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Sランクパーティー到着

Sランク冒険者パーティーは、依頼を受けるとすぐにダンジョンへ向かった。


 そして、ダンジョンを目の前にした瞬間、全員が足を止めた。


「……なんだ、ここは?」


「これ、本当にダンジョンか?」


 目の前に広がっていたのは、巨大なダンジョンだけではなかった。


 周囲には宿屋、食堂、商店、武器屋、防具屋など、数え切れないほどの建物が並んでいる。


 人の姿も多い。


 冒険者だけではない。


 商人や職人、店員など、普通に町で暮らしている人々まで大勢いる。


「どう見ても町だな」


「それも子爵領クラスの町じゃないか?」


 さらにダンジョンの入口から少し離れた場所にも、町が広がっている。


「あっちにも町があるぞ」


「男爵領クラスはありそうだな」


 リーダーは周囲を見回した。


「このダンジョンだけで、どれだけの経済が動いてるんだ……」


 冒険者が来れば宿に泊まり、食事をする。


 武器や防具を買い、消耗品を補充する。


 商人は冒険者を目当てに商品を持ち込み、商売が生まれる。


 それを支えるために人が集まり、町が大きくなっていく。


「国が一番重要視してるって話だったが……」


 実際に見てみれば、その意味がよく分かる。


「このダンジョンが止まったら、周辺への影響も相当大きいな」


「俺たちが呼ばれるわけだ」


 Sランクパーティーはダンジョンへ入った。


 そして、さらに驚くことになる。


「エレベーター?」


 案内に従って乗り込むと、なんと30階層まで一気に移動できる。


「……30階層まで戦わなくていいのか」


「便利すぎるだろ」


 30階層に到着すると、Sランクパーティーはそのまま先へ進もうとした。


 しかし――。


「……なんだ?」


 前方に、大勢の冒険者が並んでいる。


「列?」


「何の列だ?」


 様子を見ていると、冒険者たちは30階層のボス部屋へ入る順番を待っているようだった。


「今日こそ倒すぞ!」


「今度こそ勝つ!」


「前回はあと少しだったんだ!」


 そんな声が次々と聞こえてくる。


 Sランクパーティーは呆然とした。


「30階層のボスを倒せない冒険者が、こんなにいるのか?」


「しかも、何度も挑戦してるみたいだな」


 ここで、彼らはこのダンジョンの異常さを改めて理解する。


 普通のダンジョンなら、強敵に敗れれば、それだけで大きな損失になる。


 だからこそ、冒険者は慎重になる。


 敵の情報を集め、何度も作戦を練り、装備を選び、準備を整えてから挑む。


 しかし、このダンジョンでは違う。


 撤退できる。


 危険を感じれば逃げればいい。


 負けても、また次の日に挑戦できる。


 だから冒険者たちは気軽に挑戦する。


「今日こそ倒すぞ!」


 また一人、列の冒険者が拳を握る。


 Sランクパーティーのリーダーは、その光景を眺めながら苦笑した。


「……このダンジョンを経験した冒険者は、他のダンジョンにはもう行けないんじゃないか?」


 その言葉に、仲間たちも頷く。


 安全に撤退できて、何度でも挑戦できる。


 そんな環境を知ってしまえば、命懸けで一度きりの勝負をする普通のダンジョンに戻るのは、確かに大変そうだった。

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