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次の方針

アレンはエレベーターの設定を変更した。


これまで一階層から十階層へ直接移動できるようになっていたが、そこに二十階層を追加する。


「これで二十階層にも行きやすくなるな」


二十階層ができてから、Cランク冒険者たちは十五階層ではなく、二十階層を周回するようになっていた。


ボスを倒す。


部屋から出る。


そのまま列の最後尾に並ぶ。


そして、またボスに挑む。


十五階層で見慣れていた光景が、そのまま二十階層へ移っただけだった。


さらにギルドからも二十階層は正式に認定された。


二十階層のボスを倒した冒険者には、Dランク冒険者になる資格が与えられる。


これまで十五階層を目標にしていた冒険者たちにとっても、二十階層へ進む理由ができた。


「二十階層をクリアすればDランクか」


「だったら挑戦してみるか」


そんな冒険者も増えていった。


そして、ダンジョンの人口は今も増え続けている。


ダンジョン内で生活する者が増え、商売を始める者も増えた。


結婚する者もいる。


子供が生まれることも珍しくなくなった。


「また人口が増えたな」


アレンはダンジョン内の様子を眺める。


人が増えれば、ダンジョンに入ってくるポイントも増える。


冒険者だけではない。


ここで暮らす人々が増えることで、ダンジョンを利用する人間そのものが増えていた。


その結果、ポイントの増加速度も止まらない。


「ポイント、余るようになってきたな」


アレンには以前、一度だけ大きくポイントを使ったことがある。


伝説級の魔法剣を出したのだ。


かなりのポイントを消費した。


これだけの武器なら、しばらくはこのダンジョンに留まってくれるだろう。


そう思っていた。


ところが、その魔法剣を手に入れた冒険者は――。


「この剣があれば、Bランクダンジョンにも挑戦できる!」


そう言って、ダンジョンを出ていった。


そして、帰ってこなかった。


「……あれは失敗だったな」


どれだけ高価なものを出しても、それを目的にしていた冒険者が別の場所へ行ってしまえば意味がない。


アレンはそれ以来、伝説級の魔法剣を出すようなことはしていなかった。


そもそも、今となっては状況が違う。


ダンジョンに人を集める。


長く滞在してもらう。


何度も来てもらう。


その段階は、もう終わっている。


冒険者は来る。


住民も増える。


商人も増える。


子供まで生まれ、人口そのものが増え続けている。


そして、それに合わせてポイントも増え続けている。


「……じゃあ、これからどうする?」


アレンはマスタールームで考え込んだ。


以前なら、ポイントを増やすために人を集めることを考えていればよかった。


だが、今は違う。


人は勝手に増えている。


ポイントも勝手に増えている。


使い道を考えなければ、ポイントが貯まっていくだけだ。


「集客はもう必要ない」


アレンはそう呟いた。


必要なのは、その次だ。


今ある大量のポイントを何に使うのか。


これからこのダンジョンをどうしていくのか。


「次の方針を決めないとな」


アレンはマスタールームの画面を眺めながら、腕を組んだ。


ダンジョンに人を集めるゲームは、もう終わった。


ならば次は――。


何をするべきなのか。


アレンは新しい方針を考え始めた。

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