エンシェントドラゴンの強さ
アレンは、ダンジョンの31階層にいるエンシェントドラゴンのことを考えていた。
エンシェントドラゴンを生み出した理由は、他のダンジョンからの侵略を防ぐためだった。
ダンジョンは自分の領域を広げることがある。
もし敵対的なダンジョンが現れて、こちらへ侵攻してきたら。
そのときにアレンのダンジョンを守る存在が必要だった。
だからこそ、アレンは31階層を作り、そこにエンシェントドラゴンを配置した。
「まあ、これで侵略対策はできたんだよな」
31階層は冒険者には開放していない。
30階層まで攻略できればCランク冒険者として認められるようにしているため、今の冒険者たちに必要なのは30階層までだった。
31階層は、そもそも冒険者のための階層ではない。
エンシェントドラゴンも同じだ。
「侵略を防げれば、それで目的達成なんだよな」
アレンはそう考えてから、ふと疑問を抱いた。
「……そういえば、エンシェントドラゴンってどれくらい強いんだ?」
作ったときは、とにかく他のダンジョンからの侵略を防げる存在が欲しいと思っていた。
だから強いことは分かっている。
だが、具体的にどの程度なのかまでは確認していなかった。
「コア、エンシェントドラゴンってどのくらい強い?」
『エンシェントドラゴンは、非常に高い戦闘能力を持つ存在です』
「それは分かってる。具体的には?」
『個体差はありますが、一般的な魔王を上回る戦闘能力を持つ場合があります』
「魔王より強いのか?」
アレンは思わず画面を見る。
魔王。
それだけでも、この世界では十分に恐ろしい存在だ。
「じゃあ、かなり強いんだな」
『はい』
「なるほど……」
アレンは少し考える。
そこまで強いなら、他のダンジョンから侵略される心配はかなり小さいだろう。
というより、エンシェントドラゴンを置いた時点で、侵略対策としては十分だった。
「じゃあ、もっと強い奴を置く必要はないな」
そもそも必要がない。
エンシェントドラゴンを配置した目的は、他のダンジョンから自分のダンジョンを守ること。
その目的はすでに達成されている。
「……でも、エンシェントドラゴンより強い奴っているのか?」
アレンは何となく考える。
魔王より強いことがあるなら、その上は何になるのか。
「悪魔とか?」
アレンの頭にそんな言葉が浮かんだ。
魔王より上にいる存在なら、悪魔のようなものだろうか。
だが、さらに考えてみる。
「……悪魔より上ってなると、邪神とかか?」
そこまで考えて、アレンはすぐに首を横に振った。
「いや、待て」
邪神。
その存在について考えれば、すぐに分かる。
「そもそも邪神って、ダンジョンマスターより上の存在じゃん」
そんなものを自分のダンジョンに配置する意味がない。
というより、アレンが自由に配置できるような存在ではない。
「危ない危ない。なんで自分より上の存在を置こうとしてるんだよ」
アレンは一人で突っ込みを入れた。
エンシェントドラゴンで十分だ。
他のダンジョンからの侵略を防ぐという目的も果たしている。
冒険者には30階層までを攻略してもらえばいい。
31階層は今まで通り閉鎖。
エンシェントドラゴンには、そこでダンジョンを守ってもらう。
「うん。これでいいな」
アレンは満足すると、エンシェントドラゴンのことを考えるのをやめた。
わざわざ役目を終えた防衛戦力を、さらに強化する必要なんてない。
それよりも今は、30階層まで来られるようになった冒険者たちが、次にどこまで強くなっていくのか。
そちらのほうがアレンには気になっていた。




