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SSSランク

アレンは困っていた。


「どうするかな、これ……」


 マスタールームのモニターには、21階層の映像が映っている。


 そこにいるのは、エンシェントドラゴン。


 アレンが用意した、たった一体の魔物だった。


「とりあえず21階層に置いておいたけど……」


 21階層は、まだ冒険者には解放していない。


 つまり今のところ、エンシェントドラゴンと戦う冒険者はいない。


 それ自体は問題ない。


 問題なのは――


「強すぎるんだよなぁ」


 アレンは頭を抱えた。


 そもそも、他のダンジョンとアレンのダンジョンでは、魔物の作り方からして違う。


 普通のダンジョンは、そのダンジョンのランクに応じた魔物しか召喚できない。


 CランクダンジョンならCランク相当。


 それより強い魔物を好き勝手に呼び出せるわけではない。


 ところがアレンは違う。


「ポイントさえあれば、好きな生き物を創造できるんだよな」


 エンシェントドラゴンも、その能力で生み出した。


 もちろん、膨大なポイントを消費した。


 だが、作れてしまった。


「そう考えると、15階層の猫系モンスターもそうなんだよな」


 あれも自然発生した魔物ではない。


 アレンが考えて創造した生き物だ。


「俺のダンジョン、魔物の自由度がおかしいな……」


 改めて考えると、とんでもない能力だった。


 しかし、作ってしまったものは仕方がない。


 エンシェントドラゴンは21階層に置いた。


 冒険者にはまだ解放していない。


 けれど、アレンとしては一つ問題があった。


「邪魔なんだよなぁ」


 エンシェントドラゴンが悪いわけではない。


 むしろ、こちらの命令には従っている。


 ただ――


 強すぎる。


「冒険者が倒してくれたら楽なんだけど」


 アレンはモニターを眺めながら、そんなことを考えた。


 しかし、すぐに現実的な問題に気づく。


「……誰が倒すんだ?」


 Aランク冒険者。


 いや、無理だろう。


 Sランク冒険者。


 それでも厳しそうだ。


「SSランク……」


 そこまで考えて、アレンは黙った。


「そもそもSSSランクの魔物って、誰が戦うんだよ」


 エンシェントドラゴンの強さを考えると、普通の冒険者では話にならない。


 国家が総力を挙げても簡単には倒せない。


 ならば、国家戦力を超える存在。


 そんなものをアレンは一つしか思いつかなかった。


「……魔王を倒す勇者パーティー?」


 人類側の最高戦力。


 それくらいしか、エンシェントドラゴンと戦える姿が想像できない。


 アレンは椅子に深く座り直した。


「いや、待て」


 そこで、あることに気づく。


 エンシェントドラゴンを作った目的は何だったのか。


 他のダンジョンに喧嘩を売られたからだ。


 そして、その目的はすでに達成した。


「……もう役目終わってるじゃん」


 21階層に置いておく意味も、今となっては薄い。


 とはいえ、自分で消すのも惜しい。


 何より、これだけポイントを使って作ったのだ。


「せっかく作ったんだから、誰か倒してくれないかな」


 アレンはモニターの中のエンシェントドラゴンを見る。


 ドラゴンは21階層で、何もすることなく佇んでいた。


「……よし」


 アレンは決めた。


「次の目標は、冒険者にエンシェントドラゴンを退治してもらうことだ」


 これまでのアレンなら、冒険者を集めることを考えていた。


 強い冒険者に来てもらうことも考えていた。


 だが、今回は違う。


 必要なのは――


 エンシェントドラゴンを倒せるほどの冒険者。


「勇者パーティーでも来てくれないかな」


 アレンは何気なく呟いた。


 しかし、その一言が今後のダンジョンに何を引き起こすのか。


 この時のアレンは、まだ知らなかった。

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