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王妃様への報告

アレンのダンジョンは、もともとはGランクダンジョンだった。


当然、宝くじ箱の設定もGランクダンジョンから産出される魔石を基準にしている。


つまり、宝くじ箱を使うために必要な魔石の価値も、Gランクダンジョンの魔石を基準に設定されていた。


ところが、王妃様の命令によって行われた検証で、とんでもないことが判明した。


他のダンジョンで産出された魔石でも、宝くじ箱を使うことができたのだ。


しかも、他のダンジョンの魔石はGランクダンジョンの魔石よりも価値が高い。


アレンのダンジョンにとっては、想定していなかった高価な魔石が、そのまま宝くじ箱に使えてしまう。


その事実を知った隣領の騎士団は、すぐに動いた。


自分たちの領内にある別のダンジョンから魔石を集め、アレンのダンジョンへ持ち込む。


そして、集めた魔石を宝くじ箱へ入れていく。


一度だけではない。


次々と魔石が持ち込まれ、次々と宝くじ箱が利用されていく。


ダンジョンの中に、他のダンジョンから産出された魔石が運び込まれる。


その光景は、以前のアレンのダンジョンからは考えられないものだった。


そして――。


アレンのダンジョンに、ものすごい勢いでポイントが貯まり始めていた。


アレン自身も、マスタールームからその数字を眺めていた。


「……増えるなぁ」


数字が動く。


また動く。


さらに動く。


これまでとは明らかに違う速度だった。


「Gランクダンジョンの魔石を基準にしてたのに、他のダンジョンの魔石まで使えるとは思わなかったな」


アレンにとっては、完全に想定外だった。


だが、入ってくる魔石を拒む理由もない。


宝くじ箱は使われる。


魔石は消費される。


そして、ダンジョンにはポイントが蓄積されていく。


アレンは増え続ける数字を眺めながら、満足そうに笑った。


「これは……かなり貯まりそうだな」


その頃。


王宮では、近衛兵から届けられた成果を王妃様が受け取っていた。


「こちらが今回の景品です」


近衛兵が順番に品物を並べていく。


最初に王妃様の目に入ったのは、四つの宝石だった。


ダイヤモンド。


ルビー。


サファイア。


エメラルド。


どれも二カラット。


四つを並べて見ると、その存在感はかなりのものだった。


「……これが特賞なのですか?」


「はい」


王妃様は思わず身を乗り出した。


「四つとも?」


「四つとも二カラットです」


王妃様はダイヤモンドを手に取った。


光を受けて輝く。


続いてルビー。


そしてサファイア、エメラルド。


一つずつ確かめるたびに、王妃様の表情が明るくなっていく。


「素晴らしいですね……」


特賞だけでこれほどの宝石が揃っている。


王妃様にとって、十分に嬉しい成果だった。


「こちらは私のところに置いておきましょう」


「承知しました」


次に出されたのは二等の景品だった。


「二等はこちらです」


「今回も宝石なのですね」


「はい。今回は翡翠です」


王妃様は翡翠を手に取る。


こちらも美しい。


「これまでとは違う宝石が出てくるのも面白いですね」


翡翠も王妃様の手元に残されることになった。


そして三等。


「三等は香水です」


「香水ですか」


王妃様は瓶を手に取る。


「これは私が使いましょう」


続いて四等。


「四等は酒になります」


並べられた酒の量を見て、王妃様は目を向ける。


「かなりありますね」


「はい。すべて国内で消費するには多すぎる量です」


王妃様は少し考え、頷いた。


「それなら輸出しましょう」


「はい」


「外貨の獲得にもなりますからね」


宝石は王妃様の手元に残る。


香水も王妃様が使える。


そして酒は国外へ輸出され、国の外から金を持ち込むことができる。


王妃様は、並べられた景品を改めて見渡した。


特賞の四つの宝石。


二等の翡翠。


三等の香水。


四等の大量の酒。


「……素晴らしいですね」


単に珍しい景品が出てくるだけではない。


王家にとって価値のある品が手に入り、さらに酒を輸出することで外貨まで獲得できる。


あのダンジョンは、もはや単なるGランクダンジョンではなかった。


国にとっても、重要な場所になりつつある。


王妃様は特賞の宝石へ、もう一度目を向けた。


「このダンジョンには、これからさらに人が集まるでしょうね」


「はい」


冒険者が増えれば、冒険者を相手にする商人も増える。


商人が集まれば、宿も必要になる。


店も必要になる。


人が集まれば、自然と町ができていく。


王妃様は、しばらく考えたあと、近衛兵へ指示を出した。


「ダンジョンの前に町を建設しましょう」


「町を、ですか?」


「ええ」


王妃様は頷いた。


「これから、あのダンジョンにはもっと人が集まります」


今はまだ、ダンジョンの前に町と呼べるほどのものはない。


だが、それも長くは続かないだろう。


「冒険者だけではありません。商人も集まります。ならば、先に受け入れる場所を用意しておくべきです」


「承知しました。建設計画を立てます」


近衛兵が深く頭を下げる。


王妃様は、もう一度宝石へ視線を向けた。


このダンジョンは、これからどんどん成長していく。


王妃様は、そう確信していた。

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