Dランクダンジョンに
アレンは十五階層へやって来ていた。
「結構、人がいるな」
ボス部屋の前には、冒険者たちの列ができている。
アレンは最後尾に並び、周囲の冒険者たちの会話を聞いていた。
「今日も混んでるな」
「十五階層はいつもこんなもんだろ」
「Cランクの連中も多いな」
「ここは稼げるからな」
「Cランクになったんだろ? そろそろ別のダンジョンに行かないのか?」
「なんでだよ。ここで十分稼げるだろ」
そんな会話をしている間にも、ボス部屋から冒険者が出てくる。
すると、その冒険者たちはそのまま帰るわけではなかった。
「次、並ぶぞ」
「ああ」
二人は当然のように列の最後尾へ向かう。
また別の冒険者がボスを倒して出てくる。
その冒険者も列の最後尾へ並ぶ。
「……なるほど」
アレンはその様子を見ていた。
倒したら終わりではない。
ボスを倒したら、また列に並ぶ。
そして順番が来たら、もう一度ボスを倒す。
十五階層は完全に周回場所になっていた。
やがてアレンの番が来る。
アレンはボス部屋へ入り、ボスを倒した。
そして部屋を出る。
もちろんアレンは周回するつもりはない。
そのまま十六階層へ向かった。
十六階層。
冒険者は少ない。
十七階層も少ない。
十八階層も少ない。
十九階層も同じだった。
「十五階層から先に行く人が少ないな」
アレンはしばらく考えた。
十五階層には、あれだけ人がいる。
だが、その先は人が少ない。
「だったら、二十階層を作ってみるか」
アレンは二十階層を作った。
そこにDランク相当のボスを配置する。
しばらくすると、冒険者たちが二十階層へ到着した。
Cランク冒険者もいる。
当然、Dランク相当のボスでは相手にならない。
あっさりと倒される。
「まあ、そうだよな」
アレンは特に驚かなかった。
そして、その冒険者たちはボス部屋から出てくると――。
「次、並ぶぞ」
「おう」
そのまま列の最後尾へ向かった。
アレンは目を丸くする。
「……あれ?」
一人、また一人とボスを倒して出てくる。
そして全員、帰らずに列の最後尾へ並んでいく。
「二十階層でも同じことを始めたのか」
アレンはしばらく眺めていた。
十五階層では、Cランク冒険者たちがボスを倒しては列に並び、また倒していた。
二十階層でも、それが始まった。
違うのは、周回する階層だけ。
「……周回する場所が変わっただけじゃないか」
アレンは思わず苦笑した。
十五階層より二十階層のほうが稼げる。
ならば、Cランク冒険者たちが二十階層へ移るのは当然だった。
二十階層では、ボスを倒したCランク冒険者がすぐに列の最後尾へ並ぶ。
そしてまたボス部屋へ入る。
倒す。
出る。
並ぶ。
また倒す。
その光景を見ながら、アレンは呟いた。
「結局、周回する階層が変わっただけか」
二十階層は、十五階層に代わるCランク冒険者たちの新しい周回場所になった。




