかりしたものを作ってやる」
Sランクパーティーは、持ち込んだ素材をすべて預けた。
足りない素材についても、必要なら購入することにした。
今回は金を稼ぐための依頼ではない。
ギルドから受け取った報酬は、破格と言っていいほどの金額だった。
ならば、その金を使ってでも装備を充実させる。
「これから先は、今までとは違うだろうからな」
「50階層でAランクボスだ。51階層から先も何が出るか分からない」
「だったら、できる準備はしておこう」
Sランクパーティーは鍛冶師に装備製作を依頼した。
50階層突破で終わりではない。
まだ、このダンジョンには先がある。
次の攻略に備えて、今できることを進めておくのだった。




