Sランクパーティー36階層へ
しばらく待っていると、Sランクパーティーの順番がやってきた。
「俺たちの番だな」
リーダーが立ち上がる。
30階層のボス部屋へ入る。
扉が閉まった。
その直後、巨大なモンスターがこちらへ向かってくる。
「……これが30階層のボスか」
Sランク冒険者たちは武器を構えた。
そして――。
戦闘は、あっという間に終わった。
「まあ、こんなものか」
Sランクパーティーが苦戦するような相手ではなかった。
これまで数え切れないほどの強敵と戦ってきた彼らにとって、30階層のボスは十分に対処できる相手だった。
しかし、部屋を出たリーダーは首を傾げていた。
「……本当にCランクダンジョンなのか?」
「俺もそう思う」
ボス自体は倒せる。
だが、ここまで来るまでに見てきたものを考えると、どうにも腑に落ちない。
Sランクパーティーは31階層へ向かった。
そこで、31階層のボス部屋の前にいた冒険者へ話を聞くことにした。
「少し聞きたいんだが、このダンジョンって本当にCランクなのか?」
「そうですよ」
「30階層のボスを倒せばCランク冒険者として認められるんだろ?」
「はい」
「それ、かなり厳しくないか?」
冒険者は苦笑した。
「厳しいですよ。Cランクパーティーが初めて30階層のボスに挑戦して、そのまま突破できるのは一割くらいだと言われています」
「一割?」
Sランクパーティーのメンバーが聞き返す。
「初見で一発突破できるのが一割です。何度か挑戦して攻略するパーティーもいますけど」
「……それでCランク認定なのか」
リーダーは30階層を振り返った。
自分たちにとっては苦戦する相手ではなかった。
だが、それはSランク冒険者だからだ。
Cランクパーティーの一割しか初見で突破できないようなボスを倒せば、Cランクとして認められる。
「基準がおかしくないか?」
「俺たちも最初はそう思いましたよ」
冒険者は笑った。
「でも、このダンジョンじゃ普通です」
「普通……」
さらに気になる話を聞いた。
「しかも、30階層のボスって、31階層から36階層のボスより強いんですよ」
「は?」
リーダーが思わず聞き返す。
「30階層のほうが強いのか?」
「そうらしいです」
「……めちゃくちゃだな」
30階層のボスを倒してCランク認定。
その先の31階層から36階層では、さらに強くなっていく。
普通なら、階層が進むほど単純に難しくなるはずだ。
ところが、このダンジョンでは30階層のボスが一つの大きな壁になっている。
「じゃあ、31階層から36階層はどうしてるんだ?」
「装備集めですよ」
「装備?」
「37階層を突破するための装備が、31階層から36階層のボスから出るんです」
冒険者は当然のように説明する。
「だから何度も周回するんですよ。欲しい装備を手に入れるために」
「なるほど……」
Sランクパーティーは顔を見合わせた。
攻略するために周回する。
ボスを倒して装備を集める。
装備が揃ったら、さらに先へ挑戦する。
このダンジョンでは、それが当たり前になっているらしい。
「今日はどうする?」
リーダーが仲間を見る。
「31階層から36階層まで確認しておこう」
「37階層は?」
「明日でいいだろ」
Sランクパーティーなら、今日のうちにさらに先へ進むこともできる。
だが、依頼は調査だ。
焦って攻略する必要はない。
「今日は36階層まで攻略して、37階層は明日挑もう」
こうしてSランクパーティーは、まず31階層から36階層までの攻略と調査を進めることにした。




