ダンジョンからの返事
「アレン、宝くじ箱に魔石以外が入ってるよ」
ダンジョンコアの声に、アレンはモニターへ目を向けた。
いつもなら冒険者が入れた魔石しか入っていない宝くじ箱。
だが、今日は違った。
「どれどれ……金塊と封筒か」
アレンは宝くじ箱から二つを取り出した。
金塊はかなりの大きさがある。
「何が書いてあるんだ?」
封筒を手に取る。
「要望だったら受け付けないぞ」
そう言いながら封を開ける。
読み進めていくうちに、アレンの表情が少し変わった。
「王妃様からの手紙か」
書かれていたのは、王国には敵意がないということ。
そして、スタンビートが発生する可能性についての質問。
もし発生する可能性があるのなら、王国としても把握しておきたいという内容だった。
さらに王妃は、アレンとの対談を望んでいた。
「対談ねぇ」
アレンは手紙を読み終えると、しばらく考えた。
王国がエンシェントドラゴンの存在を知った以上、何らかの対応をしてくるとは思っていた。
それが敵対ではなく、話し合いを求めてきたということらしい。
「まあ、敵意がないって言ってるなら、こっちもわざわざ喧嘩する必要はないか」
アレンは返事を書くことにした。
王妃への返事を一通。
そして、貢ぎ物を送ってきたのだから、そのお返しも用意する。
「これと……これも入れておくか」
アレンが用意したのは、改造したエアコン。
空気清浄機。
高級化粧品。
そして――。
「これもだな」
アレンが取り出したのは、ウェディングドレスだった。
これは王妃のために選んだわけではない。
単純に、アレンの趣味だった。
「やっぱりウェディングドレスはいいな」
アレンは満足そうに眺める。
贈り物として適切かどうかなど、あまり考えていない。
自分が気に入ったものを入れただけだった。
「よし」
アレンは返礼品をまとめ、最後に一通の封筒を加えた。
「これでいいか」
エアコン。
空気清浄機。
ウェディングドレス。
高級化粧品。
そして封筒。
それらを宝くじ箱へ入れる。
「……一つ変なものが混ざっている気がしないこともないが」
アレンはウェディングドレスを見ながら呟いた。
だが、特に問題ないだろう。
貢ぎ物のお返しなのだから。
一方、宝くじ箱の前では王国から来た近衛兵が待機していた。
箱の中に品物が現れる。
「来たぞ」
近衛兵が慎重に取り出していく。
エアコン。
空気清浄機。
ウェディングドレス。
高級化粧品。
そして封筒。
「……これは、返礼品か?」
「おそらく」
近衛兵は一つ一つを確認する。
最後に封筒を手に取った。
「こちらが返事だな」
「急いで王宮へ戻るぞ」
近衛兵たちは、封筒の中身を確認することなく、すべてを持って王宮へ向かった。
王国が送った金塊に対して、これほど多くの品が返ってくるとは思っていなかった。
まして、その中にウェディングドレスが入っているなど、想像もしていない。
だが、近衛兵たちにはそれが何を意味するのか分からない。
そして何より――。
アレンが封筒に何を書いたのか。
それを知るのは、まだアレンだけだった。




