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増えすぎるポイント

アレンのダンジョン、その一階層。


以前とは、少し違った光景が見られるようになっていた。


「……子供が増えたな」


アレンがマスタールームから一階層の様子を眺めていると、冒険者たちに混じって子供の姿が目につく。


一人や二人ではない。


気がつけば、一階層にはかなりの数の子供たちがいる。


理由は単純だった。


魔石の買い取り価格が上がったことで、このダンジョンの一階層でも金を稼げるようになったのだ。


しかも、一階層のモンスターは襲ってこない。


子供でもモンスターを倒して魔石を手に入れられる。


その噂は国中に広がっていた。


そして、集まってきたのは冒険者見習いだけではなかった。


孤児たちまで、このダンジョンを目指すようになったのだ。


「ここなら子供でも生きていける」


そんな話が広まり、国中から孤児が集まってくる。


さらに、一階層のモンスターは襲ってこない。


ならば、寝る場所にも困らない。


子供たちはダンジョンの一階層で寝泊まりするようになっていた。


最初は数人だったものが、少しずつ増えていく。


いつの間にか、一階層にはダンジョンを生活の場にしている子供たちまでいる。


「俺のダンジョン、孤児院みたいになってるな……」


アレンは一階層を眺めながら呟いた。


だが、今のアレンには、それを気にしている余裕がなかった。


「それより……」


マスタールームに表示されたポイントを見る。


「増えすぎだろ!」


数字がものすごい勢いで増えている。


原因は分かっている。


他のダンジョンから持ち込まれる魔石だ。


アレンのダンジョンは、もともとGランクダンジョンだった。


宝くじ箱も、Gランクダンジョンの魔石を基準に設定している。


そこへ、より価値の高い他のダンジョンの魔石が大量に持ち込まれるようになった。


その結果、ダンジョンには想定していなかった量のエネルギーが流れ込んでいる。


「これ、普通のダンジョンでやったら……」


大量の魔石によってエネルギーを供給されれば、ダンジョンは異常なほど活性化する。


魔物が増える。


ダンジョンそのものが成長する。


そして最悪の場合――。


「確実にダンジョンブレイクするだろ」


アレンは背筋が寒くなった。


自分のダンジョンだから制御できている。


しかし、他のダンジョンならそうはいかない。


大量の魔石を一気に流し込むなど、ダンジョンを異常活性化させる行為そのものだった。


「……でも、俺のところはポイントになってるんだよな」


アレンは画面を見る。


ポイントは増え続けている。


「このままじゃ駄目だ」


貯まりすぎている。


ならば、使うしかない。


「ポイントを消費する方法……」


アレンはダンジョンの現在の階層を確認する。


すでに十五階層まである。


「十五階層か」


これ以上ポイントを貯め込むくらいなら、階層を増やしてしまったほうがいい。


しかし、一階層増やした程度では足りない。


二階層でも足りない。


「……一気に作るか」


アレンは決めた。


十六階層。


十七階層。


十八階層。


十九階層。


新たに四つの階層を作る。


ポイントが大きく消費されていく。


「よし……」


ようやく、ポイントの増加速度に対して、まとまった消費ができた。


アレンはほっと息を吐く。


「これで少しはマシになったな」


本来なら、十五階層から十九階層まで一気に増やすなど、大きなダンジョンの成長だ。


だが、アレンにとっては違った。


「ポイントが貯まりすぎたから、四階層増やしただけなんだよな……」


自分でも呆れる。


しかし、ポイントは今も増え続けている。


「……また貯まってきてる」


アレンは頭を抱えた。


一方、その頃。


一階層では今日も子供たちがモンスターを倒していた。


「魔石、結構集まった!」


「これなら今日の飯が買えるぞ!」


子供たちは嬉しそうに魔石を集めている。


彼らにとって、このダンジョンは生きていくための場所になっていた。


そして、その同じダンジョンでは――。


新たな四階層が誕生していた。


誰も知らない。


このダンジョンが十五階層から十九階層へ一気に成長した理由が、冒険者を増やすためでも、攻略者を苦しめるためでもなく――。


アレンが、増えすぎたポイントを消費するためだったことを。

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