Sランクパーティー40階層へ
38階層。
Sランクパーティーは、ボス部屋の前で足を止めていた。
「ここから先の情報は?」
「ない」
「やっぱりか」
37階層までは、これまでに挑戦した冒険者からある程度の情報が集まっていた。
だが、38階層以降は誰も到達していない。
つまり、ここから先は完全な未知の領域だった。
リーダーは仲間を見回す。
「念のため、もう一度装備を確認するぞ」
剣を確認する。
盾を確認する。
防具の状態も確認する。
魔法使いは魔力の残量を確認し、回復薬などの消耗品も確認する。
「破損なし」
「こっちも問題ない」
「魔力も十分」
全員が入念に準備を整えた。
「37階層であれだけ苦戦したんだ。38階層を甘く見るのはやめよう」
ここまで来て、Sランクパーティーもこのダンジョンの異常さを理解し始めていた。
30階層。
31階層。
32階層。
33階層。
34階層。
35階層。
36階層。
37階層。
そして38階層。
この区間には、普通のダンジョンなら存在するはずの広大な探索エリアがない。
階層へ進めば、そこにボス部屋がある。
ボスを倒せば次の階層へ進める。
それだけだ。
「30階層からずっとボス部屋しかないって、普通のダンジョンじゃ考えられないな」
「本当に変なダンジョンだ」
リーダーは38階層の扉を見る。
「それでも、ここから先は未知だ」
37階層では、Sランクパーティーである自分たちですら苦戦した。
ならば38階層も油断できない。
「最初は守りから入る」
リーダーが作戦を伝える。
「敵の攻撃を見極める。余裕ができたら反撃する」
勝つためではなく、負けないための戦い方。
未知の敵を相手にするなら、それが一番安全だ。
「分かった」
「異論なし」
「行こう」
扉が開く。
Sランクパーティーがボス部屋へ入った。
そして、部屋の中央にいるモンスターを確認する。
「……あれか」
敵がこちらへ向かってくる。
「まずは守――」
その瞬間。
「来るぞ!」
敵の攻撃をタンクが正面から受け止めた。
「ぐっ!」
タンクが耐える。
「今だ!」
魔法使いが魔法を放つ。
直撃。
次の瞬間――。
モンスターの身体が崩れた。
そして、そのまま塵となって消えていった。
「…………」
全員が固まる。
「……倒した?」
「ああ」
リーダーが敵のいた場所を見る。
「一発で?」
「一発だな」
さっきまでの緊張感が嘘のようだった。
「……普通のCランクボス程度じゃないか」
37階層のリッチとの戦いを経験した直後だっただけに、余計に拍子抜けする。
慎重になりすぎた。
そう思えるほど、あっけない戦いだった。
「まあ、こういうこともあるか」
Sランクパーティーはそのまま攻略を進める。
38階層を突破。
続く39階層も突破。
そして、その日のうちに39階層まで攻略した。
「今日はここまでだな」
「40階層は?」
リーダーは先に続く道を見る。
「明日にしよう」
ここから先は、事前情報がない。
そして40階層。
聞いている話が正しければ――。
「Bランクボス、か」
Sランクパーティーは装備を整え、明日の40階層攻略に備えることにした。




