↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
74/336

冒険者の成長

アレンのダンジョンは、いつの間にか冒険者にとって評判のいいダンジョンになっていた。


大怪我をするような罠はない。


モンスターも大量に襲いかかってくることはなく、基本的には一体ずつ相手にできる。


無茶をしなければ、パーティー全員が生きて帰れる。


それでいて、魔石やドロップ品を手に入れれば、それなりに稼ぐこともできる。


「安全に強くなれて、稼ぎも悪くないダンジョン」


いつの間にか、そんな評判が広まっていた。


初心者が経験を積む場所としても使われ、ベテランになった冒険者たちも、新しい装備や仲間の育成のために訪れる。


アレンとしても、それは狙い通りだった。


冒険者を強くする。


そのために、ダンジョンに使えるポイントはボスドロップにも力を入れていた。


特に30階層のボス。


ここは冒険者たちにとって、明確な壁になっていた。


10階層までなら攻略できる。


その先も少しずつ進める。


だが30階層のボスになると、今までのようにはいかない。


攻撃を受ければ耐えられない。


隙を見つけなければ攻撃も通らない。


パーティー全員がそれぞれの役割を理解して、連携しなければ勝てない。


それでも、アレンは30階層のボスに挑戦すること自体は禁止していなかった。


負けても、また挑戦できる。


装備を整え、作戦を変え、仲間との連携を見直して、もう一度挑む。


そんなことを繰り返すうちに、少しずつ突破できるパーティーが増えてきた。


「おお、ちゃんと強くなってるな」


アレンは冒険者たちの様子を見ながら、最初は素直に喜んでいた。


以前は全く歯が立たなかったパーティーが、何度目かの挑戦でボスの攻撃を避ける。


前衛が攻撃を受け止め、後衛が攻撃する。


危なくなれば一度距離を取る。


そして、以前は逃していた攻撃のチャンスを確実に拾う。


「やっぱり、何度も挑戦すれば強くなるんだな」


そう思っていた。


だが。


しばらく冒険者たちを眺めていたアレンは、ふと腕を組んだ。


「……あれ?」


何かが引っかかった。


30階層のボス。


毎回、同じ相手だ。


当然、攻撃パターンも同じ。


最初は分からなかった攻撃も、何度も戦えば分かる。


この動きをしたら次は右から攻撃が来る。


この攻撃の後には隙ができる。


ここで距離を取れば安全。


そうやって何度も戦っていれば、いずれ攻略できるようになる。


「……それって、本当に強くなってるのか?」


アレンは画面を見つめた。


もちろん、実戦経験は積んでいる。


連携も上手くなっている。


攻撃を避ける技術も身についている。


だが、それは30階層のボスに慣れただけではないのか。


「同じ相手と延々戦ってたら、攻撃パターンを覚えただけって可能性もあるよな」


一度覚えてしまえば、初見の敵には通用しないかもしれない。


30階層のボスを倒せるようになった。


だからといって、別の強敵と戦ったときにも同じように戦えるとは限らない。


「うーん……」


アレンは頭を掻いた。


安全に強くなれるダンジョン。


それ自体は悪くない。


むしろ、死なずに経験を積めるのは大きなメリットだ。


ただ、安全に慣れることと、本当に冒険者として強くなることは同じなのだろうか。


「これはちょっと考えたほうがいいかもしれないな」


アレンはそう呟きながら、再び冒険者たちの戦いを見始めた。


30階層のボスを倒せるようになった冒険者たちが、本当に強くなったのか。


それとも――。


ただ、同じボスの攻略法を覚えただけなのか。


アレンには、その違いが気になり始めていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。