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ギルドに報告

Sランクパーティーは40階層の攻略を終え、ギルドへ戻ってきた。


「40階層まで攻略しました」


「40階層まで……本当に?」


ギルド職員は報告書を受け取りながら、何度も数字を確認した。


「はい。37階層のリッチを倒しました。その先の38階層、39階層を抜けて、40階層のボスも討伐しています」


「そして……その先にも階層が?」


「ありました。40階層で終わりではありません」


ギルド職員はしばらく黙り込んだ。


当初の依頼は、攻略が停滞している37階層を突破することだった。


その37階層を突破し、さらに40階層まで進んだ。


依頼として考えれば、もう十分すぎる成果だった。


「今回の依頼については、達成したものとして扱います」


「分かりました」


「ただ……もし可能なら、もう少し先まで進んでもらえませんか?」


Sランクパーティーは顔を見合わせた。


40階層の先には、まだ何があるのか分からない。


だが、ここまで来て引き返すのも惜しい。


「自分たち以外では、しばらく先に進めないでしょうからね」


リーダーがそう言うと、仲間たちも頷いた。


「分かりました。行けるところまで行ってみます」


こうしてSランクパーティーは、再びダンジョンへ向かうことになった。


---


ダンジョンに戻ったSランクパーティーは、攻略だけではなく、内部を見て回ることにした。


これまでは先へ進むことばかり考えていたため、改めて見ると気になるものが多い。


しばらく歩いていると、一人が足を止めた。


「……あれは何だ?」


そこには、大きな乗り物が停まっていた。


「馬車……か?」


「いや、馬がいないぞ」


「どうやって動くんだ?」


それは、このダンジョンにしか存在しないバスだった。


彼らはこれまで、こんな乗り物を見たことがない。


馬がいないのに動く、大きな乗り物。


「……まさか、あれが走るのか?」


近くにいた係員に尋ねる。


「はい。乗りますか?」


「乗れるのか?」


「もちろんです」


Sランクパーティーは顔を見合わせた。


「乗ってみようぜ」


バスに乗り込む。


扉が閉まり、バスがゆっくりと動き始めた。


「おお……!」


「本当に動いたぞ!」


「馬がいないのに……」


誰もが窓の外を眺める。


馬車なら、馬が引くのが当たり前だ。


だが、この乗り物には馬がいない。


それなのに、一定の速度で走っている。


「これは……すごいな」


「一体どういう仕組みなんだ?」


Sランクパーティーは驚きながら、しばらくバスの乗り心地を楽しんだ。


---


さらに進むと、今度は採掘場が見えてきた。


「ここでは何を採っているんだ?」


「鉄と銅だそうです」


そこでは冒険者たちがツルハシを使って鉱石を掘っていた。


「冒険者が採掘しているのか」


「モンスターと戦うだけじゃないんだな」


採掘場では鉄と銅が手に入る。


しかも敵に襲われる心配がないため、冒険者たちは安心して作業に集中できる。


「ダンジョンなのに、採掘場まであるのか……」


Sランクパーティーは感心しながら、その場を後にした。


---


さらに進むと、工房が並んでいる場所に出た。


「ここは?」


扉の向こうでは、何人もの職人が作業をしていた。


その中に、Sランクパーティーが見慣れない種族を見つける。


「……ドワーフ?」


「このダンジョン、ドワーフまでいるのか?」


驚きながら工房を覗き込む。


ドワーフたちは、素材を加工していた。


アルミニウム。


ステンレス。


ジュラルミン。


鋼。


チタン。


どれも、普通の鍛冶場では扱うことすら難しい素材だ。


「これ、どうやって手に入れたんだ?」


「素材ガチャですよ」


「ガチャ……?」


聞き慣れない言葉に首を傾げながらも、Sランクパーティーは工房の様子を見ていた。


すると、一人が思い出したように言った。


「そういえば、俺たちが別のダンジョンで手に入れた素材がある」


「例の加工できなかったやつか?」


「ああ。どこの鍛冶師に頼んでも無理だった」


その素材を取り出す。


「これなんだが……加工できるか?」


ドワーフは素材を手に取ると、じっくり確認した。


「できる」


「本当に?」


「時間はかかるかもしれんが、できるぞ」


Sランクパーティーは顔を見合わせた。


今まで誰にも加工できなかった素材を、このダンジョンのドワーフなら加工できる。


「……ここ、攻略以外にも使い道が多すぎないか?」


誰かがぽつりと言った。


---


さらに進むと、今度は商人が店を構えていた。


「商人までいるのか」


「ダンジョンの中で買い物ができるってことか」


店には冒険者向けの商品が並んでいる。


そして、ダンジョンで手に入れた品を買い取ってもらうこともできるらしい。


「そういえば……」


リーダーが腰に下げた袋を見る。


そこには、30階層から40階層まで攻略した際に手に入れた魔石が入っていた。


「俺たち、攻略中に手に入れた魔石を持ってるよな」


「ああ」


「10階層のガチャ、回してみようぜ」


「でも、ここは1階層だぞ?」


「エレベーターで10階層に行けばいいだろ」


そう言って、一行はエレベーターへ向かった。


---


エレベーターに乗り込み、10階層へ移動する。


扉が開く。


そこには10階層のガチャが設置されていた。


Sランクパーティーは、攻略中に手に入れた魔石を取り出した。


「これ、10階層のガチャに使えるんだよな?」


「11階層以降で手に入れた魔石も使えるって説明に書いてある」


「じゃあ問題ないな」


魔石を投入し、ガチャを回す。


出てきた景品を確認する。


「……これ、売れるのか?」


「商人に聞いてみよう」


再びエレベーターで移動し、商人のところへ戻る。


「これ全部、買い取ってくれ」


商人は景品を一つずつ確認していった。


そして提示した金額は――


「全部で55万円でどうでしょう」


「55万円!?」


Sランクパーティーが目を丸くする。


「これだけで?」


「はい。買い取れるものをまとめて、その金額です」


リーダーは景品を見る。


そして、40階層までの攻略で手に入れた装備品を思い出した。


「……ボス部屋の装備なら、もっと高く売れるんだよな?」


「おそらく」


「なるほどな」


Sランクパーティーは考える。


ガチャで手に入れた景品を売るだけでも、かなりの金になる。


しかも自分たちは、攻略中に手に入れた魔石を使っただけだ。


「これなら中級冒険者には、かなりいい金稼ぎになりそうだな」


「そうだな。攻略しながら魔石を集めて、ガチャを回して、景品を売る」


「中級冒険者なら十分狙える」


Sランクパーティーは頷いた。


攻略のために呼ばれたはずだった。


ところが、ダンジョンを見て回れば見るほど、攻略以外の魅力まで見つかっていく。


「……このダンジョン、思っていたより面白いな」


誰かがそう呟く。


Sランクパーティーは、まだ見ていない階層のことを考えながら、再び歩き始めた。

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