↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
72/336

王妃様と対面

王妃様は十階層のボス部屋へ向かった。


 やがて大きな扉の前に到着する。


 王妃様は一度だけ深呼吸をすると、扉を開けて中へ入った。


 その瞬間――。


 ガチャリ。


「……?」


 背後から鍵のかかる音がした。


 王妃様が振り返る。


 扉は閉じられていた。


 外にいた近衛兵たちも、その音を聞き逃さなかった。


「王妃様!」


 近衛隊長が慌てて扉へ駆け寄る。


「開けろ!」


 騎士たちも集まり、扉を確認する。


 しかし、開かない。


 何度試しても、扉はびくともしなかった。


「どうなっている……」


 近衛隊長は焦る。


 だが、中へ入る方法がない。


 無理に扉を壊すこともできない。


「……待つしかない」


 近衛隊長は苦渋の表情を浮かべた。


「王妃様が出てくるのを待つぞ」


 近衛兵たちは扉の前で待機することになった。


 一方、ボス部屋の中では――。


 王妃様がゆっくりと前を向く。


「……!」


 その目の前にいたのは、巨大なドラゴンだった。


 あまりの大きさに、王妃様も思わず息を呑む。


 しばらくドラゴンを見つめたあと、王妃様が口を開いた。


「あなたが、この前現れたドラゴン様かしら?」


「そうだ」


 巨大なドラゴンが答える。


「よく参った」


 その声がボス部屋に響き渡る。


 王妃様は驚いた。


 やはり、このドラゴンは話すことができる。


「あなたがダンジョンマスターかしら?」


「そうだ」


 王妃様は目の前のドラゴンを見つめながら、さらに尋ねる。


「ダンジョンマスターであるあなたが、どうしてダンジョンから出てきたのかしら?」


「火の粉を払っただけだ」


「火の粉を……」


 王妃様は少し考える。


 そして、スタンビートのことを思い出した。


「では、スタンビートの魔物は、ここを目指していたのかしら?」


「そうだ」


「そう……」


 王妃様はさらに質問する。


「このダンジョンは、スタンビートの心配はないのかしら?」


「スタンビートなんて管理者失格だ」


 ドラゴンはそう言い切った。


「知能の低いマスターが起こしたのであろう」


「……」


 王妃様はその言葉を聞いて、少し考える。


 そして最後の質問をする。


「このダンジョンは、王国と敵対することはないのかしら?」


「そちらが先に手を出さなければ問題ない」


「分かりましたわ」


 王妃様は静かに頷いた。


 聞きたかったことは聞けた。


 そして、王妃様が帰ろうとしたときだった。


「我を前に、たいした物だ」


 ドラゴンが言った。


「土産を用意している」


「土産ですの?」


「持って帰れ」


 王妃様の前に土産が現れる。


「ありがとうございます」


「王宮まで開けるな」


「分かりましたわ」


 王妃様は土産を受け取った。


 やがて扉が開く。


 待っていた近衛兵たちが一斉に駆け寄った。


「王妃様!」


「大丈夫です」


 王妃様は落ち着いた様子で答える。


「少しお話をしていただけですわ」


 近衛隊長は王妃様の無事を確認すると、ようやく安堵した。


 王妃様は土産を持って王宮へ戻る。


 そして自室へ入ると、侍女に土産を開けさせた。


「何が入っているのでしょうね」


 箱が開く。


「……?」


 王妃様は中身を見つめた。


 入っていたのは、高級ランジェリーだった。


「……」


 王妃様はしばらく黙っていた。


「どういう意味なのでしょう?」


 王妃様には、なぜダンジョンマスターがこれを贈ってきたのか、まったく分からなかった。


 侍女たちも困惑した表情で箱を見つめている。


 王妃様は結局、その意味を理解できないままだった。


 ――なお、ダンジョンマスターから王妃への贈り物として高級ランジェリーを選ぶのは、完全にセクハラだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。