↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
83/336

SランクパーティーとBランクボス

40階層のボス部屋。


その扉の前で、Sランクパーティーは最後の打ち合わせをしていた。


「次はBランクボスのはずだな」


リーダーが扉を見ながら口を開く。


「そうだな。37階層のリッチがあれだけ強かったんだ。最低でも、あのクラスの強さはあると思っておいたほうがいい」


「……でも、俺たちはSランクだぞ」


盾役が苦笑する。


「Bランクのボスに遅れを取るはずはない」


「はずはない、な」


魔法使いが頷く。


Sランク。


それは、この世界でもごく一部しか到達できない冒険者の証だ。


Bランクの魔物やボスを相手にして苦戦するような立場ではない。


ましてや、このパーティーはSランクの中でも長くダンジョンを攻略してきた経験がある。


普通のBランクボスなら、問題なく倒せる。


――それでも。


「……このダンジョン、妙に不気味なんだよな」


誰も反論しなかった。


30階層のボス。


37階層のリッチ。


38階層、39階層の拍子抜けするほどのボス。


強いと思えば強く、弱いと思えば妙に弱い。


階層を進むほど、ダンジョンの基準が分からなくなっていく。


「まあ、撤退はできるんだ」


リーダーが言う。


「最初から全力で突っ込む必要はない。まずは攻撃を受けて、相手の強さを確認する」


「それで危険なら戻る」


「そうしよう」


全員が頷いた。


作戦は決まった。


慎重に。


だが、必要以上に怯えることはない。


Sランク冒険者としての実力を信じて、まずは相手を確かめる。


「行くぞ」


扉が開かれた。


その先にいたのは、巨大な魔物だった。


見るからにBランク相当。


威圧感もある。


だが、37階層のリッチと比べると――そこまで異質な存在には見えなかった。


「……特殊能力はなさそうだな」


「油断はするな」


「分かってる」


戦闘が始まった。


ボスが突進する。


盾役が正面から受け止めた。


「っ!」


衝撃で足がわずかに下がる。


しかし、それだけだった。


「問題ない!」


剣士が横から斬り込む。


魔法使いも詠唱を終え、魔法を放つ。


ボスが反撃する。


だが、攻撃は読める。


避ける。


受ける。


反撃する。


これまで幾度となく繰り返してきた、Sランクパーティーにとっての基本的な戦いだった。


「押し切れるぞ!」


少しずつボスの動きが鈍っていく。


「このまま行け!」


最後の一撃が決まった。


巨大なボスが崩れ落ちる。


――勝利。


「……終わったな」


「うん」


誰も傷らしい傷を負っていない。


あれだけ警戒していたのが嘘のように、安定した戦いだった。


「Bランクボス……か」


リーダーが倒れたボスを見下ろす。


「普通にBランクだな」


「そうだな」


「37階層のほうが明らかに厄介だった」


誰もが同じ感想だった。


このダンジョンは、本当に階層ごとの強さが読めない。


そんなことを考えていると、ボスが消えた場所に変化が起きた。


「宝箱だ」


部屋の中央に、一つの宝箱が現れていた。


「待て」


全員が止まる。


37階層まで進んできた経験から、宝箱だからといって無警戒に開ける気にはなれなかった。


「罠を確認する」


周囲を調べる。


宝箱そのものも、床も、壁も。


慎重に確認していく。


「……罠はなさそうだ」


「念のためもう一度」


さらに確認する。


それでも異常は見つからない。


ようやくリーダーが頷いた。


「開けてみよう」


蓋が開く。


中に入っていたのは、いくつかの装備品。


そして、その上に一枚のカードが置かれていた。


「カード?」


魔法使いが取り出す。


表面には、このダンジョンで使われている文字で説明が書かれていた。


「……これを持っている者は、エレベーターで40階層まで直通?」


「40階層まで?」


全員が顔を見合わせる。


「つまり、次に来るときは30階層からじゃなくて、40階層まで直接来られるってことか」


「そういうことみたいだな」


これは便利だ。


これまでなら、一度ダンジョンの外へ戻れば、再び30階層までエレベーターで移動し、そこから先へ進む必要がある。


だが、このカードがあれば40階層まで一気に来られる。


「……今日はここまでにしよう」


リーダーがカードをしまう。


「一度1階層まで戻る」


「ギルドに報告だな」


「ああ」


37階層でリッチを倒したこと。


38階層、39階層を突破したこと。


そして40階層のボスがBランクだったこと。


さらに、このカードの存在。


どれもギルドに伝える必要がある。


Sランクパーティーは宝箱の装備を確認すると、来た道を戻っていった。


40階層。


そこまで到達したことで、このダンジョンの攻略は新しい段階へ入ろうとしていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。